グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

ハマオモトの運命

2010年01月26日 | 
テレビの出演者の後ろにオモトの活け花が飾られていました。
肉厚で濃い緑色の葉陰に、赤玉の実がいくつか顔を覗かせています。
赤い実に緑の葉の取り合わせは、一両~万両と同じ「おめでた系」でしょうか?

常緑のオモトは、漢字で「万年青」と書いて、
その生命力の強さにあやかりたいと、親しまれてきた植物のようです。
江戸時代には、オモト栽培ブームがあったそうです。
上の写真は、庭の観賞用のオモトです。

4月の気温になった大寒の20日、海岸近くへ「ハマオモト」を見に行きました。
昨年、ちょっと気になることがあって、その後を調べてみました。

報告しようとしたら、パソコンが突然動かなくなり、
今日まで延びました~(汗)




潮風の当たる厳しい境遇のハマオモトは、かなり傷んでいます。

オモトはユリ科で、「日本の暖地や中国に分布」と図鑑にありますが、
関東近辺では、もっぱら観賞用の栽培種を目にするばかりです。

大島には、葉の形の似たハマオモト(ヒガンバナ科)が海岸に自生しています。
自然分布なのかどうか分かりませんが、昔からあるそうです。

ハマオモトは、ハマユウという別名の方が一般的かも知れません。
夏の夕方、純白のハマユウの花を見ると涼しさをもらえる気がします。

昨秋、そのハマユウにこんな虫が付いていたのです!!!


この写真だけ10月中旬に撮ったものです。
これはアカマダラヨトウという蛾:ガの幼虫で、
八丈島、御蔵島、三宅島・・・と北上して、大島にも分布を広げて来たようです。

冬はどうしているかと、
葉の芯のところを探してみると・・・



・・・・いました! いました!!

写真中程の赤褐色のサナギが、分かりますでしょうか?






足元に転がっていたハマオモトの種子には、
別種のハマオモトヨトウの幼虫が取り付いて食事中でした。

真冬でも幼虫で過ごしている個体がいるのですね!
付近で幼虫を4匹見つけました。





蛹:サナギは、5コ採集しました。
調べてみると、

サナギの黒いのが、ハマオモトヨトウ、
で、地面で蛹化する個体が多く、

赤っぽいのが、アカマダラヨトウ、
で、葉の上で蛹化する個体が多い、とのこと。

ハマオモトヨトウの幼虫は、数年前から随分増えてきたように感じます。
この夏ハマユウは、
2種のヨトウムシにムシャムシャと食べつくされてしまうのでしょうか?



今年2010年は、国連が定めた国際生物多様性年。

10月には名古屋で、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催予定。


多様な・・・ヨトウムシ・・・とも共存しなくちゃ!? (笑)


(なるせ)
コメント
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