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番外編488. 新型コロナウィルス19. 社会的免疫獲得の時期について

2021年09月03日 | analysis

 衆議院解散と自民党総裁選がとりざたされている。現政権及び日本政府は、COVID-19の対策において無策であったとする批判がある。本当にそうなのか?。そこで無策だったのか、有効策だったのかについて各国の感染状況を比較しつつ検証してみよう。あわせて日本の現在の感染状況について記した。

 

1.人口10万人あたりのG7を初めとする各国の感染状況について

 これまでの感染状況をG7国及び中国、韓国、インドについてみてみよう。指標には、これまでの総数である感染者数累積値と死者数累積値を用いた。また各国の人口数が異なるので、比較するために人口10万人あたりの値を算出し、表1と図2にしめした。これらの表図を用いて各国の感染状況を考察してみよう。

表1.人口10万人あたりの感染状況(2021/8/12)

図1.人口10万人あたりの感染状況

 

 人口10万人あたりの感染者数累積値では、図1の順に最大値から米国10,934人、スペイン9,968人、フランス人9,866人、英国9,098人、イタリア7,299人、ドイツ4,546人、カナダ3,849人、インド2,321人、日本846人、韓国423人、中国7人の順である。日本と韓国及び中国は、欧米と比較すれば1桁小さい値であることが特徴である。

 人口10万人あたりの死者数では、最大値から順に、米国187人、スペイン176人、フランス173人、英国193人、イタリア212人人、ドイツ110人、カナダ71人、インド31人、日本12人、韓国4人、中国0.32人である。日本は9番目となり、日本、韓国、中国は欧米諸国とは桁数が違う。

 以上の事から、日本は欧米諸国と比較すれば、感染者数、死者数が低く抑えられてきた。同じアジア地域であり、早くから感染症対策をおこなってきた韓国と同様に、いずれの値も低い。中国は感染発生国であるが、感染対策も外出禁止を徹底した結果、現時点では収束をみている。

 従って、日本は、欧米の各国と比較すれば、決して無策ではなかったとみられる。それは日本政府・全国自治体・医療従事者及び国民が感染症対策に努めてきた結果だとみてよいだろう。

 メディアは突出した行動しか報道しないが、メディアが扱わない静かな絶対多数の日本人、すなわちサイレントマジョリティ(静かなる絶対多数)が、店の経営や生き残る道に知恵をしぼり、出歩きたい外出も回数を減らし、自宅に籠もって息をひそめ、東京オリンピックを無観客でおこなう決断に意義をとなえず、感染が通り過ぎるのを忍耐強く耐えてきた。これまでは、そうしたことがいえそうだ。だか明日以降のことはわからない。だからこそワクチン接種を急ぐべきだが、そのワクチンは世界各国で取り合いになっているのだろう。

 

2.日本の感染状況とワクチン接種回数の関係性について

 図2は、1日の感染者数推移とワクチン接種回数累積値の推移をみた2軸グラフである。青線が感染者数であり、これまでの感染拡大以上に高い値を示しており、8月下旬に大きく感染者数が増加しており、今はこれまでに経験したことがない感染拡大や医療崩壊の状況下にある。

 オレンジの線がこれまでのワクチン接種回数累積値である。5月27日以降は、1日あたり一定の接種回数で増加し推移している。尚国が発表しているデータは、8月6,7,8,13,14,20,21,23,25,27,28日はデータを発表していない。きわめて曖昧な態度だ。というのもデータが存在しない事と、0値とは統計上の意味が異なる。ここではデータがないので当該日は削除した。

図2. 1日単位の感染者数とワクチン接種回数の推移

出典:厚生労働省:新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について、20201月〜6月4日、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00254.html

 Oxford Univ.Our World in Data、https://ourworldindata.org/covid-vaccinations

 

 図3は、この二つの指標の関係性をみるために相関係数を算出したものである。当然負の相関を示すことが感染収束に向けた傾向であるが、8月は正の相関であり収束傾向どころか拡大傾向である。ただし7月よりは値が小さいというのが微かな希望だろう。ようやく灯りが一つだけともった感じ、一つだから状況によっては消えるかもしれない。

 従ってこの図を見る限りでは、緊急事態宣言は、予定の9月12日に解除できないと私は判断している。多分2週間ほど延長されるか、9月末まで続くのだろう。悪ければ正の値が高くなることだってありえる。やはり相関がマイナス値にならないと収束に向かう傾向だとは言えない。

図3. 月単位の感染者数とワクチン接種回数累積値の相関係数

 

3.日本における社会的免疫の獲得時期について

 8月31日時点でのワクチン接種回数は、1億3090万回である。2回接種に換算すれば1/2の6,545万人となる。このデータは1回接種者数も含んでいるから、NHKの最新データでみると2回接種者数は4,979万人と発表されている。まだ過半にも及ばない状況である。

 3月からワクチン接種が開始され、5月17日以降接種速度が加速し以後一定のペースで接種が進められている。回帰式は7月時と変わらない。5月までの接種速度が遅い時期が繁栄されているので回帰直線は、現在の接種速度の直線と比較すれば緩やな傾斜である。なぜこうしているかだが、いつまでも現在の接種速度が維持されるとは限らず、米国の例のように60%を越えると接種速度が落ちると推測しているからだ。

 社会的免疫獲得時期を図4から読み取れば、現在の接種速度であれば国民60%の接種完了が9月17日頃、だが回帰直線では11月25日、70%は2022年1月10日頃、80%は2月17日頃、90%は3月30日となる。ただし12歳以下をどうするのかという課題もあり、現時点では70〜80%止まりではなかろうか。

図4.現時点での感染収束時期の予測結果

 

4.まとめ

 ワクチン接種後に発熱したり倦怠感があったりする後遺症が出る。それは体内に抗体を作ろうとしている作用であり健全な事だ。そして接種後に症状がなかったという人もいる。つまりワクチン効果がないとする場合である。ファイザーワクチンの発症予防効果は95%、そして5%の人には効果がない。100人に5人はワクチンが効かないというわけだ。

 またワクチン効果が持続する期間が、今後問題になる。米国では、2回目接種後8ヶ月後の3回接種の準備をしているだろう。というのも抗体が40%以下になるとワクチン効果が薄くなる特性がある。ワクチン接種は永続的効果があるわけではなく、8ヶ月後にブースター接種が必要だとする米国の見解もあり、我が国でもブースター用ワクチンをオーダーしている事だろう。

 そうしたワクチンの特性を踏まえ抗体がどの程度の量があるかの検査が市中の特定のクリニックでもできる。それが、ワクチン接種後の抗体測定検査(lgGを含む)であり、5,000円程度で検査してくれる。というのが私が聞いた話である。

 今後どうなるかの予測は、今年前半からのデータを日ごとの時系列で1日の感染者数とワクチン接種者数累積値の相関をとれば、すくなくとも一ヶ月先の動向はわかるし、データ構造は単純だから高校生でも算出できる。私がこんなことを始めたのも沖縄へダイビングにゆく機会を探るためだったが、政府CIOのポータルサイトをみても沖縄県は最新値しかない。過去1日毎の三ヶ月分位のデータがほしいのだが・・・。

 

京都市

SONYα6000、Leitz Elmarit28mm/f2.8

ISO100,露出補正-0.3,f/8,1/800

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