グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

アカコッコモドキ

2010年01月12日 | 
 突然ですがアカコッコという鳥をご存知ですか?

おなかが赤くて頭に黒い頭巾をかぶったようなツグミの仲間で、かつて伊豆諸島の固有種と言われた鳥です(最近になって鹿児島県トカラ列島の一部の島にも生息していることがわかりました)。伊豆大島から青ヶ島まで全ての島で記録がありますが、繁殖しているのは三宅島や八丈島などいくつかの島だけで、ここ伊豆大島では昔から冬鳥としてなぜか南から北上してくる鳥でした。

 過去には伊豆大島でも繁殖した記録もありますが、島では同じく冬鳥としてもっと北からやってくる近縁種のアカハラと区別せず「あかっぱら」と呼んで親しんでいました。

 かつては12月頃になると島内各地にかなり普通に見られるくらい渡来してきていたというのですが、ここ数年の記録は極めて稀で、自分もまだ島内でアカコッコを見たことがありません。資料を見ると1980年代までは普通に見られていたらしいのですが…。

 さて、今日の画像の鳥ですが、タイトルは「アカコッコモドキ。」その正体は、上記のアカハラです。
 アカハラ自体は国内でも割合普通に見られる鳥で、伊豆大島でも珍しくありません。ただ世界的に見ると千島列島、サハリンから北海道、本州中部以北でしか繁殖せず、冬は南日本、南西諸島、東南アジアの一部に渡ります。分布の狭い鳥なんですね。

 普通のアカハラは頭から背中、尾羽が褐色で、頭巾をかぶったようなアカコッコとは見てすぐに区別がつくのですが、画像のアカハラはなーんと、タダのアカハラではないのです。

 この画像をみて「これアカコッコじゃん。」って思った方はお目が高い!
でもハズレ

 これはアカハラの中でも北千島列島で繁殖する亜種「オオアカハラ」なのです。

はぁ?って感じですよね。(^▽^;)

 オオアカハラは普通のアカハラよりも全体的に色が濃く、体が大きいのが特徴です。特にオスの頭は黒く、個体差はありますが一見すると「アカコッコか?!」と思う個体が時々居ます。メスの場合は普通のアカハラとほとんど区別がつきませんが(^▽^;)

 このオオアカハラとアカコッコはかなり似ていて紛らわしいので、最近の記録のほとんどがこのオオアカハラなのでは…と個人的には推測しています。なぜ最近アカコッコが伊豆大島に来なくなっているのかはわかりませんが…。利島や他の島での状況を是非調査したいです。

では、アカコッコとの違いは?!
結構ビミョーです。下の画像を見ていただくと、アカコッコは頭をすっぽりと黒い部分が覆っているのに対し、オオアカハラは後頭部に褐色の部分があります。それと、アカコッコは頭の黒い部分が他の部分とくっきり分かれているのに対し、オオアカハラではぼやけています。またアカコッコのほうが明らかに黒頭巾の面積が広いです。



…とは言ってもアカコッコの比較画像がないので全然わからないですよねー(^▽^;)

…と、書いていたらスタッフ願法が伊豆大島で撮影した貴重なアカコッコの画像をUPしてくれました。こうして見ると一目瞭然ですよね??



もし皆さんもアヤシイ鳥に出会う機会があったら、これらの写真を見比べ上記の特徴で調べてみてください。

(あまの)



 
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする