加計学園問題のニュースをみていると、真相が明らかにならないのは、安倍政権の関係者たちが資料を出さず、嘘を言い、「記憶にない」などと隠蔽し続けるからだ。人間としていかがか、安倍政権の面々の人間性を疑う。
昨日の『高知新聞』コラム。
小社会 文化施設の学芸員を「一番のがん」と発言し、物議を…
文化施設の学芸員を「一番のがん」と発言し、物議を醸した山本幸三地方創生担当相。この答弁も聞き捨てならない。7月10日、国会で行われた閉会中審査。加計(かけ)学園の獣医学部新設計画を巡り、獣医師の需給見通しを問われて。
「需給の量とか数について、はっきり示すことなんて無理」。仮に獣医学部が開設されれば、多額の私学助成金が投入される。学生も高い授業料を支払う。それなのに、いざ卒業しても獣医師が多すぎて仕事がない―。
そんなことになったら誰が責任を取るのだろう。学部新設の大前提となる需要が今もって曖昧なのはどういうわけか。担当相が国民に丁寧に説明せず開き直ったような答弁をするに至っては、開いた口がふさがらない。
安倍政権は岩盤規制に穴をあけると息巻くが、「穴のあけ方」自体、公平、公正だったのか。「加計ありき」をうかがわせる文書に登場する萩生田光一官房副長官や官僚たちは、核心部分になると「記憶にない」を連発した。
多くの国民のもやもやした思いは晴れるどころか、いっそう深まったろう。ならばこれからも閉会中審査なり臨時国会を早期に開催するなりして、真相解明を続けていくほかあるまい。
文部科学省の前川喜平前事務次官は、国会の場でも「行政のゆがみ」を指摘した。政府に求められるのは根拠を示しての反論である。「言った」「言わない」の水掛け論での幕引きだけは許されない。
昨日の『高知新聞』コラム。
小社会 文化施設の学芸員を「一番のがん」と発言し、物議を…
文化施設の学芸員を「一番のがん」と発言し、物議を醸した山本幸三地方創生担当相。この答弁も聞き捨てならない。7月10日、国会で行われた閉会中審査。加計(かけ)学園の獣医学部新設計画を巡り、獣医師の需給見通しを問われて。
「需給の量とか数について、はっきり示すことなんて無理」。仮に獣医学部が開設されれば、多額の私学助成金が投入される。学生も高い授業料を支払う。それなのに、いざ卒業しても獣医師が多すぎて仕事がない―。
そんなことになったら誰が責任を取るのだろう。学部新設の大前提となる需要が今もって曖昧なのはどういうわけか。担当相が国民に丁寧に説明せず開き直ったような答弁をするに至っては、開いた口がふさがらない。
安倍政権は岩盤規制に穴をあけると息巻くが、「穴のあけ方」自体、公平、公正だったのか。「加計ありき」をうかがわせる文書に登場する萩生田光一官房副長官や官僚たちは、核心部分になると「記憶にない」を連発した。
多くの国民のもやもやした思いは晴れるどころか、いっそう深まったろう。ならばこれからも閉会中審査なり臨時国会を早期に開催するなりして、真相解明を続けていくほかあるまい。
文部科学省の前川喜平前事務次官は、国会の場でも「行政のゆがみ」を指摘した。政府に求められるのは根拠を示しての反論である。「言った」「言わない」の水掛け論での幕引きだけは許されない。
警察による、事件のでっち上げ。「戦前」という時代には、多くの治安立法により、警察側の勝手な推測で多くの人が逮捕され、また拷問を受けた。その代表的な事件は、「横浜事件」であるが、それ以外にも同様の事件が存在した。
昨日の、『信濃毎日新聞』コラム。
斜面
背広や和服を着て少しかしこまった顔が並んでいる。上山田温泉の旅館で1941(昭和16)年1月に開いた懇親会の記念写真である。信濃毎日新聞が学芸欄に設けていた「農村雑記」などの編集担当者と常連投稿者らが参加していた
◆
同じ年の12月9日早朝、特高警察は治安維持法違反の容疑で一斉摘発に乗り出した。日本が真珠湾を攻撃し太平洋戦争に突入した翌日だ。県内では13人を検挙し、少なくとも7人がこの写真に写っていた。特高警察は「信毎学芸グループ事件」と呼んだ
◆
農村青年は社会の矛盾をペンに託して訴えていた。農村雑記はその表現の場だった。特高は「左翼分子」が信毎学芸欄を利用して懇親会を活動の一環にしたとみなした。特高が1枚の写真から事件を捏造(ねつぞう)するのは、戦時下最大の言論弾圧事件として知られる「横浜事件」に通じる
◆
共謀罪が施行された。戦前とは時代が異なり基本的人権を保障する憲法がある。人権を侵す事件は公然とは起きにくいだろう。だが技術の進歩は「共謀の証明」をはるかに手軽にした。どこにいるか、どんな会話をしているか、携帯電話から把握できる
◆
「親愛なる利用者殿、貴殿は騒乱の参加者として登録されました」。ウクライナ政府が2014年、首都の某所に居合わせた携帯電話の所有者に送ったメッセージだ=ブルース・シュナイアー著「超監視社会」。1枚の写真より膨大な情報を思いのままに利用できる時代ゆえの怖さがある。
(7月11日)
昨日の、『信濃毎日新聞』コラム。
斜面
背広や和服を着て少しかしこまった顔が並んでいる。上山田温泉の旅館で1941(昭和16)年1月に開いた懇親会の記念写真である。信濃毎日新聞が学芸欄に設けていた「農村雑記」などの編集担当者と常連投稿者らが参加していた
◆
同じ年の12月9日早朝、特高警察は治安維持法違反の容疑で一斉摘発に乗り出した。日本が真珠湾を攻撃し太平洋戦争に突入した翌日だ。県内では13人を検挙し、少なくとも7人がこの写真に写っていた。特高警察は「信毎学芸グループ事件」と呼んだ
◆
農村青年は社会の矛盾をペンに託して訴えていた。農村雑記はその表現の場だった。特高は「左翼分子」が信毎学芸欄を利用して懇親会を活動の一環にしたとみなした。特高が1枚の写真から事件を捏造(ねつぞう)するのは、戦時下最大の言論弾圧事件として知られる「横浜事件」に通じる
◆
共謀罪が施行された。戦前とは時代が異なり基本的人権を保障する憲法がある。人権を侵す事件は公然とは起きにくいだろう。だが技術の進歩は「共謀の証明」をはるかに手軽にした。どこにいるか、どんな会話をしているか、携帯電話から把握できる
◆
「親愛なる利用者殿、貴殿は騒乱の参加者として登録されました」。ウクライナ政府が2014年、首都の某所に居合わせた携帯電話の所有者に送ったメッセージだ=ブルース・シュナイアー著「超監視社会」。1枚の写真より膨大な情報を思いのままに利用できる時代ゆえの怖さがある。
(7月11日)
戦後日本は、ほぼ「戦前」に戻ったと、私は思う。「戦前」とは「大日本帝国」の時代である。その時代は、様々な治安立法が存在し、国家権力の許容する範囲でしか、人々の自由は存在しなかった。
そういう時代に、今入った。
11日の『北海道新聞』のコラム。
じわじわ
07/11 10:30
いまなお「伝説」「巨匠」などと称される、往年の名フォーク歌手故・高田渡さんの代表曲の一つに「値上げ」がある
▼<値上げは全然考えない 当分ありえない>。最初は「値上げしない」と言うが、徐々に<なるべく避けたい 時期が早すぎる>と風向きを変える。そして<認めたわけではない 消極的だがやむを得ぬ>と値上げの方向に傾き、結局、最後は<値上げに踏み切ろう>
▼じわじわと言を変え、最後はなし崩しに―。皮肉の効いた歌詞に思わずニヤリとする。だが、こうした「じわじわ」が今日施行される「共謀罪」法にも及ぶことはないだろうか
▼政府は、法の対象は組織的犯罪集団で一般市民は適用対象外とするが、国会審議では集団に属さない「周辺者」や、組織的犯罪集団と知らず所属していた場合も対象となることがあると説明した。犯罪集団かどうか決めるのは捜査機関である。恣意(しい)的な判断が入り込まないとも限らない
▼よく比較される戦前の治安維持法も当初の対象は、「国体」や私有財産を否定する団体だった。それが、じわじわと学者や宗教家、ジャーナリストらに広がったのはよく知られるところだ
▼「共謀罪」法がすぐに暴走することはあるまい。けれど、一般の人が標的になっていないか、今後も目を光らせていく必要がある。ブレーキが外れたら、止めるのは容易ではない。それは、歴史が教えている。2017・7・11
そういう時代に、今入った。
11日の『北海道新聞』のコラム。
じわじわ
07/11 10:30
いまなお「伝説」「巨匠」などと称される、往年の名フォーク歌手故・高田渡さんの代表曲の一つに「値上げ」がある
▼<値上げは全然考えない 当分ありえない>。最初は「値上げしない」と言うが、徐々に<なるべく避けたい 時期が早すぎる>と風向きを変える。そして<認めたわけではない 消極的だがやむを得ぬ>と値上げの方向に傾き、結局、最後は<値上げに踏み切ろう>
▼じわじわと言を変え、最後はなし崩しに―。皮肉の効いた歌詞に思わずニヤリとする。だが、こうした「じわじわ」が今日施行される「共謀罪」法にも及ぶことはないだろうか
