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「ヤンキーの虎」という本は、各地方で様々な業種・業務に参入してどん欲にビジネスを広げてお金持ちになっている比較的若い経営者である「ヤンキーの虎」について分かりやすく説明したものです。
その名の通り、割と多いのが元々ヤンキーをまとめていた統率力のある人が、コンビニや携帯電話ショップなどのフランチャイジーになり、店舗数をどんどん増やして成功していることが多いようです。
その成功のポイントとしては「地元の情報」に精通し、「地縁血縁」を大切にして、地元に満足しているマイルドヤンキーを雇い、キャッシュを仲間内の中で回す工夫をしていることのようです。
特に仲間意識を非常に大切にしているのは素晴らしいと思いましたね。
またヤンキーの虎の特性としては、アクティブな「若さ」、リスクを負うことを恐れない「チャレンジ精神」、積極的に勉強会に参加し東京を訪れて「情報収集」することのようです。
リスクを恐れないチャレンジ精神と、積極的に情報収集する特性が成功の要因だし、素晴らしいと思います。
そのほか、ヤンキーの虎は最近は健康志向が強く、積極的に運動をして爽やかでスマート・スポーティで、また家族を大事にして夜遅くまで会社にいることはなく、子供の教育にも非常に熱心なようです。
ヤンキーという言葉からは想像がつかないのは意外ですね^_^;)
ただ日本の将来のためには人口減を止めることが必要で、そのためには子どもを産みやすく育てやすい地方を活性化する必要があると思います。
その地方を活性化するためには「ヤンキーの虎」のような経営者が今後増えることが重要かと思います。
ヤマダ電機やニトリ、ユニクロ、ドン・キホーテ、しまむら、イオン、CoCo壱番屋、スーパーホテルなどは地方(地元)で起業し、全国展開させた会社ですが、実はみな「元・ヤンキーの虎」だと思います。
これらは日本のナショナルブランドに育って、地方経済を支えるだけでなく全国規模で経済を支える存在となっていますが、今後もそのような「元・ヤンキーの虎」の会社が増えることを日本経済発展のためにも期待したいと思います。
本書では、「ヤンキーの虎」が生まれた時代背景やその具体的なビジネス例や手法、人物特性、政府の経済政策を踏まえた地方の将来、地方創生に向けた取り組みなどについて、とても分かりやすく書かれていて、今後のより良い日本についてヒントになると思います。
「ヤンキーの虎」という本はとてもオススメです!
以下はこの本のポイント等です。
・少し前に「マイルドヤンキー」論が流行りました。マイルドヤンキーとは、地方で生まれ育ち、都会に対するあこがれをあまり持たず、地元で働いて、その生活に満足している現代の若者たちを総称した言葉です。マイルドヤンキーとは具体的には次のような特徴がある人たちのことです。
・生まれ育った地元が大好きで、東京に出てくることは考えていない。
・どちらかというと低学歴の人が多い。
・成長意欲や出世欲は強くない。非常に保守的。
・小中高時代の友人たちが大好きで、繋がりを大事にする。
・遠出はせず、生活も遊びも地元で済ませる
・地元にある大型ショッピングモールで過ごすことが多い。
・結婚や出産は割と早い
・実家に近い場所に住むか、親と同居しているため、比較的ゆとりのある生活をしてる。
・共働きしているケースが多く、世帯収入は低くない。
・インターネットやスマホをあまり活用していないため、ITへの関心やスキルは低い。Facebookはやらず、LINEを活用。
・喫煙率、飲酒率が高い
・車社会の地方都市や郊外に住んでいるため、自動車が大好き
東京や大阪、名古屋などの大都市で暮らす人にとっては、地方で暮らす人々の実体は見えにくく、気がつかないことが多いですが、このような生活をしている人たちは多数存在しています。
・「ヤンキーの虎」とは、どのような人たちなのでしょうか。一言で言いますと、次のような人や企業のことです。
「地方を本拠地にしていて、地方でミニコングロマリット(様々な業種・業務に参入している企業体)化している、地方土着の企業。あるいは起業家」
これがヤンキーの虎の位置づけです。「地方豪族」と言ってもよいかもしれません。彼らが最も好むのは、「シンプルで、でっかく儲けられそうなもの」。それほど複雑なビジネスモデルではありません。とにかく儲けられそうだと思ったら、すぐに始める瞬発力と柔軟さを持っているのです。ですから、ヤンキーの虎たちは、驚くほど様々なビジネスを展開しています。たとえば、パチンコやラブホテル、ウエディングビジネス、携帯電話の販売ショップ。保有している裏山を改造してサバイバルゲームフィールドを作って集客する経営者もいました。事業に一貫性はありませんが、多角的に儲けています。そこで働いているのがマイルドヤンキーであり、彼らを束ねているのがヤンキーの虎です。
・地方経済は2001年に成立した小泉内閣の時代に一度、大きく破壊されました。バブル後の不良債権処理が最優先され、銀行が中小企業にお金を貸さなくなりました。「貸し渋り」や「貸しはがし」という言葉がよく聞かれたのもこの頃でした。さらに、赤字財政の是正が急務となり、結果、それまで地方を支えてきた公共投資が大幅に減らされてしまったのです。地方はどんどん苦しくなっていきました。当然、会社の運営が厳しくなる経営者がたくさん出てきました。ある人は廃業し、ある人は活動を小さくしていきました。しかし、その中で、敏感に世の中のニーズを嗅ぎ取り、ビジネスを横展開していく人たちが出てきたのです。それがヤンキーの虎です。
・当時、彼らは、どのようなビジネスを始めたかと言いますと、最も多いのは介護事業です。少子高齢化が進む中、介護の需要は右肩上がりに増えていますから、ある程度の資本がある地方の経営者や起業家たちは、社会福祉法人を立ち上げて介護業に参入しました。そのほか、保険業、ミネラルウォーターや浄水器などの水ビジネス、居酒屋、新しいタイプの焼き肉屋、コンビニのフランチャイジーなどを複数やりながら伸びた会社もたくさんあります。中でも、ヤンキーの虎の成長の大きな起爆剤となったのは、携帯電話の販売ショップです。1990年代後半から携帯電話の普及が急速に進んだことを背景に、地方でも販売ショップの数が一気に増えていきました。そういった場所で働いていた若者の多くが、マイルドヤンキーたちでした。彼らを上手に使いながら、ヤンキーの虎が成長していったのです。
・なぜヤンキーの虎っちは順調に成功できたのでしょうか。その理由の一つは、地銀や信用金庫の存在です。地方の金融機関は、金融の地産地消を進めていて、ヤンキーの虎たちに積極的に融資しているのです。中小規模の会社は信用金庫と、少し大きな会社になると地銀とコミュニケーションをとっています。今は金利も低く、非常にお金を借りやすいという状況も追い風になっています。ある程度、過去の収益や借金返済の実績があり、夢のある事業計画を練れば、低コストでいくらでも資金を借り入れることができるのです。お金をかければ、いくらでもビジネスチャンスがありますし、会社としても大きく伸びる可能性が生まれます。マイナス金利はさらいチャンスを広げます。二つ目は、地方ではリスクをとってビジネスを拡大させようとする人が、都会に比べると、はるかに少ないということです。高齢化が進んでいて、全般的に事業意欲が乏しいのです。しかも、最近の消費者のニーズや新しいビジネスなどの情報を持っている人たちが少ない。その中で、事業意欲が強く、ある程度の情報を持っている人たちが積極的にビジネスを展開していけば、比較的容易に競争に勝てる状態になっているのです。地方のマーケット自体は縮小していますが、だからこそ、地元でのんびり経営していた会社が次々と淘汰され、ヤンキーの虎たちがシェアを奪うことができるのです。
