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大殺陣

2019年09月12日 23時10分27秒 | 邦画1961~1970年

 ◇大殺陣(1964年 日本 118分)

 監督/工藤栄一 音楽/鈴木静一

 出演/里見浩太朗 平幹二朗 大木実 大友柳太郎 三島ゆり子 宗方奈美 稲葉義男 山本麟一

 

 ◇新吉原の戦い

 細かいところは変えてみたものの、結局は『十三人の刺客』の亜流に留まらざるを得ないのがつらいところで、工藤さんも苦労したんだろうけど、ここはやっぱり新吉原が舞台になってるんだから、そこの連中の目撃する甲府宰相襲撃にした方がよかったんじゃないかしら。

 ただ、人物の設定に強引さがあってどうも中途半端な印象は受ける。

 酒井忠清の治世が良くないといい、次期将軍の命をとればその野望を挫くことができると。でも、それは結局、将軍は跡目争いでしかない。

 どこに庶民も納得できるような襲撃理由があるのかわからないし、襲撃する連中の性根もまた善くない。

 唯一のヒロイン三島ひろ子は無残にも斬り捨てられるし、宗方奈美はふたりに犯されちゃったりでなんだか哀れだ。優しさが売り物の大坂四郎は幼な子もふくめた家族全員を惨殺してから襲撃に参加するし、もはや、夢も希望もない。玉砕に向かってなかば発狂状態になってる連中の襲撃でしかない。

 結局、単に引きずられてしまった感じがする里見浩太朗の惨殺されるところをまのあたりにした平幹二朗が、まるで関係なかったはずなのに、一夜を共にしただけの友とも呼べない里見浩太朗の死にざまに突き動かされて、宰相襲撃を果たすっていう最後はわからないではないけれども。

 まあ、半狂乱になった大友柳太郎が、必死になって行列をたてなおし、見せかけの宰相行列が動き出すところで終わるところだけは、なんとなく当時の雰囲気がして、まあまあよかったけどね。

 でも、なんていうのかな、工藤さんのダンディズムっていうか、ちょっぴり斜に構えて、でも正義感はあって、散っていくことに魅力を感じちゃうところはわかるからな~。

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