Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング507. 小説:小樽の翆435. またまたプレゼンテーション

2021年09月29日 | Sensual novel

 

 アチキは、大学の仕事の帰りに東京の企業に立ち寄って、またまたプレゼンテーションにつきあわされている。

なんでもCGを使った観光地のプロモーションビデオをつくるんだってさ。

それで液晶プロジェクターが投映している画面に見入っているはずだが・・・。

女盛りのプレゼンテーターを注視しているが、実は聞いちゃいない。

頭の中では、何故ワーカーのオフィスウェアは、こうも色っぽく見えるのだろうか。

別に色っぽく仕立て上げているわけではない。

働きやすさのなかに女らしさを表現するというデザイナーの意図通り、骨盤のあたりの膨らみに目がゆく。

着る人によっては標準サイズのウェアも、大臀筋がくっきりと見えて色っぽい。

特に大臀筋が左右に分かれるセンターラインに着目すると、股間にゆくに従って逆V字型に大臀筋のボリュームが引っ込んでくるなんざあ、バックでピタッと納まって入れやすくていいよなぁー。

オフィスワーカー達は、そんな色っぽい大臀筋を毎日見ながら、といって触るとセクハラで社内問題になり出世の道から遠ざかるから眺めるだけに留め、いつも精子寸止め状態で黙々と仕事に励むわけだ。インポでなければつとまらないオフィスの世界だ。

デッサンのたしなみがあるアチキは、頭のなかで裸婦にして堪能している。

外国人のボディは皮下脂肪でボディ膨らんでいるから骨格が目立たないのが普通だが、アジア人のボディは鎖骨や骨盤や膝が皮膚から浮きでてきて、そこがすごくセクシーなんだ。そんなことは、プレゼンとは全く関係ないのだが、頭の中はそんなイメージで膨らんでいる。

そうしてボディの量感をなぞり、頭の中で裸体を組み立ててみる。そうすると、なんだ普通のボディじゃないかということがわかる。そうなると家に帰り、湯上がりに着古したスウットを着て頭にタオルを巻き、旦那と今日のプレゼンはうまくいったわ。それで旦那から仕事はいいけど子供は?、といわれたら、今仕事が面白いから当分セックスも子供もお預けよ、なんて会話をしている険悪な夫婦なのだろう。

それは生物的本能に忠実というよりは、それよりは下位概念の社会的使命に忠実なのだろう。

そうしているうちにオキシトシンとのバランスを欠いた、ただの人間か・・・。

そんな普通のボディが実に色っぽくみえるのだから、オフィスウェアのデザイナーの感覚も不思議だ。女らしさを追求するあまり、色っぽく立体になってしまったのだ。

だから、プレゼンテーションなんか最初から聞いちゃいない。

それでも顔だけは、プレゼンテータにしかっかり向けているのだから、相手は熱心に聞いてくれるという勘違いの関係が生まれている。

女らしさの表現は、デッサンができる立場からすれば色仕掛け以外の何物でもない。

人間は、ファッションという概念を作り始めたときから、みせない色仕掛けの方法を編み出したのだろう。

それはボディ以上に色っぽい演出なのだ。

ということは頭のなかに留め、幾つかのコメントを披露し小樽に帰ろう。

 

 

コメント (2)
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