グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

オオバヤシャブシ物語

2010年03月18日 | 植物
この2週間、ひそかに通っていた場所があります。

元町林道北線にある1986年噴火口の周辺です。

噴出物の影響で植生回復の初期の段階が観察できるこの場所では、オオバヤシャブシが瑞々しい花をつけ、数週間前から春らしい景色が楽しめたからです。

2週間前、オオバヤシャブシの雌花、雄花、新芽が先端に1個ずつ付いた枝を見つけました。
(こんな風にこじんまり、まとまっているのは少ないのです。みんな結構バラバラなのですよ~。)

「か、可愛い!」
すっかり気に入って、このトリオ達のその後の変化を観察してみることにしました。

3月7日。
緑色の葉っぱは小さく畳まれていますが、「これから伸びるぞ~。」という感じです。
何だか初々しいですね~。


雌花はもう雌しべの先端を延ばしていました。

赤い2つのV字のようなものが雌しべです。
花粉をキャッチする準備万端という感じですね。

雄花は花粉を溜め込んだツヤツヤした葯を膨らませていました。
写真のツブツブが花粉を収納した葯です。

ちなみにこの葯は花粉を飛ばす時期が来ると合わせ目がもっとわかりやすくなります。

たとえばこんな風に…。花粉が見えるでしょうか?

今まさに花粉飛ばしのまっ最中という感じですね。
花粉を飛ばして弾けた葯と、自らも花粉まみれで今まさに弾けようとしている葯が混在しています。

3月10日。
観察中のトリオの雄花は、花粉を飛ばし終わってかなりみすぼらしくなっていました。

でも花粉を飛ばすころには垂れ下がってしまう雄花が多い中で、しっかりシャンと空に向かって伸びています。「えらい~!」

3月13日。
さすがに雄花はもう落ちているだろうな…、と思って行ってみたら「あれ?」まだ頑張っていました。

かなり垂れ下がっていますけれど、まだ枝にしがみついていました。
でも葉が少しずつ伸び始めたから、栄養吸い取られてしまうのでは…?

3月15日。
夜のうちに、かなり強い風が吹きました。雄花はどうなったでしょうか?
やはり…さすがに耐えられなかったらしく、枝に雄花の姿は見られませんでした。

でも代わりに新しい葉が勢い良く伸び始めていました。
これから木は雄花に使っていた栄養を葉にまわし、光を受け止めてさらに栄養を作り出し、ますます大きく成長していくのですね。

ところで、数日前、海スタッフからオオバヤシャブシに真っ赤な雌花がついているという情報をもらいました。

大島のオオバヤシャブシはあまり長く雌しべを伸ばしません。
先端をチョロっと出すだけで充分受粉できるようです。
なので、赤い雌しべで覆われたような雌花を見る機会は、ほとんどありません。

早速教えてもらった場所へ行ってみました。ありました~!

この見事な色をご覧下さい。

すごく綺麗ですよね~。
こんな色の雌花が木全体に沢山付いていて、とてもとても見事でした。

この場所は、他のオオバヤシャブシが生きている場所に比べて、日当たりが悪い、水分が多いという特徴があります。
この事と、真っ赤な雌しべを勢い良く伸ばしたオオバヤシャブシの生き方とは、何か関係が有るのでしょうか?

う~ん、植物の世界は奥が深いです。

オオバヤシャブシ達はこれから夏に向けてグングン葉を伸ばし、その影で雌花達はしっかりと種を作っていきます。
あのトリオの雌花は、どんな変化をしていくのでしょうか?

晩秋のころ、オオバヤシャブシ物語パート2を報告したいと思います。
(夏の激務でエネルギー吸い取られないようにしなくちゃ~・笑)

(カナ)







コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする