グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

天使のつばさ

2010年12月24日 | 哺乳類、爬虫類、他
 今日は未明から強風の1日でした。ほとんどの船便・航空便が欠航になったようです。

 昨年もクリスマスの頃に赤い実のついたシナヒイラギの小枝を見出し画像にしました。
今年もと思いながら、撮影しないでいると、肝心の実がほとんどなくなってしまいました!
何とか、葉陰に実を見つけて、ホッとして撮った1枚です。

 昨年は、あれからしばらくヒイラギにはまりました(笑)


 ヒイラギの葉の形は、コウモリ傘の形に似ています。


 いつものことながら、強引な話の展開に我ながらあきれます(^_^;)


 コウモリ傘は、当然のことながらコウモリの翼:つばさの形に似ています。



 コウモリのつばさは、こんな感じ↑です。

 こんなふうには、なかなか観察する機会のない動物だと思いますが、
比較的身近にいる野生動物です。気付かないだけで、皆さんの身近にも・・・。
 11月下旬頃でしたか?
ハロウィンにはカボチャとコウモリのキャラクターが街中にあふれていましたね。


 今月の初め、スタッフの1人が、道路上で轢かれて「せんべい状」になっていたコウモリ(この個体↑↓)を届けてくれました。

 それにしても、自宅前の道を清掃中に見つけた注意力には脱帽です! とっても小さくて私なら見過ごしています。

 生きている野性動物を採取・捕獲することは原則禁止ですから、こういう機会はとても貴重です。

 たとえ、ぺしゃんこの「せんべい状態」でも、じっくり観察すると、いくつか分かることがあります。



 さいわい、この個体は、つばさの傷みは少なく、ほぼ原型のままです。1枚目の写真では、つばさの陰になって見えなかった親指の先↑が横から見ると確認できます。これは左側のつばさです。

 爪が2ミリ程、全体で4ミリ程の親指です。コウモリのつばさは、ヒトの「てのひら」に当たる部分と、親指以外の指の骨が長く伸びて薄い膜状の皮膚に覆われている構造です。
 
 カエルや水鳥の「水かき」をより広くしたような・・・感じ。

 
 つぶれて正確な計測が出来ませんが、頭と胴の部分の長さ:頭胴長は4センチ~4.5センチ程。耳珠という部分のない大きな耳。鼻葉というユニークな鼻。前腕長37.8ミリ。体色。

 私の親指と同じくらいの大きさです。
 
 

 上記のことから、この↑個体はコキクガシラコウモリと分かります。

 リニューアルした都立大島公園のインフォメーションセンターに展示されているコウモリの剥製は、つばさを広げると30センチ程にもなるキクガシラコウモリです。名前に「コ」が付くか付かないかだけの違いで、近い仲間です。

 大島では、大きなキクガシラコウモリの方をよく見かけます。
でも、夜間に黒っぽい姿で飛び回るコウモリをじっくり観察することは出来ないので、正確なところは分かりません。

 
 こちら↓は、アブラコウモリの剥製です。背中側から見たところ。



 本州の、特に街にも郊外・住宅地などでも見かけることが多いのは、このアブラコウモリです。画像の下方に置いたノギスは、5センチに開いてます。とても小さいことが分かると思います。

 大島で瀕死の状態のものを保護しましたが、程なく死んでしまいました。
2002年の秋のことです。その後、元国立科学博物館にいらした吉行瑞子先生に仮剥製にして、種の同定をして頂きました。

 大島でアブラコウモリの生息が記録されたのは、1952年のことです。東京都衛生局が、七島熱の調査研究のため、ツツガムシの宿主を調べた際の記録です。その後の記録はありません。

 大島には、アブラコウモリの生息数がとても少ないのか、何かの偶然でやってきた「迷コウモリ」だったのか?

 こちら↓は、同じアブラコウモリのお腹側です。



 日曜の朝、テレビのアニメ「チャロ」で、小悪魔が飛んでいるシーンがありました。背中で、コウモリのような黒い翼がはばたいていました。永井豪のコミック「デビルマン」も背中にコウモリのような黒い翼を付けてましたっけ。

 ラファエロの描いた聖母子画などに登場する天使の背中には、鳥のような羽根のついた白っぽい翼が付いています。

 「天使」と「悪魔」ってどんなイメージですか? こんな↓感じでしょうか?

 悪魔 = 暗闇、夜、冷たいイメージ、黒っぽい・・・地下、洞窟、廃墟、

・・・コウモリを連想

 天使 = 昼間、明るい温かいイメージ、白っぽい・・・天国、天上、

・・・小鳥を連想

 
 コウモリは、なかなか、しっかり観察出来ないので「幻の生物」ではありますが、哺乳類ですから、温かい血が流れ、子どもを産み母乳で育てる、私たちヒトにとても近い生き物です。

 悪魔というより天使的だと思いますが?




参考図書『知りたいサイエンス コウモリのふしぎ 逆さまなのにもワケがある』
船越公威・福井 大・河合久仁子・吉行瑞子=共著 技術評論社 1580円



【おまけの写真】
 昨日、岡田港から見た富士山です。


 
 

(なるせ)

今夜のBGM♪
スティービー・ワンダー『バラード コレクション』

中でも、小鳥の声で始まるOverjoyedが好きです。
コメント
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