・ヤンキーの虎にも様々なタイプがいますが、わりと多いのが、元々ヤンキーをまとめていたような統率力のある人です。人を使うのが非常に上手で、リーダーとなる資質があります。彼らがコンビニや携帯電話ショップなどのフランチャイジーになり、店舗数をどんどん増やしていくことに成功しているケースが多く見られます。そこで私が興味を持ったのは、ヤンキーの虎は「地縁血縁」を使ったネットワークでビジネスをしているということです。彼らはキャッシュを仲間内の中で回す工夫をします。自分の仲間のグループ内でビジネスを完結させて、お金をできるだけ外の地域に出さないようにするのです。たとえば、仕入れや関連サービスなどを全部くっつけて、自分たちのグループの中から顧客を微塵も漏らさぬようにしてお金を稼ぎます。彼らは、こうした「囲い込み戦略」を感覚的に学んでいるのです。ヤンキーの虎は、もともと商売人の家で育ち、二代目、三代目として経営者になっているケースが少なくありません。先代の経営者である父親に連れられて、地元の会合に参加している間に子ども同士が仲良くなり、父親からビジネスを引き継いだ今も協力し合っている、という人たちがたくさんいるのです。そしてあうんの呼吸でお互いのテリトリーを侵さないようにしながら、情報やノウハウをお互い伝え合って、それぞれのビジネスを展開しています。
・ヤンキーの虎たちのビジネスのやり方を見ていると、地方で成功するためには、「地元の情報」と「地縁血縁」が絶対に必要だと感じます。もし、東京から来た人たちが、地方で新しいビジネスを始めようと考えた場合、いくらすばらしいビジネスモデルを持っていてお、それだけでは成功しません。地元の情報もよく分からないし、地縁血縁も地元愛もありませんから、なかなかうまくいかないでしょう。あるいは、成功するかどうか以前に、地元の地縁血縁の濃い経営者たちが、東京から進出してきた人たちを追っ払ってしまう可能性もあります。
・私の推測では、ヤンキーの虎たちは本格的な人口減少を迎える直前の2020年くらいまでは、順調に伸び続けるのではないかと考えています。ヤンキーの虎たちは、特定の地域だけではなく、全国に一様に存在し、地元ネットワークや地縁血縁を糧に事業を拡大しています。地方のマーケット自体はすでに縮小し始めていますが、人口減少が急速に進み始めるまでは、需要はそれほど減りません。せいぜい縮小率は前年比2~3%程度でしょう。その中で、意欲的な経営者がいれば、金融機関などの後押しもあって、伸びていく環境は十分にあるのです。しかし、マーケットの総需要そのものは増えているわけではありませんから、ある時点で虎同士がバッティングし始めます。そこからが、彼らの本当の戦いになるでしょう。これは2020年頃になると考えています。その先は、ヤンキーの虎同士の食い合いが起こります。より大規模に事業展開できる人、より近代的な経営をする人、より多くの人材を集めた人、資金調達やマーケティングが上手な人といった、本当に優秀な人たちが勝ち残る時代がやってくるのです。
・地方経済が縮小する中で、街の生活に根ざした様々な業種が食えなくなってきました。例えば、ガソリンスタンド、プロパンガスの販売、土木建設業、飲食業、クリーニング店、商店街に並ぶお店、パチンコ店・・・これらのお店が、次々に潰れていったのです。特に、公共工事が大幅に減ってしまったことで、建設業や土木業は業績が急速に悪化しました。そこで、事業欲の強いヤンキーの虎たちは、多角化を考えました。「本業が厳しくなってきたのであれば、新しい事業を始めればいい」と動き出したのです。彼らは、もともと持っているバイタリティと、地域のネットワークをフル活用しながら、生き残りを図ろうとしました。これが「ヤンキーの虎」の出現です。当時、彼らにとって、最も始めやすかった事業は、介護事業でした。高齢化が進む地方では、介護の需要が大きいからです。介護事業を始めるには人手が必要ですが、その問題もクリアしました。ヤンキーの虎たちは、地元のマイルドヤンキーたちと地縁・血縁でつながっていますから、人材の確保もそれほど難しくなかったのです。マイルドヤンキーたは不況によって仕事を失ってしまった。一方、ヤンキーの虎は人手が必要だった。両者の利益が一致して、すぐに新ビジネスの体制を整えることができたのです。2000年に介護保険法が施行されたことをきっかけに、ヤンキーの虎たちは、社会福祉法人を申請して、介護ビジネスに乗り出していきました。ちなみに介護大手のニチイ学館の業績が伸び始めたのも、この時期からです。
・ヤンキーの虎は、大きく分けて2種類あります。一つは「成り上がり型」。無学歴であっても、フランチャイズ化の波に乗ってチャンスをつかみ、気合いと根性で事業を拡大させた人たちです。もう一つは、「地盤引き継ぎ型」です。地域の事業会社や地域の名士の跡取りで、本業を元に事業を多角化し、伸びていった人たちです。地盤引き継ぎ型のヤンキーの虎は、ガソリンスタンドやゴルフ場、ケーブルテレビ会社などを運営している人が多いのが特徴です。地域の名士ですから、地元の政治家と一体化して、ケーブルテレビの権利を取る人もいます。ところが、地方経済が破壊されたことで、地元の名士たちもだんだん食えなくなってきました。そこで、地域の中で事業を多角化し、コングロマリット化することで、生き延びようとしたのです。
・爆発的に増えた携帯電話販売事業は、「地盤引き継ぎ型」のヤンキーの虎たちも積極的に取り組みました。特に、不動産業を営んでいた虎たちは空きビルを所有していましたから、そこで携帯ショップを次々と展開していったのです。さらに、この時期はコンビニエンスストアの拡大期でもありました。セブン-イレブンは全国展開を目指していましたし、ファミリーマートやローソンも店舗数を増やしていました。コンビニだけでなく、TSUTAYAも店舗を増やしており、都市圏が中心だったフランチャイズ化の流れが全国展開していった時期でした。ヤンキーの虎たちは、この波に乗っかって、フランチャイジーとして店舗を拡大していきました。彼らにとっては、商財は何でもいいのです。事業欲が強いので、「儲かりそうだ」と思えば、すぐに決断し参入します。一方、フランチャイザーであるこれらの大企業は、本部が東京にありますから、地元の情報や販売網を持っていませんでした。そこで、地縁血縁を大事にし、地元の情報をよく知るヤンキーの虎たちのネットワークを活用しました。両者の利益が一致したのです。こうして、東京の大企業がどんどん地方に進出し、それをヤンキーの虎が橋渡しする形で、両者は地方での存在感を強めていったのです。
