◇緑の光線(1986年 フランス 98分)
監督/エリック・ロメール 音楽/ジャン=ルイ・ヴァレロ
出演/マリー・リヴィエール リサ・エレディア
◇シェルブール、7月
グリーンフラッシュの話。
なにかって、映画の台詞を借りれば「太陽は赤・黄・青の光を発しているが、青い光が一番波長が長い。だから、太陽が水平線に沈んだ瞬間、青い光線が最後まで残って、それがまわりの黄色と混ざって私たちの目に届く」ってことらしく、まあ、めずらしい現象だから、これを観た者には幸せが届くってことになるわけで、当然、なかなか観られない。
観たいわね、そう聴くと。
途中、なんとなく画面のどこかに緑色のものがある。車のボディ、洗濯物のタオル、髪を縛っているハンカチーフ、鉢植えの観葉植物。
とはいえ、これは無口で、その場にいるかどうかわからないような男が身近な女の人達をただ観察しているような映画としか受け止められなかったのは、僕の感受性が稀薄なせいだろう。
「緑はわなしの今年の色らしいの。行く先々で緑色のものを見るの」とかいっていろんな事物をあげていくんだけど、だからなんなんだっていいたくなるし、実際、突っ込まれてるし、いやまあ一部の女の子にはこういうことをすぐに口にしちゃったりする子もいたりするけどさ。
「緑色の男に出会うかもね」とかいわれると、なんとなくフィリップ・K・ディックをおもいだしたりもするんだけど、まあ結局、情緒不安定な女の子の日常以外のなにものでもない。同時録音がリアルな効果はあげてるけどね。