Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング505. 小説:小樽の翆433. 夏の終わりか!

2021年09月10日 | Sensual novel

 

 遠くにヨットがあてもなく係留されている。

ナンタルのカフェからみると、夏の名残のような気だるい風景を眺めることができる。

カフェは、美希姉ちゃん達がたむろしている。夕方のお茶の時間というわけである。

美希「最近妊娠する女子高生が増えたヨーーん」

「まあ人口減少時代だから、けっこうな事ではないですかぁー、ひょっとして竜宮の遣いでも来たかなぁー」

美希「それがねぇーYOU TUBEでショート版の新婚家庭の動画をいつもやってんだって。それがままごとなのよ。なんだ結婚してまでそんな幼稚な会話をしてるんだ、くだらねぇー。そしたら、子供だけもらっとけばいいかぁー、という女の子が出てきたの」

「それってドラマ仕立てだから現実ではないけど」

美希「そんな会話が出てくるということは、案外幼稚な夫婦の会話があるんじやない」

「火のないところに煙はたたない、ですか」

昔モラトリアム時代という言葉があった。

大人になるのを猶予し、子供のままでいようという意識だった。

今も生きているんだ。

いや、モラトリアムを通過して、幼児化しているではないか。

一体いつ大人になるんだろう。

それでいて、子供だけもらっておくというわけだ。

そんな風に考えてゆくと、世の中は二極化しているのかもしれない。

早く大人になりたいタイプと、いつまでも幼児化を引きずっていたい世代とがいるということか。

つまり結婚という概念を無視するか、あるいは結婚をママゴトの延長と捉えるかの違いかもしれない。

徴税のためにもうけられた結婚&世帯主義というものが、なくなりつつあるのかもしれない。

そんな風に頭の中をぐるぐると、ある要素が駆け巡っている。

美希「アチキー、なんか眼が点になってるよ!」

「おっ、ぼうっとしていた。ビックマックだよね!。直人君もだろ!!」

そういってビッグマックで腹ごしらえをして、カフェを跡にした。

もう夕焼けが眩しいぐらいに見えている。

やはり夏の終わか。

 

 

 

 

 

 

 

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