・ヤンキーの虎たちの能力や特性は何でしょうか。一つは若さです。ヤンキーの虎たちの多くは30~50代と比較的若い。もちろん中には高齢の方もいますが、非常にアクティブで若々しいのです。二つ目は、チャレンジ精神です。彼らには、新しいことにチャレンジしようとする貪欲さがあります。リスクを負うことに恐れはありません。もちろん、リスクをとって事業に失敗した人もたくさんいますが、すぐに這い上がってくる強いメンタリティを持っているのです。一般的なサラリーマンでしたら、破産すると全てを失うと考えてしまったり、「クビを吊らなきゃいけない」と思い詰めてしまったりする人が多いと思います。ところがヤンキーの虎たちは、破産しても簡単に前の商売を潰して、新しい商売を始めようと考えるのです。三つ目は、情報収集に積極的であることです。一般的には、マイルドヤンキーは「情報弱者」だと言われていますが、ヤンキーの虎は正反対です。情報にかなり価値を置いていて、積極的にお金を払って情報を得ようとするのです。例えば、京セラの稲森和夫名誉会長の経営哲学を学ぶために設立された「盛和塾」や、船井幸雄氏が創業した経営コンサルタント会社「船井総研」。こういったところの勉強会に参加している人の多くは、ヤンキーの虎たちです。また、ヤンキーの虎は、東京にもしばしば訪れ、情報収集を怠りません。東京で流行っているものや人気の出そうなものを探して、地元に持ち帰るのです。いわゆる「ミニタイムマシン経営」です。タイムマシン経営とは、米国などの海外で成功したビジネスモデルを国内に輸入する経営手法です。それを東京と地方お間で行うのが、ヤンキーの虎が最も得意とするやり方です。逆に言えば、自分の地元と東京しか見ていません。彼らは、ビジネスチャンスやリスク・リターンに関して、非常に研ぎ澄まされています。儲け話に対して敏感なのです。そのために、勉強会に行ったり、人づてに情報を聞き出したりして、儲け話を探してくる。しかも、彼らは儲けるために何が重要なのか、ビジネスモデルの理解が早い。繰り返しになりますが、彼らは商売をやっている家で育った人が多いので、元々、お金の流れや儲け方をよく知っているのです。ですから、ヤンキーの虎は東京のことをよく知っています。何が流行っていて、どこの飲食店が美味しくて、どのクラブのお姉ちゃんがきれいでお客さんを連れていくにはよいお店かということまで熟知しています。彼らは、派手好きで、遊び人も多いのですが、同時に勉強家でもあるのです。そして、どの人にも必ず共通しているのは、商売に対して貪欲だということです。これは勢力を増すことにおいて、非常に大きな要素だと思います。
・かつて、お米はササニシキという品種が中心でした。これは「うるち米」で、甘みが少ないお米です。これを糖度を上げるために餅米を入れて改良したのが、コシヒカリやあきたこまち、はえぬき、きらら397などといった品種です。ちなみに、昨今「糖質制限ダイエット」が流行っていますが、それもお米の糖度が非常に高いからです。お茶碗1杯のごはんには、角砂糖14個分の糖質が含まれていると言われます。ご飯を食べる量を抑えれば、体重が減っていくのは当然のことなのです。ところが60代以上の人は、昔、甘くないお米を食べていましたから、「お米はあまり美味しくない」という印象が強くて、パンを好んで食べます。一方、20代などの若い世代は、「お米のほうが美味しいし、腹持ちがいい」という理由で、ご飯派が多数となっています。というわけで高齢化が進む地方では、パンの需要が多いのです。もちろん地方にも昔からパン屋はありましたが、古くさくて何の変化もない店ばかりでした。変わらないメニュー、古い機械、古い店舗。これではなかなか消費者の心をつかめません。そこで、ヤンキーの虎たちが新しいパン屋を展開し始めました。東京に行って、おしゃれなパン屋を見つけ、「タイムマシン経営」で地元に持ちこんだのです。例えばベーカリーレストラン「サンマルク」は、パンが食べ放題です。このお店は、専用のパン焼き器がありますから、素人でもおいしいパンが焼けるのです。低コストで美味しいパンができるのですから、機械さえ持ってくれば、どこでも誰でも美味しいパンを作ることができます。パンの販売だけではなく、お店にカフェを併設すれば、お客さんの居場所ができます。日中、時間のある高齢の女性が集まって、お店でおしゃべりをしながらパンを食べるのです。これで成功したのが、喫茶店チェーンのコメダ珈琲です。2015年11月時点で、全国で666店舗までその数を増やしています。今はカフェベーカリーという業態がすごく流行っています。その一方で、昔ながらのパン屋はどんどん潰れています。新しいアイデアや商材をどんどん取り入れた人が勝ち残り、拡大しているのです。
・「いい会社」とは「誇れる会社」だそうです。もう少し具体的に言うと「お金より仲間を大事にする会社」ということです。今の若い世代は、「仲間意識」を非常に大切にします。地方の若者(=マイルドヤンキー)は、仲間とのつながりを重視する傾向があると話しましたが、まさにこの点は無視できないポイントなのです。経営者はこの点を理解しなければ、人手を集めることはできません。では、仲間意識の強い会社をつくるために、経営者はどのようなことに注意すればいいのでしょうか。それは、「社長と社員は、立場的に上下はあっても、意識の上では仲間」という視点が必要だと橋本さんは言います。昔は、社長と社員は、やや極端ではありますが「王様と奴隷」の関係でした。上下関係がはっきりしていて、「社長(上司)の言うことには絶対服従」という会社がほとんどだったのです。しかし今、このようなピラミッド構造的な考え方をする会社ですと、若い人たちはすぐに辞めてしまいます。若い人たちからすれば、ほかにも働く場所はありますし、元々お金をたくさん稼ごうという欲もありませんから、会社の居心地が悪ければさっさと辞めてしまうのです。そんな若い人たちを会社に定着させるためには、「一緒に仕事をしている」という意識をお互いに持つことが大切です。若人たちは、やる気がないわけではありません。お金より、気持ちよくがんばれる会社で働きたいだけなのです。よく「若者は意欲がない」と話す人がいますが、意欲の方向性が違うだけです。
・「二代目世代」の経営者は、先代社長とはまったく異なったタイプの人たちです。若手経営者たちは、たとえお金を持っていても、銀座で剛勇するようなことはしません。では、どんなのものにお金と時間を使うのかというと、最も多いのがスポーツです。シュノーケリング、ロードバイク、トライアスロン、スカッシュ。健康への意識が高まっていて、積極的に体を動かしているのです。仕事で東京にやって来る時も、わざわざランイングシューズを持参して皇居の周りを走り、帰りにアスリート専用のレストランで食事をする。非常に健康的でさわやかです。もはや二代目世代の価値観では、銀座がステータスではなくなっています。色欲が男の勲章ではなくなっているのです。むしろ銀座のキャバクラで遊ぶことは格好悪い。皇居ランのほうがはるかに格好いいのです。もちろん、接待で飲みに行くことはありますが、おつきあいの一環でしかありません。22時前には帰ります。彼らの二つ目のお金の使い道は投資です。事業で稼いだお金は個人的な趣味や遊びにつぎ込むようなことはせず、次の事業拡大のためにせっせと貯金しているケースが多いそうです。また彼らは家族を大事にしているという特徴もあります。子どもの教育にも非常に熱心です。仕事よりもそちらの興味のほうが強いのではないかと感じるほどです。家族との時間を大切にしますから、夜遅くまえ会社にいるようなこともほとんどありません。なぜ、このような変化が起こってきているのでしょうか。おそらく二代目世代は先代を見て、「いくらお金を儲けてブランド物を身につけて遊びまくっても、幸せになっていないじゃないか」と思っていたのではないか。実際に口に出すことはありませんが、本音のところはそうではないかと感じるそうです。非常に健康的でスマートで真面目。今、経営者の像が変わりつつあるのです。
・「中小の運送業は、はっきり言って、大手や中堅の下請けです。下請けというのは、だいたい上から泣かされます。私はいつも「下請けを泣かすな」と言っているんですね。下請けは泣かせるのではなく、育てろと。泣かせちゃったら、後で泣くのはこっちだよと。育てれば、お互いハッピーになるんだから」。こういった考え方のもとで、彼は自社の社員だけでなく、協力会社の社員の教育まで手掛けるようになったのです。
・実例ですが、ある地域に有名な牛丼チェーンを20店舗ほど経営するヤンキーの虎がいました。しかし、そのチェーンの売り上げが落ち込み、「もうこれでは儲からない」と判断すると、すぐさますべての契約を解除して、あっと言う間にほかのお店に変えてしまったのです。FC本部としては由々しき事態です。地域の有力フランチィジーであるヤンキーの虎は、お金をたくさん持っていますし、不動産も持っていますし、地域の情報、顧客網も持っています。彼らが売り手になれば、その地域での売り上げを伸ばすことができます。しかし、逆に、彼らが「儲からないな」と考えると、一気に契約が解除されてしまう。同じようなことが、各地域でたくさん起こり始めました。こうして、今、多くの地域では、FC本部のほうが圧倒的に強かったのですが、もはや一方的な関係ではなくなっています。むしろ、販売力の強いフランチャイジーのほうが力を強めているのです。
・ヤンキーの虎は根本的には地元が大好きで、地元のために何かをしたいという気持ちが強いですから、地元の仲間を大事にします。だからこそ、マイルドヤンキーたちを積極的に雇用してますし、上手くコミュニケーションをとって活用するのです。自分の会社の幹部たちも、地元の仲間から選んでいます。同級生の中には、地味で、真面目で、優秀で、地元の国立大学に進学した人が必ずいます。そういう信頼の置ける人を、経理部長や総務部長、子会社の社長などに抜擢するのです。経営体制は自分の身内や親戚で固めつつ、地縁でつながっている優秀な仲間を会社の中に取り込んでいく。さらに、東京で一旗揚げるような野心のない仲間=マイルドヤンキーたちを雇用しながらビジネスを展開しているのです。協力者も同様です。少しネットワークをたどれば、地元の有力者にも簡単につながります。役所に行っても、みんな知り合いですから、いつどこで工事が行われるかといった、新しい仕事の情報も手に入ります。特に不動産業や不動産賃貸業、建設業をやっている虎たちは、このような「究極のインサイダー取引」によって成功している面もあります。ヤンキーの虎は、東京でビジネスをしたら勝てないかもしれません。しかし、東京の情報を持って帰り、地域で培った地盤を使えば、地域の中では圧勝できると分かっています。だから、彼らは地の利を十分に生かした行動をとっているのです。
・ヤンキーの虎のビジネスを語る上で、彼らに指導をしているコンサルタントの存在を忘れてはなりません。ヤンキーの虎は勉強会やセミナーに積極的に参加して情報収集をしているとお話ししました。彼らが参加する勉強会やセミナーは大まかに2種類あります。一つは経営のノウハウや心構えを学ぶための勉強会です。たとえば、船井総研や盛和塾、西田塾やタナベ経営などがこれにあたります。盛和塾は、企業経営者のための勉強会で、稲森和夫さんの経営哲学について講義したり、ディスカッションの場を設けたりしています。船井総研も、経営コンサルタントが経営について講義しますが、ボストンコンサルティングやマッキンゼーとは視点が違います。企業の事業戦略をMBA的に語るのではなく、もっと地域に密着した生き方や経営の仕方を語るのです。また、節税対策についてもアドバイスしています。西田塾は、メンタルトレーニングを指導する西田文郎さんが主宰する経営セミナーです。著者「No.1理論」で有名な方ですね。ビジネスで成功者になるために、メンタリティや考え方を指導しています。タナベ経営は日本の経営コンサルタントの草分け的存在で、中堅企業のコンサルティングでは圧倒的な実績を誇っています。もう一つは、宗教をベースにしたもので、「縁」や「運」を引き寄せるための方法を指南するセミナーです。時々、パワーストーンなども販売あれています。ヤンキーの虎は、「運」や「縁」という言葉が大好きです。彼らは、風水セミナー、開運セミナーなどにお金を払って積極的に参加します。そこで、運を味方にする方法、仕事力を高める方法を学び、パワーストーンを買って、お布施をして、心の安定を図るのです。これによって、実際に成功者になったのか?ということは、あまり重要ではありません。逆に、成功した人が、こういうセミナーにお金を払うのです。一見、少し「胡散臭い」と感じてしまう人が多いかもしれませんが、ヤンキーの虎はこういったものが大好きです。
・2020年~2025年あたりまでは、ヤンキーの虎たちは順調に古い会社のシェアを食って、簡単に勢力を拡大していくでしょう。気合いと根性、お金と地縁血縁さえあれば、いくらでも大きくなれるのです。しいかし、それ以降は需要が急速に減少していきますから、ヤンキーの虎たちもやすやすとは勝てなくなります。すると、何が起こるか。縮小する地方の中で虎同士がバッティングし、ヤンキーの虎同士の食い合いが始まるのです。ここで初めて、優秀な虎か、優秀じゃない虎か、ということが重要になってきます。より近代的な経営をしている会社や、より多くの人材を集めた会社が勝つようになるでしょう。M&Aも今以上に増えると考えられます。
・来たるべき2025年に備えて、何をすればいいのでしょうか。様々なアイデアがあります。たとえば政府がやろうとしているように、機関投資家を追い立てて投資を促し、企業活動を活性化させること。企業の資本効率を上げること。機械化やロボットで、労働力を支えること。移民を増やすこと。出生率を上げるために、育児支援を積極的に行うこと。どれも大切なことです。その中で、地方においては、ヤンキーの虎を育てることが鍵になると思います。ヤンキーの虎は、地方のプチ資本家であり、資金の供給者でもあり、資金の使い手でもあります。つまり、地方でお金を回す一つの仕組みになっているのです。彼らを育てていけば、地方での金回りがよくなります。確かに地方経済は衰退スピードを速めますが、ヤンキーの虎は、そのスピードを食い止める働きをするのではないかと思うのです。
・実は地方への出張そのものが地方に関する貢献であると考えています。地方にお金を落とすための確実な方法はまずその場所に行き、お金を落とすことです。地方で宿泊をし、地方でその地域の食材を中心としたレストランで食事をして、地域の特産物を買い、その地域の自慢の観光地に足を運ぶこと。そしてその地域に友人や知人を作ることです。そのことを通じて、見識を広げたり、自然や歴史を感じる地域の文化資産に感動をしたり、それらを通じて心を豊かにすることができます。日本は南北に長いので、同じ時期でも地域によって気候の変化も大きいです。
・団塊世代が後期高齢者にさしかかる2025年。それからさらに10年ほど経てば、この世代が亡くなり、高齢者の数が少しずつ減っていきます。すると、居場所ビジネスも転換期を迎えるでしょう。当分はシニア層が主な顧客層となりますが、2035年あたりから頭打ちになります。団塊世代がいいなくなると、次に団塊ジュニア世代が高齢者になりますから、この世代のニーズを拾うことができれば、しばらくは伸び続けます。しかし、いずれにしても高齢者の数は減っていくわけですから、次の手だてを考えなければなりません。その点では、シニア層だけでなく、幅広い層にこのビジネスを受け入れてもらわなければならないと思います。ターゲットは、「オフキャリア」です。引退した世代だけでなく、現役世代にもオフキャリアはあります。会社員は、一般的に9時から17時まで仕事をしますが、それ以降は自由な時間になります。そこで、若い人も18時以降に来てもらえるような習慣をつくることができれば、居場所ビジネスは長期的に伸び続けることができるでしょう。
良かった本まとめ(2015年下半期)
<今日の独り言>
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「ヤンキーの虎」という本は、各地方で様々な業種・業務に参入してどん欲にビジネスを広げてお金持ちになっている比較的若い経営者である「ヤンキーの虎」について分かりやすく説明したものです。
その名の通り、割と多いのが元々ヤンキーをまとめていた統率力のある人が、コンビニや携帯電話ショップなどのフランチャイジーになり、店舗数をどんどん増やして成功していることが多いようです。
その成功のポイントとしては「地元の情報」に精通し、「地縁血縁」を大切にして、地元に満足しているマイルドヤンキーを雇い、キャッシュを仲間内の中で回す工夫をしていることのようです。
特に仲間意識を非常に大切にしているのは素晴らしいと思いましたね。
またヤンキーの虎の特性としては、アクティブな「若さ」、リスクを負うことを恐れない「チャレンジ精神」、積極的に勉強会に参加し東京を訪れて「情報収集」することのようです。
リスクを恐れないチャレンジ精神と、積極的に情報収集する特性が成功の要因だし、素晴らしいと思います。
そのほか、ヤンキーの虎は最近は健康志向が強く、積極的に運動をして爽やかでスマート・スポーティで、また家族を大事にして夜遅くまで会社にいることはなく、子供の教育にも非常に熱心なようです。
ヤンキーという言葉からは想像がつかないのは意外ですね^_^;)
ただ日本の将来のためには人口減を止めることが必要で、そのためには子どもを産みやすく育てやすい地方を活性化する必要があると思います。
その地方を活性化するためには「ヤンキーの虎」のような経営者が今後増えることが重要かと思います。
ヤマダ電機やニトリ、ユニクロ、ドン・キホーテ、しまむら、イオン、CoCo壱番屋、スーパーホテルなどは地方(地元)で起業し、全国展開させた会社ですが、実はみな「元・ヤンキーの虎」だと思います。
これらは日本のナショナルブランドに育って、地方経済を支えるだけでなく全国規模で経済を支える存在となっていますが、今後もそのような「元・ヤンキーの虎」の会社が増えることを日本経済発展のためにも期待したいと思います。
本書では、「ヤンキーの虎」が生まれた時代背景やその具体的なビジネス例や手法、人物特性、政府の経済政策を踏まえた地方の将来、地方創生に向けた取り組みなどについて、とても分かりやすく書かれていて、今後のより良い日本についてヒントになると思います。
「ヤンキーの虎」という本はとてもオススメです!
以下はこの本のポイント等です。
・少し前に「マイルドヤンキー」論が流行りました。マイルドヤンキーとは、地方で生まれ育ち、都会に対するあこがれをあまり持たず、地元で働いて、その生活に満足している現代の若者たちを総称した言葉です。マイルドヤンキーとは具体的には次のような特徴がある人たちのことです。
・生まれ育った地元が大好きで、東京に出てくることは考えていない。
・どちらかというと低学歴の人が多い。
・成長意欲や出世欲は強くない。非常に保守的。
・小中高時代の友人たちが大好きで、繋がりを大事にする。
・遠出はせず、生活も遊びも地元で済ませる
・地元にある大型ショッピングモールで過ごすことが多い。
・結婚や出産は割と早い
・実家に近い場所に住むか、親と同居しているため、比較的ゆとりのある生活をしてる。
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・インターネットやスマホをあまり活用していないため、ITへの関心やスキルは低い。Facebookはやらず、LINEを活用。
・喫煙率、飲酒率が高い
・車社会の地方都市や郊外に住んでいるため、自動車が大好き
東京や大阪、名古屋などの大都市で暮らす人にとっては、地方で暮らす人々の実体は見えにくく、気がつかないことが多いですが、このような生活をしている人たちは多数存在しています。
・「ヤンキーの虎」とは、どのような人たちなのでしょうか。一言で言いますと、次のような人や企業のことです。
「地方を本拠地にしていて、地方でミニコングロマリット(様々な業種・業務に参入している企業体)化している、地方土着の企業。あるいは起業家」
これがヤンキーの虎の位置づけです。「地方豪族」と言ってもよいかもしれません。彼らが最も好むのは、「シンプルで、でっかく儲けられそうなもの」。それほど複雑なビジネスモデルではありません。とにかく儲けられそうだと思ったら、すぐに始める瞬発力と柔軟さを持っているのです。ですから、ヤンキーの虎たちは、驚くほど様々なビジネスを展開しています。たとえば、パチンコやラブホテル、ウエディングビジネス、携帯電話の販売ショップ。保有している裏山を改造してサバイバルゲームフィールドを作って集客する経営者もいました。事業に一貫性はありませんが、多角的に儲けています。そこで働いているのがマイルドヤンキーであり、彼らを束ねているのがヤンキーの虎です。
・地方経済は2001年に成立した小泉内閣の時代に一度、大きく破壊されました。バブル後の不良債権処理が最優先され、銀行が中小企業にお金を貸さなくなりました。「貸し渋り」や「貸しはがし」という言葉がよく聞かれたのもこの頃でした。さらに、赤字財政の是正が急務となり、結果、それまで地方を支えてきた公共投資が大幅に減らされてしまったのです。地方はどんどん苦しくなっていきました。当然、会社の運営が厳しくなる経営者がたくさん出てきました。ある人は廃業し、ある人は活動を小さくしていきました。しかし、その中で、敏感に世の中のニーズを嗅ぎ取り、ビジネスを横展開していく人たちが出てきたのです。それがヤンキーの虎です。
・当時、彼らは、どのようなビジネスを始めたかと言いますと、最も多いのは介護事業です。少子高齢化が進む中、介護の需要は右肩上がりに増えていますから、ある程度の資本がある地方の経営者や起業家たちは、社会福祉法人を立ち上げて介護業に参入しました。そのほか、保険業、ミネラルウォーターや浄水器などの水ビジネス、居酒屋、新しいタイプの焼き肉屋、コンビニのフランチャイジーなどを複数やりながら伸びた会社もたくさんあります。中でも、ヤンキーの虎の成長の大きな起爆剤となったのは、携帯電話の販売ショップです。1990年代後半から携帯電話の普及が急速に進んだことを背景に、地方でも販売ショップの数が一気に増えていきました。そういった場所で働いていた若者の多くが、マイルドヤンキーたちでした。彼らを上手に使いながら、ヤンキーの虎が成長していったのです。
・なぜヤンキーの虎っちは順調に成功できたのでしょうか。その理由の一つは、地銀や信用金庫の存在です。地方の金融機関は、金融の地産地消を進めていて、ヤンキーの虎たちに積極的に融資しているのです。中小規模の会社は信用金庫と、少し大きな会社になると地銀とコミュニケーションをとっています。今は金利も低く、非常にお金を借りやすいという状況も追い風になっています。ある程度、過去の収益や借金返済の実績があり、夢のある事業計画を練れば、低コストでいくらでも資金を借り入れることができるのです。お金をかければ、いくらでもビジネスチャンスがありますし、会社としても大きく伸びる可能性が生まれます。マイナス金利はさらいチャンスを広げます。二つ目は、地方ではリスクをとってビジネスを拡大させようとする人が、都会に比べると、はるかに少ないということです。高齢化が進んでいて、全般的に事業意欲が乏しいのです。しかも、最近の消費者のニーズや新しいビジネスなどの情報を持っている人たちが少ない。その中で、事業意欲が強く、ある程度の情報を持っている人たちが積極的にビジネスを展開していけば、比較的容易に競争に勝てる状態になっているのです。地方のマーケット自体は縮小していますが、だからこそ、地元でのんびり経営していた会社が次々と淘汰され、ヤンキーの虎たちがシェアを奪うことができるのです。
・ヤンキーの虎にも様々なタイプがいますが、わりと多いのが、元々ヤンキーをまとめていたような統率力のある人です。人を使うのが非常に上手で、リーダーとなる資質があります。彼らがコンビニや携帯電話ショップなどのフランチャイジーになり、店舗数をどんどん増やしていくことに成功しているケースが多く見られます。そこで私が興味を持ったのは、ヤンキーの虎は「地縁血縁」を使ったネットワークでビジネスをしているということです。彼らはキャッシュを仲間内の中で回す工夫をします。自分の仲間のグループ内でビジネスを完結させて、お金をできるだけ外の地域に出さないようにするのです。たとえば、仕入れや関連サービスなどを全部くっつけて、自分たちのグループの中から顧客を微塵も漏らさぬようにしてお金を稼ぎます。彼らは、こうした「囲い込み戦略」を感覚的に学んでいるのです。ヤンキーの虎は、もともと商売人の家で育ち、二代目、三代目として経営者になっているケースが少なくありません。先代の経営者である父親に連れられて、地元の会合に参加している間に子ども同士が仲良くなり、父親からビジネスを引き継いだ今も協力し合っている、という人たちがたくさんいるのです。そしてあうんの呼吸でお互いのテリトリーを侵さないようにしながら、情報やノウハウをお互い伝え合って、それぞれのビジネスを展開しています。
・ヤンキーの虎たちのビジネスのやり方を見ていると、地方で成功するためには、「地元の情報」と「地縁血縁」が絶対に必要だと感じます。もし、東京から来た人たちが、地方で新しいビジネスを始めようと考えた場合、いくらすばらしいビジネスモデルを持っていてお、それだけでは成功しません。地元の情報もよく分からないし、地縁血縁も地元愛もありませんから、なかなかうまくいかないでしょう。あるいは、成功するかどうか以前に、地元の地縁血縁の濃い経営者たちが、東京から進出してきた人たちを追っ払ってしまう可能性もあります。
・私の推測では、ヤンキーの虎たちは本格的な人口減少を迎える直前の2020年くらいまでは、順調に伸び続けるのではないかと考えています。ヤンキーの虎たちは、特定の地域だけではなく、全国に一様に存在し、地元ネットワークや地縁血縁を糧に事業を拡大しています。地方のマーケット自体はすでに縮小し始めていますが、人口減少が急速に進み始めるまでは、需要はそれほど減りません。せいぜい縮小率は前年比2~3%程度でしょう。その中で、意欲的な経営者がいれば、金融機関などの後押しもあって、伸びていく環境は十分にあるのです。しかし、マーケットの総需要そのものは増えているわけではありませんから、ある時点で虎同士がバッティングし始めます。そこからが、彼らの本当の戦いになるでしょう。これは2020年頃になると考えています。その先は、ヤンキーの虎同士の食い合いが起こります。より大規模に事業展開できる人、より近代的な経営をする人、より多くの人材を集めた人、資金調達やマーケティングが上手な人といった、本当に優秀な人たちが勝ち残る時代がやってくるのです。
・地方経済が縮小する中で、街の生活に根ざした様々な業種が食えなくなってきました。例えば、ガソリンスタンド、プロパンガスの販売、土木建設業、飲食業、クリーニング店、商店街に並ぶお店、パチンコ店・・・これらのお店が、次々に潰れていったのです。特に、公共工事が大幅に減ってしまったことで、建設業や土木業は業績が急速に悪化しました。そこで、事業欲の強いヤンキーの虎たちは、多角化を考えました。「本業が厳しくなってきたのであれば、新しい事業を始めればいい」と動き出したのです。彼らは、もともと持っているバイタリティと、地域のネットワークをフル活用しながら、生き残りを図ろうとしました。これが「ヤンキーの虎」の出現です。当時、彼らにとって、最も始めやすかった事業は、介護事業でした。高齢化が進む地方では、介護の需要が大きいからです。介護事業を始めるには人手が必要ですが、その問題もクリアしました。ヤンキーの虎たちは、地元のマイルドヤンキーたちと地縁・血縁でつながっていますから、人材の確保もそれほど難しくなかったのです。マイルドヤンキーたは不況によって仕事を失ってしまった。一方、ヤンキーの虎は人手が必要だった。両者の利益が一致して、すぐに新ビジネスの体制を整えることができたのです。2000年に介護保険法が施行されたことをきっかけに、ヤンキーの虎たちは、社会福祉法人を申請して、介護ビジネスに乗り出していきました。ちなみに介護大手のニチイ学館の業績が伸び始めたのも、この時期からです。
・ヤンキーの虎は、大きく分けて2種類あります。一つは「成り上がり型」。無学歴であっても、フランチャイズ化の波に乗ってチャンスをつかみ、気合いと根性で事業を拡大させた人たちです。もう一つは、「地盤引き継ぎ型」です。地域の事業会社や地域の名士の跡取りで、本業を元に事業を多角化し、伸びていった人たちです。地盤引き継ぎ型のヤンキーの虎は、ガソリンスタンドやゴルフ場、ケーブルテレビ会社などを運営している人が多いのが特徴です。地域の名士ですから、地元の政治家と一体化して、ケーブルテレビの権利を取る人もいます。ところが、地方経済が破壊されたことで、地元の名士たちもだんだん食えなくなってきました。そこで、地域の中で事業を多角化し、コングロマリット化することで、生き延びようとしたのです。
・爆発的に増えた携帯電話販売事業は、「地盤引き継ぎ型」のヤンキーの虎たちも積極的に取り組みました。特に、不動産業を営んでいた虎たちは空きビルを所有していましたから、そこで携帯ショップを次々と展開していったのです。さらに、この時期はコンビニエンスストアの拡大期でもありました。セブン-イレブンは全国展開を目指していましたし、ファミリーマートやローソンも店舗数を増やしていました。コンビニだけでなく、TSUTAYAも店舗を増やしており、都市圏が中心だったフランチャイズ化の流れが全国展開していった時期でした。ヤンキーの虎たちは、この波に乗っかって、フランチャイジーとして店舗を拡大していきました。彼らにとっては、商財は何でもいいのです。事業欲が強いので、「儲かりそうだ」と思えば、すぐに決断し参入します。一方、フランチャイザーであるこれらの大企業は、本部が東京にありますから、地元の情報や販売網を持っていませんでした。そこで、地縁血縁を大事にし、地元の情報をよく知るヤンキーの虎たちのネットワークを活用しました。両者の利益が一致したのです。こうして、東京の大企業がどんどん地方に進出し、それをヤンキーの虎が橋渡しする形で、両者は地方での存在感を強めていったのです。
・ヤンキーの虎たちの能力や特性は何でしょうか。一つは若さです。ヤンキーの虎たちの多くは30~50代と比較的若い。もちろん中には高齢の方もいますが、非常にアクティブで若々しいのです。二つ目は、チャレンジ精神です。彼らには、新しいことにチャレンジしようとする貪欲さがあります。リスクを負うことに恐れはありません。もちろん、リスクをとって事業に失敗した人もたくさんいますが、すぐに這い上がってくる強いメンタリティを持っているのです。一般的なサラリーマンでしたら、破産すると全てを失うと考えてしまったり、「クビを吊らなきゃいけない」と思い詰めてしまったりする人が多いと思います。ところがヤンキーの虎たちは、破産しても簡単に前の商売を潰して、新しい商売を始めようと考えるのです。三つ目は、情報収集に積極的であることです。一般的には、マイルドヤンキーは「情報弱者」だと言われていますが、ヤンキーの虎は正反対です。情報にかなり価値を置いていて、積極的にお金を払って情報を得ようとするのです。例えば、京セラの稲森和夫名誉会長の経営哲学を学ぶために設立された「盛和塾」や、船井幸雄氏が創業した経営コンサルタント会社「船井総研」。こういったところの勉強会に参加している人の多くは、ヤンキーの虎たちです。また、ヤンキーの虎は、東京にもしばしば訪れ、情報収集を怠りません。東京で流行っているものや人気の出そうなものを探して、地元に持ち帰るのです。いわゆる「ミニタイムマシン経営」です。タイムマシン経営とは、米国などの海外で成功したビジネスモデルを国内に輸入する経営手法です。それを東京と地方お間で行うのが、ヤンキーの虎が最も得意とするやり方です。逆に言えば、自分の地元と東京しか見ていません。彼らは、ビジネスチャンスやリスク・リターンに関して、非常に研ぎ澄まされています。儲け話に対して敏感なのです。そのために、勉強会に行ったり、人づてに情報を聞き出したりして、儲け話を探してくる。しかも、彼らは儲けるために何が重要なのか、ビジネスモデルの理解が早い。繰り返しになりますが、彼らは商売をやっている家で育った人が多いので、元々、お金の流れや儲け方をよく知っているのです。ですから、ヤンキーの虎は東京のことをよく知っています。何が流行っていて、どこの飲食店が美味しくて、どのクラブのお姉ちゃんがきれいでお客さんを連れていくにはよいお店かということまで熟知しています。彼らは、派手好きで、遊び人も多いのですが、同時に勉強家でもあるのです。そして、どの人にも必ず共通しているのは、商売に対して貪欲だということです。これは勢力を増すことにおいて、非常に大きな要素だと思います。
・かつて、お米はササニシキという品種が中心でした。これは「うるち米」で、甘みが少ないお米です。これを糖度を上げるために餅米を入れて改良したのが、コシヒカリやあきたこまち、はえぬき、きらら397などといった品種です。ちなみに、昨今「糖質制限ダイエット」が流行っていますが、それもお米の糖度が非常に高いからです。お茶碗1杯のごはんには、角砂糖14個分の糖質が含まれていると言われます。ご飯を食べる量を抑えれば、体重が減っていくのは当然のことなのです。ところが60代以上の人は、昔、甘くないお米を食べていましたから、「お米はあまり美味しくない」という印象が強くて、パンを好んで食べます。一方、20代などの若い世代は、「お米のほうが美味しいし、腹持ちがいい」という理由で、ご飯派が多数となっています。というわけで高齢化が進む地方では、パンの需要が多いのです。もちろん地方にも昔からパン屋はありましたが、古くさくて何の変化もない店ばかりでした。変わらないメニュー、古い機械、古い店舗。これではなかなか消費者の心をつかめません。そこで、ヤンキーの虎たちが新しいパン屋を展開し始めました。東京に行って、おしゃれなパン屋を見つけ、「タイムマシン経営」で地元に持ちこんだのです。例えばベーカリーレストラン「サンマルク」は、パンが食べ放題です。このお店は、専用のパン焼き器がありますから、素人でもおいしいパンが焼けるのです。低コストで美味しいパンができるのですから、機械さえ持ってくれば、どこでも誰でも美味しいパンを作ることができます。パンの販売だけではなく、お店にカフェを併設すれば、お客さんの居場所ができます。日中、時間のある高齢の女性が集まって、お店でおしゃべりをしながらパンを食べるのです。これで成功したのが、喫茶店チェーンのコメダ珈琲です。2015年11月時点で、全国で666店舗までその数を増やしています。今はカフェベーカリーという業態がすごく流行っています。その一方で、昔ながらのパン屋はどんどん潰れています。新しいアイデアや商材をどんどん取り入れた人が勝ち残り、拡大しているのです。
・「いい会社」とは「誇れる会社」だそうです。もう少し具体的に言うと「お金より仲間を大事にする会社」ということです。今の若い世代は、「仲間意識」を非常に大切にします。地方の若者(=マイルドヤンキー)は、仲間とのつながりを重視する傾向があると話しましたが、まさにこの点は無視できないポイントなのです。経営者はこの点を理解しなければ、人手を集めることはできません。では、仲間意識の強い会社をつくるために、経営者はどのようなことに注意すればいいのでしょうか。それは、「社長と社員は、立場的に上下はあっても、意識の上では仲間」という視点が必要だと橋本さんは言います。昔は、社長と社員は、やや極端ではありますが「王様と奴隷」の関係でした。上下関係がはっきりしていて、「社長(上司)の言うことには絶対服従」という会社がほとんどだったのです。しかし今、このようなピラミッド構造的な考え方をする会社ですと、若い人たちはすぐに辞めてしまいます。若い人たちからすれば、ほかにも働く場所はありますし、元々お金をたくさん稼ごうという欲もありませんから、会社の居心地が悪ければさっさと辞めてしまうのです。そんな若い人たちを会社に定着させるためには、「一緒に仕事をしている」という意識をお互いに持つことが大切です。若人たちは、やる気がないわけではありません。お金より、気持ちよくがんばれる会社で働きたいだけなのです。よく「若者は意欲がない」と話す人がいますが、意欲の方向性が違うだけです。
・「二代目世代」の経営者は、先代社長とはまったく異なったタイプの人たちです。若手経営者たちは、たとえお金を持っていても、銀座で剛勇するようなことはしません。では、どんなのものにお金と時間を使うのかというと、最も多いのがスポーツです。シュノーケリング、ロードバイク、トライアスロン、スカッシュ。健康への意識が高まっていて、積極的に体を動かしているのです。仕事で東京にやって来る時も、わざわざランイングシューズを持参して皇居の周りを走り、帰りにアスリート専用のレストランで食事をする。非常に健康的でさわやかです。もはや二代目世代の価値観では、銀座がステータスではなくなっています。色欲が男の勲章ではなくなっているのです。むしろ銀座のキャバクラで遊ぶことは格好悪い。皇居ランのほうがはるかに格好いいのです。もちろん、接待で飲みに行くことはありますが、おつきあいの一環でしかありません。22時前には帰ります。彼らの二つ目のお金の使い道は投資です。事業で稼いだお金は個人的な趣味や遊びにつぎ込むようなことはせず、次の事業拡大のためにせっせと貯金しているケースが多いそうです。また彼らは家族を大事にしているという特徴もあります。子どもの教育にも非常に熱心です。仕事よりもそちらの興味のほうが強いのではないかと感じるほどです。家族との時間を大切にしますから、夜遅くまえ会社にいるようなこともほとんどありません。なぜ、このような変化が起こってきているのでしょうか。おそらく二代目世代は先代を見て、「いくらお金を儲けてブランド物を身につけて遊びまくっても、幸せになっていないじゃないか」と思っていたのではないか。実際に口に出すことはありませんが、本音のところはそうではないかと感じるそうです。非常に健康的でスマートで真面目。今、経営者の像が変わりつつあるのです。
・「中小の運送業は、はっきり言って、大手や中堅の下請けです。下請けというのは、だいたい上から泣かされます。私はいつも「下請けを泣かすな」と言っているんですね。下請けは泣かせるのではなく、育てろと。泣かせちゃったら、後で泣くのはこっちだよと。育てれば、お互いハッピーになるんだから」。こういった考え方のもとで、彼は自社の社員だけでなく、協力会社の社員の教育まで手掛けるようになったのです。
