小樽の駅前で、サングラスをかけた柄の悪そうな青年と鉢合わせした。
「オッ、マサヒロ君かぁー!、相変わらず柄の悪い先生をしているの!?」
マサヒロ「これ柄がわるいっすか!??、今美大の実習が終わったところですぅー」
マサヒロ君は、いうまでもなく翠の子供だ。
翠が高校生の初体験でできちゃったけど、相手が優秀な種をくれたので、マサヒロ君もすごく優秀なんだ。小さい頃からツカモッチャン先生が勤務する小学校の美術室を遊び場にしていたから、美大で教えることは高校生までで勉強しちゃったし、それでデザイン企業に勤めて、今じゃデザインスタジオの若きオーナーだ。なにしろ美大の非常勤講師を引き受けて、同年代の学生に教えているぐらいだから。
「どう、コロナ禍の経営は?」
マサヒロ「もうかったっす!!」
「はあーー!!、」
マサヒロ「みんな家に籠もってWEBにしがみついていたでしょう。だからデザインサービスのプログラムとかYOU TUBEへ動画をアップさせたら、どんどん会員が増えていって、その広告収入でぇ・・・」
「キャラクターデザインでもやったのかよーー」
マサヒロ「それ簡単だからやった。可愛い女の子のイラストをいろんなシチュエーションでたくさん描いてアップさせたの。そしたら外出できないから若い女の子が話題づくりに、どんどんダウンロードしてゆくのよ。それに女の向けのファッションの広告がついてきたでしょう。それで広告のファッションでイラスト書いたら、また大受けで。ほらこれ!」
「なんだよー、下着姿ばかりじゃないかぁー」
マサヒロ「だってスポンサーが女の子の下着メーカーなのよ。でっ、その商品のイラストをデザインしたら、是非広告に使ってくださいだってさぁー」
「この猫柄のパンツなんかウッきゃーだねい!」
マサヒロ「でしょう。それ商品も売れたってメーカーの人がいっていた。ならばというのでサンプルも送ってくれてパソコンにひっかけてあるよ。上さんにでもあげちゃうかなぁー!」
「上さん二人目の子供を身ごもっているんじゃないの?」
マサヒロ「バッチリできちゃって、高校へ通う暇がないって。だから2年ぐらい進学を遅らそうかなって思っているの。まあ大きなお腹抱えて通学しているけどねー」
マサヒロ「今日は実家でクロッキー教室だから、腹ごしらえしてゆきかなきゃ!」
「なら、駅の北側の商店街をぬけて龍宮神社の先に中国人のチーピンがやっているお店がある。ラーメンを食べにゆこうよ!」
マサヒロ「それそれ!、もうお腹がグーですよん」
それでマサヒロ君とチーピンの店で、ラーメンをすするはめになった。