Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE398. 少し俗っぽいのよね

2012年07月07日 | field work
 夕方、光が綺麗な小樽運河に沿って、都心方向へ歩いていった。こういう光の時に、Mズイコー広角ズームは9mmという画角と描写力が活きる。左手に、大正10年から昭和10年にかけてつくられた北海製罐倉庫(株)の工場・倉庫群が続いている。
 倉庫が建ち並ぶ小樽運河の定番スポットの徘徊は明日にして、というか私は定番風景にはあまり興味もないので、運河から山手に向かうことにした。山が海に迫り、猫の額のような狭い更地に、小樽の中心市街地がある。だから街を横切るとすぐに坂道である。
 マイクロフォーサーズ2台の撮影は大変軽く、使い勝手もよい。相変わらず持っていることを忘れさせてくれる。というのも私達は、撮影機材のために街を徘徊しているわけではないからだ。シニア研究員は、iPadで撮影していた。
 道すがら123軒ある近代建築のいくつかを撮影しながら思うのは、小樽の街は近代建築が連続して立ち並ぶ風景が少ない。精々運河沿いの倉庫群程度である。むしろ多数の古い建物が点在していることに特徴があり、その隙間に高層マンションが割り込んでくるといった具合に、どこの街にもある風景に近く少し平凡だ。だから函館のような伝統的建造物群保存地区ではなく、小樽は特別景観保存地区の指定である。 
 平凡なのは風景ばかりではなく、これを見に来る人間達もそうであって、彼らのWEBサイトのブログを見ると、紋切り型の古い街や被写体であふれ、大概はつまらないものが多い。WEBというパーソナルな表現手段が、画一化した個人の姿をあからさまにしてしまった。そういう画一化した人間達がやってくる今の小樽の街は、景観地区に不似合いな食材レストランの看板が登場し、観光ショップもあふれ、少し俗っぽいのよね。街の活性化の結果ではあるが、画一化した人達向きの設えがあふれており、文化性がみられない。
 やはり個人独自のものごとの見方、書き方がができ、それに伴って街も文化性を形成するようになるは、今少し時間がかかるだろう。
 そんなことを考えながら、私達も建築記録という画一的でつまらない作業に没頭していた。だから、こんどは雪が積もり吹雪いているときに、私の視点で小樽の少しすさんだ街を撮影したい。
 
小樽市,2012年6月24日
OLYMPUS OM-D E-M5,M.ZUIKO DG 9-18mmF4-5.6
ISO200,焦点距離9mm,露出補正-1/3,f11,1/500iFinish 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする