グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

アポイ岳のKさん

2015年10月06日 | 火山・ジオパーク
先月、世界ジオパークに認定されたアポイ岳ジオパーク。
そこで活躍中の大島出身のKさんが大島に来島しました。

今日Kさんにお会いして「アポイ岳ジオパーク」についての話を聞いたので、少しだけ紹介を…
(アポイ岳ジオパークへのリンクはこちらhttp://www.apoi-geopark.jp

アポイ岳ジオパークは、人口約4600人の「様似町」だけで構成されるジオパークです。
伊豆大島より小さな自治体ですが、町議会議員全員が他のジオパークに視察に行って勉強してきたという話を聞いて「スゴいなぁ」と思った記憶があります。

私たちが暮らしているのは、地球を卵に例えると殻の部分である地殻の岩盤=プレートの上です。その下には、白身にあたる分厚いマントルがあるのですが、人類はまだ見たことがありません。
プレート同士の激しい衝突で、プレートの下にあったマントルが地殻上に溢れて出来た山がアポイ岳。マントルを目の前に見ることができる、地球上でも非常に貴重な場所と言われています。

その貴重さが『世界ジオパーク』に認定された理由のひとつですが、もちろんジオパークは地学的に貴重なだけでは認定されません。

Kさんから聞いたところによると…
「ジオパーク活動の中心となっているのは『アポイ岳ファンクラブ』。年会費\2.000で地域外の会員も含め現在150人の会員がいて、10人ぐらいが地域内で活発に活動している。会長さんは昆布漁師さん。漁師さんが海からジオを楽しめるように、漁船を観光用に改良してくれた」

世界ジオパークの審査の日は、昆布漁師さんのほか、アイヌの方たちの踊りや料理のもてなしがあり、審査員の方がとても感激してくれたようです。…なんだか審査員の感激ぶりが、目に浮かぶような気がしました。

Kさんはお土産をたくさん持って来てくれました。


まずはこちらが超貴重な「カンラン岩」、緑色ですごくキレイです!

マントルの中では、この固くて重いカンラン岩が対流しているんですよね。不思議です。
人間が宇宙まで到達できる今の時代ですが、地球の内部まではまだ行くことができないので、この石は宇宙の石より貴重かも!

それだけ貴重な物なので本当は採取は禁止。でも地元で唯一許可を受けてカンラン岩を加工し、産業としている会社があり、そこで製品を作る時に出た端材(本来は捨てる物)を、アポイファンクラブのメンバーが、お土産として加工販売。

売り上げ金で、このような本を作ったり…

保護・教育活動に役立てているのだそうです。

保全と観光の両立は多くのジオパークの共通課題ですが、世界ジオパークの審査でも、このような説明をすることで審査員が納得してくれたようです。

沈み込むプレートと共に地下深くに引き込まれた海水が、カンラン岩を溶かしてマグマができ、時々、噴火します。

「これは大島の溶岩のお母さんなんですよ。あ、お父さんかな?」と、かんらん岩のお土産を前に説明するKさん。アポイ岳と伊豆大島、つながっていますね~。

Kさんは他にも、鹿の角を使ったお土産品を手作り。

この売り上げも、ファンクラブの活動費に充てているそう。
なんて素敵!

「18才まで大島でタカベとクサヤとアシタバを食べて育ち、今は様似町で鮭と昆布で生きている」というKさんは、生き生きとした表情と優しい笑顔が素敵な方でした。

そのKさんが今回大島に来島した目的のひとつは「宮沢賢治が大島に農業指導に訪れた時に詠んだ『三原三部』という歌がジオそのものだと知って感激し、なんとか伊豆大島にそれを残し皆に伝えられないか?」と思ったからなのだそうです。

話を聞いて、とても興味を持ちました…が、このことはもう少し、いただいた資料などを読んで学んでからまたまとめたいと思います。

ということで、この続編は…しばしお待ちください~。

(カナ)
コメント
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