グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

刺だらけの新芽たち

2010年03月26日 | 植物
 きのう、おとといとスゴイ嵐でした。今日は寒さが残ったものの、晴れたので日記の写真が撮れてひと安心しました。
 
 庭先の明日葉(アシタバ:セリ科)の新芽が美味しい季節です。「山菜の王様」とも言われるタラの芽も伸び始め、山菜採りが盛んになります。

 もちろん、ネーチャーガイドとして山菜採りのご案内をするわけにはいきません。山が荒れますから、ご法度です。

 最初の写真は、都会のスーパーなどにも売られているタラの芽ですが、季節に山菜を食べる習慣がある方も少なくなりつつあるのでしょうか?
 


 その時季(旬:しゅん)に、その土地で採れたものを頂くことが、ぜいたくなことになりつつある時代だとも思います。でも、それが大島では出来る環境にあります。

 上の写真はウチの裏庭で資源管理(笑)しているタラノキです。山菜の生えている土地にも、当然ながら所有者がいますので、土地の所有者の許可を得て山菜を採らせて頂くのが、最初の決まりです。



 次に、山菜の採り方を学ぶことも大切な決まりです。根絶やしにしない。来年も採れるように、その枝を枯らさない採り方をしなければいけませんね。

 タラノキは芽も枝も幹も刺(とげ)が痛いので、皮の手袋や手ぬぐいなどで芽の部分だけ欠き採るようにします。



 採った跡は、こんなふうになって、しばらくすると、また脇から次の芽(二番芽)が出てきます。でも、その二番芽は採らない方がいいですね。カマやノコギリなどで切って採るのも枯れる原因です。また、採り過ぎないようにすること。自分で食べるだけの必要最小限にするなど、山菜採りにも「山のマナー」があります。今風に言うと「持続可能な自然の利用」ってやつですね。

 これは、ずっと昔々の縄文時代の頃から、伝統的な食文化として受け継がれてきたことのようです。今は、天ぷらやゴマ和えやお味噌汁にして食べますが、昔はどんな料理があったのでしょう?



 伊豆諸島のタラの芽の木は、シチトウタラノキという固有種です。葉の先が尾状に伸びるのが特徴です。落葉樹なので、今は刺だらけの枝や幹だけです。

 20日(土)日本生態学会の公開講演会で、矢原徹一・九州大学教授が、危機に陥っている生物多様性を守るため私たちにできることとして、「その地方の旬の食べ物をたくさん食べること、子どもと自然に親しむこと、生物多様性保全に貢献している商品・企業を選ぶこと」などを提案していました。これは、温暖化対策にも言えそうですね。

 話がそれますが、このところ話題に上っていた「伝統的な食文化」のこと。大西洋や地中海のクロマグロを食べるのは日本の伝統的な食文化でしょうか。地球の裏側のマグロやクジラまで買いあさったり捕りつくしたりするのを「伝統的な文化」にしているとしたら、恥ずかしい気がしますが、いかがですか?

 高級マグロやクジラ肉に縁がないからかな?(笑)

 最後は、おまけの1枚。

 

 トゲトゲでタラノキにとてもよく似ていますが、こちらはハリギリの芽です。
 
   (なるせ)
   
 
コメント (2)
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