グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

外国からやってきた…

2010年03月30日 | 哺乳類、爬虫類、他
 伊豆大島のどの地域を歩いても、必ず目にする動物が居ます。

 来島経験のある方なら誰でもぴーんと来るかも知れませんが…
 それは一体何でしょう?

その動物はこんな巣を作ります。


鳥の巣でしょうか?国内で繁殖する鳥ではこのような形の巣を作る場合、お椀型のものが多いのですが、この巣は入り口が横に開いているようです。

さて、なんでしょう。
こんな食べかす(食痕)がありました。


松ぼっくりがエビフライ状態にされていますね~。

もうお分かりでしょうか?

今日の主人公は忍者のような格好で木の幹からこちらを見ていました。



そうです。タイワンリスと申します。


 タイワンリスは今現在伊豆大島では海岸からカルデラ内まで至るところでごく普通に見ることが出来ます。しかし彼らはその名の通りもともとこの島に居た動物ではないのです。
 ペットとして持ち込まれたりしたものが逃げ、鎌倉や江ノ島などでも増えて問題になっていますが、台湾などの東南アジア原産の外来種です。

 伊豆大島でも1930年代にとある施設から集団で逃亡したものが元になり、1948年までには全島に分布していたという記録が残っていました。

見た目は可愛いのですが…。



 大島名産のツバキの実を食べてしまったり、他の農作物も食害すると言うことで現在は駆除の対象となってしまいました。また動物質の餌もよく食べるので元々居た野鳥の卵や雛も食べてしまうらしく、伊豆大島でヒヨドリがほとんど繁殖しないのはタイワンリスのせいではないかと私は勝手に考えています。

 野生の植物も相当食害を受けていて、数百万頭いるとされているタイワンリスの影響は無視できないものになってきているでしょう。

 けれども、彼らにとって大島はパラダイスなのでしょうか?
冬になるとノスリのような捕食者がやってきます。またこのように道路に出てきて、時には車に轢かれて死んでいるのも見かけます。



 タイワンリスばかりが自然の中で増えすぎると、餌を食べつくして自分達も滅びることになります。
 タイワンリスは農業に被害を及ぼす、在来の生物を駆逐するなど悪のレッテルをこってりと貼られていますが、彼らは人間によって故郷から見知らぬ土地に連れてこられて必死で今日まで生き抜いてきたのでしょう。

 だからといって日本の自然の中に居ても良い動物ではありませんが、もう一度よく考えてみましょう。

 悪いのはタイワンリス?それとも、人間?

(あまの)
コメント (1)
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