春火鉢とは、春になっても置いてある火鉢のこと。暖かい春の日が続いたかと思ったら突然1日だけ寒い日がやってくる。だから寒い日もあるかもしれないというので火鉢をだしたままにしていた。そんな春火鉢の日に撮影した。しかし桜が咲き始めていた。
今日は歩くビジターの後ろ姿を借りて街の空気を描こうと努めた。従って動きがないカットは、ものすごく短く編集してみた。一寸テンポが速かった。
いつも同じ散歩コース。というのも京都の中で祇園界隈が古都の空気を唯一残しているからだ。実をいうと京都の古都が面的に残されているエリアは、伝統的建造物群保存地区ぐらいしかない。それは祇園、小さいけれど上賀茂と嵯峨野だけである。あとはお寺さんを別にすれば、街の中に一寸だけ残された民家といった具合いに点在しているだけ。これらをのぞけば古都の空気は消えてしまった。
それでも街が小さいから、ほぼ毎日古都の空気を吸いに散歩している。映像の練習を兼ねて・・・。そうすると古い建築群が季節によって、また光によって少しずつ違って見える事もある。そんな違いが撮影出来れば面白いけど・・・。
もう一つ散歩コースが決まっている理由がある。家で仕事をしていて珈琲の飲み過ぎで出歩くから当然トイレにゆきたくなり、それが調度よく祇園界隈の散歩コースに点在している。それと街への眺望が樹木の間から見え隠れするあまり人の来ない喫煙所があることもあげておきたい。椅子に座り街を眺めつつスマホでチャットをしているのが日課である。ここは高台寺の敷地内にある。
心地よいというのは、さっきまで学術論文の校正をしてPDFファィルで送り安堵していたからだ。完全原稿ですといって提出したまではよかったが、再度見直すと13カ所も訂正すべきところがあって愕然としていた。丁寧な大学教員の取り計らいで校正時間を設けてくれて救われた。
この日東京では、10輪程の桜の花を確認して2週間早い桜の開花宣言がなされたが京都ではすでに樹木毎咲いていた。
そしてアメリカ・シリコンバレーの銀行が破産したために、上昇を続けていた銀行株が値下がりしたことをメディアが報じていた。だから桜の木の下には死体が埋まっているとする梶井基次郎の小説を思いだしていた。
高台寺の喫煙所
京都・春火鉢 HD 1080p
SONYα6600、E10-18mm/F4.0,OSS