浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

秋葉

2013-06-05 06:55:12 | 日記
 昨日からきつい仕事が始まった。毎週火曜日、某公民館で歴史講座の講師を務める。教科書などに書かれている歴史ではなく、遠州地方における近代史を語るというものだ。静岡県史をはじめとした自治体史で、私が調べ研究し、書いてきたものを離す。

 昨日は、「秋葉信仰と神仏分離」。AKB48の「AKB」は秋葉原。その地名の「秋葉」は、遠州(現在は浜松市になっているが)の秋葉山が源流である。江戸時代、井原西鶴の「好色一代女」のなかにも記されている有名な秋葉信仰。その秋葉信仰は、明治維新で大きく変えられる。神仏分離政策である。権力的な神仏分離によって、日本人の宗教意識は変えられた。

 近代国民国家による「新しい伝統」の創出である。近代国民国家の権力は、国民を統合するために、みずからが都合のよいように前近代からの伝統をつくりかえる。神仏分離も、近代天皇制権力の権威を創出するために行われたものである。

 その神仏分離政策により、秋葉信仰は分裂させられ、秋葉山にあった神仏習合の神、秋葉三尺坊は袋井・可睡斎に追い払われ、あたらしく、あたかもそれ以前から鎮座していたかのように火の迦具土神を祀る秋葉神社が秋葉山山頂につくられ、今もそれが続いている。神仏分離が強行された後、秋葉山中腹に秋葉寺が再興されたが、その勢力は秋葉神社には遠く及ばない。権力による「新しい伝統」の創出は、伝統を大きく歪曲するのである。

 以上のことを、具体的に話した。

 町田の住人も、秋葉信仰について本を出すというが、なかなか出ない。あちこち別の研究に手を出すので、なかなか進捗しないのである。AKB48が注目を浴びているときに出版した方が売れるのに、と余計な心配をしている。


 なお、この講座の最後(8月)は、「市町村合併の行方」である。過去の市町村合併の経緯を振り返り、「平成の市町村合併」を撃ち、広域の基礎自治体を批判し、道州制に疑問符を投げつけるものである。住民にとって、住民自治にとって、市町村合併がいかにマイナスであるのかを指摘しようと思う。
コメント
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