◎キングダム 見えざる敵(2007年 アメリカ 110分)
原題 The Kingdom
監督 ピーター・バーグ
◎やつらを皆殺しにしてやる
どうやら、この作品で扱われてるサウジアラビアの外国人居住区爆破事件の顛末はモデルになった事件があるようで、1996年6月26日のホバル・タワー爆破事件と2003年5月12日のリヤド居住区爆破事件らしい。まあモデルがあろうがなかろうが想像されるテロリズムの域は出ないものの、撮り方と編集はものすごい。
ピーター・バーグという人はかなり銃撃戦が好きなようで、根っからのアクション好きなんだね。それにしてもカメラをマルチで徹底的に使いこなし、それを緊迫感をあおるようなカッティングで繋いでみせる腕前はたいしたもんだ。全編が一定のレベルにある臨場感で包まれてて、休む閑がないくらいの仕上がりだ。
もっとも筋立てはあるようなないような、でもきちんと目配りされたリアリズムが見ていて心地よい。
ただ、あれだよね、テロによって友達が恋人が殺されればそれがFBIの特別捜査官であっても「やつらを皆殺しにしてやる」というんだろうし、正義の名のもとに復讐されたテロリスト側としてもやっぱりその家族は女子供であっても「仲間がやつらを皆殺しにしてくれる」と聞かされたときには自分のそれに身を捧げるんだっていう決意の眼を見せる。
復讐の煉瓦積みだよね。
殺意の連鎖はもう止められないんだよね、とピーター・バーグはいいたいんだろう。