Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

エッセイ712. 明治期小樽の街の姿を復元してみよう、余話、その3.

2024年04月26日 | field work

 
  次は明治期芝居小屋の復元だ。小樽の入船町にあった末廣座という。といって当時の図面はおろか写真もなく、あるのは当時の絵図1枚だ。なにしろその後火災で焼失しているからね。ここから復元ですか・・・。
 こういうときは類似の建築を探す。すると日本では3軒の芝居小屋があった。いづれも文化財だ。さてどれを手本にするか・・・。どうせ過去のしがらみに縛られる日本人だ。古い芝居小屋を手本にしよう。そう香川県にある金比羅大芝居だ。これなら修復工事をしているので図面が残っている。調べたら京大の図書館にある。ほなら行きますか。
 そんなわけで金比羅大芝居の小屋を参考にした。末廣座の絵図をみると金比羅大芝居のような劇場の上部のフライタワーの設えが無い。ならば構造を考えながら新たに組み立てるほかない。これなら構造上維持できるはずだ、というので建築の軸組や内装まで3DCGで制作している。
 論文では内部はいらないので、つくる必要が無かったが、内部をつくらないと柱や構造が見えないこともある。だから内部も3DCGで設えた。そんな制作途中のレンダリングを撮影していた。こんなことをして制作しているわけだ。実際の建築現場と大差ない。というのも考え方は一緒ですからね。
 もちろん実際につくれと言われたら、できますよ!。そういう精度の仕事であった。
 実をいうと後で解ったことだが、実際に建てられた建築は、間口が2間(1.8m)ほど短かったと思われる。長手方向ももう少し短くてよかった、ということがわかった。というのも戦前の地籍図に配置して初めて解ったことだが。もちろんここまで仕上げたら直さない。論旨には影響がないからね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする