グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

「竹かご」の続き

2010年12月03日 | 歴史・文化
 低気圧が発達して、すごい風が吹いています。
夕方に行ったお寺の竹林もザワザワと揺れていました。

 先週の続きで、竹と竹カゴの話にお付き合い下さい。

 このお寺では、庫裏(くり)と本堂を結ぶ廊下の近くにモウソウチク(孟宗竹)の竹林があります。今年の春、廊下の板が突然盛り上がったそうですが、犯人(?)は勢いよく伸びた筍(たけのこ)だったとのこと! 
 驚かれたことでしょう。建物の近くに植えない方がいいですね。



 モウソウチクの筍の皮は、根元に残っているだけ。

 モウソウチクは、筍ご飯や若竹煮にする筍が美味しいので、江戸時代に中国大陸から日本へ移入されたそうです。

 毎年、初夏にモウソウチクを半割りにして節を抜く作業を頼まれます。何を作るかと言えば、ソーメン流し用の樋です。節は丸ノミと木槌で簡単にキレイに取れます。

 子どもの頃、近くの農家にあった竹林(モウソウチクかマダケ?)で、花が咲いたのをみたことがあります。竹の花は、とても珍しく、モウソウチクの一種では、種子→生長→開花のサイクルが67年にもなるそうです。親から「竹は花が咲くと全部枯れる」と聞いて、半信半疑でしたが、その竹林は本当にすべて枯れてしまいました!中国や日本の竹や笹は、花を付け実を結ぶと地下茎で繋がった一株が全て枯れてしまうようです。

 先週は、漢字が出せませんでしたが(^o^;)、竹の幹というか茎を「稈:カン」といいます。

 モウソウチクやマダケ、それからスホウチク(↓稈が黄色に緑色の縦じま)などは、


稈の回りに皮がついていません。

 分類上、この稈鞘(かんしょう:筍の皮、竹の皮)が早く落ちるタイプを「竹」、長く残って稈を包んでいるタイプが「笹」とされています。

 大島にたくさん生えていて、竹カゴ細工などに使われるアズマネザサ(↓シノダケ)は、稈鞘がいつまでも付いているので笹に分類されますが、スホウチクと太さも変わらないし、感覚としては竹ですよね。


 竹林を見て歩いていたら、↓ほとんど皮だらけの竹がありました! メダケとか他の種類でしょうか? 今度、よく調べてみます。 


 先週の竹カゴの写真では、どう特徴的なのか分からないということなので、
すみませんが、再登場してもらいます。

 底の裏側の作りで比較してみましょう。

大島の竹かご(ひやめしかご)


信州松本のキノコ採りの竹かご(先週、ユズの実を入れていたカゴ)


産地不明の竹かご(知人宅で飾られていたものです)

底面22センチ×15センチくらい。

産地不明の竹かご(上から口の部分)

 シュロ縄がついています。口は長径25センチ×短径22センチ。
全体の高さ25センチ。

 伊豆諸島の民俗誌を見て知ったのですが、大島から遥か240キロも離れた青ヶ島でも、大島の「ひやめしかご」と、ほぼ同じ形状の「べんとうかご」や「おもちゃかご」などが使われています。「頭背負い」という運搬方法まで、そっくりです。
 青ヶ島のカゴは、大島のカゴと同じ様なミミ(先週の日記をご参照下さい)が、付いていますが、背中に当たる側は口の所に2ヶ所、裏側は低い位置に1ヶ所、合計3ヶ所とのことです。大島のカゴは、口の周りに4ヶ所のミミ付きです。

 民具という文化の継承、残されて行くことの不思議さを思わざるを得ません。
 
 あと、上に並べた3種類のカゴでは、大島のカゴが一番しっかりした作りで、重量も約550グラム。松本かごは約340グラム。産地不明かごは約320グラムでした。 


【今日のおまけ】
 竹細工・竹工芸に関心のある方は、ぜひ、こちら↓をどうぞ!

 他にも著書の多い、ユニークな竹大工師・稲垣さんを紹介します。

『やさしく編む 竹細工入門』 稲垣尚友著 日貿出版社 3675円

『やさしく作る 竹組み工芸』 稲垣尚友著 日貿出版社 3675円

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 絵本などに描かれている浦島太郎さんは、肩に釣竿、
腰には小さな竹かご(びく:魚籠)を付けてますね。

 あんな小さなカゴが編めたらいいな~っ!

カメに乗って、いつかは竜宮城へ行くので、その準備を(笑)

(なるせ)
コメント
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