▼政府は、法の対象は組織的犯罪集団で一般市民は適用対象外とするが、国会審議では集団に属さない「周辺者」や、組織的犯罪集団と知らず所属していた場合も対象となることがあると説明した。犯罪集団かどうか決めるのは捜査機関である。恣意(しい)的な判断が入り込まないとも限らない
▼よく比較される戦前の治安維持法も当初の対象は、「国体」や私有財産を否定する団体だった。それが、じわじわと学者や宗教家、ジャーナリストらに広がったのはよく知られるところだ
▼「共謀罪」法がすぐに暴走することはあるまい。けれど、一般の人が標的になっていないか、今後も目を光らせていく必要がある。ブレーキが外れたら、止めるのは容易ではない。それは、歴史が教えている。2017・7・11
昨日の『東京新聞』記事。
天下り調査「文科省メール以外出すな」 前川氏「杉田副長官が指示」
2017年7月11日 朝刊
前川喜平・前文部科学事務次官は十日の参院閉会中審査で、次官在職中の文科省の天下り問題を巡り、同省が省内だけでなく他府省の職員もあっせんした証拠となるメールを確認しながら、杉田和博官房副長官から政府の第三者機関、再就職等監視委員会に提出しないよう指示されたと説明した。
前川氏によると、杉田氏から昨年十二月末、官邸に呼び出され、天下り問題の調査に関する相談を受けた。文科省に加え、他府省職員の再就職あっせんに関与したことを示すメールも監視委に提出せざるを得ないと考えていたが、杉田氏から「他府省にかかわるものは出すなと指示があった」と語った。民進党の蓮舫代表の質問に答えた。
これに対し、菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で「事実は一切ない」と否定。当時の文科省の対応を「監視委の調査に組織的な隠蔽(いんぺい)を行っていた」と批判した。
文科省の天下り問題を巡っては、監視委が今年一月二十日、国家公務員法違反に当たる組織的なあっせんをしていたと認定する報告書を公表。前川氏は同日付で次官を引責辞任した。
文科省の天下り問題は、前川前文部次官を辞めさせるための手段だった。加計学園の獣医学部新設をすすめたい安倍政権は、文科省がすんなりと対応してくれないので、その進捗を図るために前川氏をやめさせてトップの首をかえようとしたのだろう。
安倍政権のやり方は、抵抗する者はやっつける、である。
天下りは、国家公務員のみならず、地方公務員も幹部クラスには必ず天下り先があてがわれる。もちろん組織的に、あるいは慣例となって、天下り先が紹介されている。
文科省だけ、その問題を曝したのは、安倍政権の謀略であろう。
天下り調査「文科省メール以外出すな」 前川氏「杉田副長官が指示」
2017年7月11日 朝刊
前川喜平・前文部科学事務次官は十日の参院閉会中審査で、次官在職中の文科省の天下り問題を巡り、同省が省内だけでなく他府省の職員もあっせんした証拠となるメールを確認しながら、杉田和博官房副長官から政府の第三者機関、再就職等監視委員会に提出しないよう指示されたと説明した。
前川氏によると、杉田氏から昨年十二月末、官邸に呼び出され、天下り問題の調査に関する相談を受けた。文科省に加え、他府省職員の再就職あっせんに関与したことを示すメールも監視委に提出せざるを得ないと考えていたが、杉田氏から「他府省にかかわるものは出すなと指示があった」と語った。民進党の蓮舫代表の質問に答えた。
これに対し、菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で「事実は一切ない」と否定。当時の文科省の対応を「監視委の調査に組織的な隠蔽(いんぺい)を行っていた」と批判した。
文科省の天下り問題を巡っては、監視委が今年一月二十日、国家公務員法違反に当たる組織的なあっせんをしていたと認定する報告書を公表。前川氏は同日付で次官を引責辞任した。
文科省の天下り問題は、前川前文部次官を辞めさせるための手段だった。加計学園の獣医学部新設をすすめたい安倍政権は、文科省がすんなりと対応してくれないので、その進捗を図るために前川氏をやめさせてトップの首をかえようとしたのだろう。
安倍政権のやり方は、抵抗する者はやっつける、である。
天下りは、国家公務員のみならず、地方公務員も幹部クラスには必ず天下り先があてがわれる。もちろん組織的に、あるいは慣例となって、天下り先が紹介されている。
文科省だけ、その問題を曝したのは、安倍政権の謀略であろう。