・実例ですが、ある地域に有名な牛丼チェーンを20店舗ほど経営するヤンキーの虎がいました。しかし、そのチェーンの売り上げが落ち込み、「もうこれでは儲からない」と判断すると、すぐさますべての契約を解除して、あっと言う間にほかのお店に変えてしまったのです。FC本部としては由々しき事態です。地域の有力フランチィジーであるヤンキーの虎は、お金をたくさん持っていますし、不動産も持っていますし、地域の情報、顧客網も持っています。彼らが売り手になれば、その地域での売り上げを伸ばすことができます。しかし、逆に、彼らが「儲からないな」と考えると、一気に契約が解除されてしまう。同じようなことが、各地域でたくさん起こり始めました。こうして、今、多くの地域では、FC本部のほうが圧倒的に強かったのですが、もはや一方的な関係ではなくなっています。むしろ、販売力の強いフランチャイジーのほうが力を強めているのです。
・ヤンキーの虎は根本的には地元が大好きで、地元のために何かをしたいという気持ちが強いですから、地元の仲間を大事にします。だからこそ、マイルドヤンキーたちを積極的に雇用してますし、上手くコミュニケーションをとって活用するのです。自分の会社の幹部たちも、地元の仲間から選んでいます。同級生の中には、地味で、真面目で、優秀で、地元の国立大学に進学した人が必ずいます。そういう信頼の置ける人を、経理部長や総務部長、子会社の社長などに抜擢するのです。経営体制は自分の身内や親戚で固めつつ、地縁でつながっている優秀な仲間を会社の中に取り込んでいく。さらに、東京で一旗揚げるような野心のない仲間=マイルドヤンキーたちを雇用しながらビジネスを展開しているのです。協力者も同様です。少しネットワークをたどれば、地元の有力者にも簡単につながります。役所に行っても、みんな知り合いですから、いつどこで工事が行われるかといった、新しい仕事の情報も手に入ります。特に不動産業や不動産賃貸業、建設業をやっている虎たちは、このような「究極のインサイダー取引」によって成功している面もあります。ヤンキーの虎は、東京でビジネスをしたら勝てないかもしれません。しかし、東京の情報を持って帰り、地域で培った地盤を使えば、地域の中では圧勝できると分かっています。だから、彼らは地の利を十分に生かした行動をとっているのです。
・ヤンキーの虎のビジネスを語る上で、彼らに指導をしているコンサルタントの存在を忘れてはなりません。ヤンキーの虎は勉強会やセミナーに積極的に参加して情報収集をしているとお話ししました。彼らが参加する勉強会やセミナーは大まかに2種類あります。一つは経営のノウハウや心構えを学ぶための勉強会です。たとえば、船井総研や盛和塾、西田塾やタナベ経営などがこれにあたります。盛和塾は、企業経営者のための勉強会で、稲森和夫さんの経営哲学について講義したり、ディスカッションの場を設けたりしています。船井総研も、経営コンサルタントが経営について講義しますが、ボストンコンサルティングやマッキンゼーとは視点が違います。企業の事業戦略をMBA的に語るのではなく、もっと地域に密着した生き方や経営の仕方を語るのです。また、節税対策についてもアドバイスしています。西田塾は、メンタルトレーニングを指導する西田文郎さんが主宰する経営セミナーです。著者「No.1理論」で有名な方ですね。ビジネスで成功者になるために、メンタリティや考え方を指導しています。タナベ経営は日本の経営コンサルタントの草分け的存在で、中堅企業のコンサルティングでは圧倒的な実績を誇っています。もう一つは、宗教をベースにしたもので、「縁」や「運」を引き寄せるための方法を指南するセミナーです。時々、パワーストーンなども販売あれています。ヤンキーの虎は、「運」や「縁」という言葉が大好きです。彼らは、風水セミナー、開運セミナーなどにお金を払って積極的に参加します。そこで、運を味方にする方法、仕事力を高める方法を学び、パワーストーンを買って、お布施をして、心の安定を図るのです。これによって、実際に成功者になったのか?ということは、あまり重要ではありません。逆に、成功した人が、こういうセミナーにお金を払うのです。一見、少し「胡散臭い」と感じてしまう人が多いかもしれませんが、ヤンキーの虎はこういったものが大好きです。
・2020年~2025年あたりまでは、ヤンキーの虎たちは順調に古い会社のシェアを食って、簡単に勢力を拡大していくでしょう。気合いと根性、お金と地縁血縁さえあれば、いくらでも大きくなれるのです。しいかし、それ以降は需要が急速に減少していきますから、ヤンキーの虎たちもやすやすとは勝てなくなります。すると、何が起こるか。縮小する地方の中で虎同士がバッティングし、ヤンキーの虎同士の食い合いが始まるのです。ここで初めて、優秀な虎か、優秀じゃない虎か、ということが重要になってきます。より近代的な経営をしている会社や、より多くの人材を集めた会社が勝つようになるでしょう。M&Aも今以上に増えると考えられます。
・来たるべき2025年に備えて、何をすればいいのでしょうか。様々なアイデアがあります。たとえば政府がやろうとしているように、機関投資家を追い立てて投資を促し、企業活動を活性化させること。企業の資本効率を上げること。機械化やロボットで、労働力を支えること。移民を増やすこと。出生率を上げるために、育児支援を積極的に行うこと。どれも大切なことです。その中で、地方においては、ヤンキーの虎を育てることが鍵になると思います。ヤンキーの虎は、地方のプチ資本家であり、資金の供給者でもあり、資金の使い手でもあります。つまり、地方でお金を回す一つの仕組みになっているのです。彼らを育てていけば、地方での金回りがよくなります。確かに地方経済は衰退スピードを速めますが、ヤンキーの虎は、そのスピードを食い止める働きをするのではないかと思うのです。
・実は地方への出張そのものが地方に関する貢献であると考えています。地方にお金を落とすための確実な方法はまずその場所に行き、お金を落とすことです。地方で宿泊をし、地方でその地域の食材を中心としたレストランで食事をして、地域の特産物を買い、その地域の自慢の観光地に足を運ぶこと。そしてその地域に友人や知人を作ることです。そのことを通じて、見識を広げたり、自然や歴史を感じる地域の文化資産に感動をしたり、それらを通じて心を豊かにすることができます。日本は南北に長いので、同じ時期でも地域によって気候の変化も大きいです。
・団塊世代が後期高齢者にさしかかる2025年。それからさらに10年ほど経てば、この世代が亡くなり、高齢者の数が少しずつ減っていきます。すると、居場所ビジネスも転換期を迎えるでしょう。当分はシニア層が主な顧客層となりますが、2035年あたりから頭打ちになります。団塊世代がいいなくなると、次に団塊ジュニア世代が高齢者になりますから、この世代のニーズを拾うことができれば、しばらくは伸び続けます。しかし、いずれにしても高齢者の数は減っていくわけですから、次の手だてを考えなければなりません。その点では、シニア層だけでなく、幅広い層にこのビジネスを受け入れてもらわなければならないと思います。ターゲットは、「オフキャリア」です。引退した世代だけでなく、現役世代にもオフキャリアはあります。会社員は、一般的に9時から17時まで仕事をしますが、それ以降は自由な時間になります。そこで、若い人も18時以降に来てもらえるような習慣をつくることができれば、居場所ビジネスは長期的に伸び続けることができるでしょう。
良かった本まとめ(2015年下半期)
<今日の独り言>
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