浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

死を迎えた内閣法制局

2015-09-29 21:25:58 | 政治
 内閣法制局は、もういらなくなった。日本国家は、憲法があろうとなかろうと、政府がやりたいことを勝手にやるという、およそ近代国家とはいえない国に転落した。内閣法制局は、みずから法治主義、法の支配を放棄し、政府の言うがままの組織となった。

 『日刊ゲンダイ』の記事。

内閣法制局は安倍政権の手先 「解釈改憲」容認裏付け資料なし


「法の番人」という看板は一刻も早く下ろすべきだ。毎日新聞が28日スクープした、昨夏に安倍政権の「解釈改憲」を認めた内閣法制局が、内部資料を公文書で残していなかった問題。法制局がどういう根拠で「解釈改憲」を認めるに至ったのかが全く検証できず、非公開の密室会議と同じ。とても法治国家とは思えない。

 安倍政権が集団的自衛権の行使を可能とする憲法9条の解釈改憲を閣議決定したのは昨年7月1日。閣議前日の6月30日、国家安全保障局から審査の閣議決定案文を受け取った法制局は、憲法解釈を担当する第1部の担当参事官が「意見ナシ」と電話で回答したという。法制局自らが「法の安定性」をブチ壊した審査時間が「たった1日」とはビックリ仰天ではないか。

 しかも、保存されている関連文書は、安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」や、与党協議会の資料、閣議決定の原案――の3種類だけ。横畠裕介長官は、閣議決定後の参院予算委で「部内でも9条に関する過去の国会答弁や質問主意書、答弁書などの政府見解を精査していた」と言い、今年6月の参院外交防衛委でも「法制局内で議論した」とか言っていたが、“裏付ける”資料はナ~ンも残っていないのだ。政治評論家の山口朝雄氏はこう言う。

「法制局は、どんなに屁理屈をこね上げても『解釈改憲は合憲』との結論を導き出せなかったのではないか。そのため、意図的に公文書を残さなかったのだと思う。裏を返せば、それだけ今の安保法が論理破綻している証左です」

 安保法の問題点を指摘してきた弁護士の倉持麟太郎氏は「プロセスを軽視する政権の姿勢がよく表れている」と断じ、こう続けた。

「米国議会で(安保法成立を)約束してきてから国会で審議する、公聴会の報告もなく強行採決する……。今の政権はことごとく手続きを軽んじてきました。それが如実に表れた一件だと思います」

「法の番人」である法制局が「政権の番犬」となって法律を勝手に書き換える――。まるで、イギリスの作家ジョージ・オーウェルの風刺小説「1984」に出てくる「真理省」ソックリだ。横畠長官は即刻、クビだ。
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卑劣な週刊誌=『週刊新潮』

2015-09-29 19:34:52 | メディア
 『週刊新潮』のような無責任・デタラメ・メディアがあるために、ネトウヨがのさばるのだ。

http://lite-ra.com/2015/09/post-1537.html
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2015-09-29 14:21:49 | その他
 今年、山本義隆の『16世紀文化革命』(みすず書房)を読んだ。それを、ボクはみずからの講座で利用した。良い本だ。様々な文献を渉猟して、ひとつの流れをつくり、それはまた現代を照射している。

 政治的に早熟であったボクは、山本義隆という名を、たとえば購読していた『朝日ジャーナル』でよくみかけていた。いわゆる全共闘運動のリーダーであった。

 全共闘運動が潰え、それに関わった人びとが社会のなかに吸収され、多くが社会体制のなかに組み込まれ、そこからのプロテストの声は聞こえてこなかった。

 後年、「自己否定」という言葉は、それをあくまで追求すると、みずからの死を招来せざるを得ないものではないかと考えた。「自己否定」ができなければ、「自己肯定」にならざるを得ない、そういうあれかこれかという考え方、弁証法的な契機が孕まれていない、そういうものだと判断した。だからそれに関与していた人びとは、社会体制の中に入り込み出世した。ノーパンしゃぶしゃぶという大蔵省がらみの汚職事件のなかに、泥にまみれた官僚を発見した。学生時代に全共闘運動に関わっていた者。

 多くは、社会体制の網のなかにうまい具合に入り込み、そこで安定と繁栄の蜜を吸い続けた。おそらく、今も吸い続けている。

 ところが、山本義隆はそういう人物ではない。みずからの志を今もって持ち続け、学問を政治を、そして社会を追究(追及)し続けている。

 最近出された『私の1960年代』(金曜日)が、今日届いた。山本のその姿勢が最初から自由に叙述されている。彼が巻末においたいくつかの弔辞を読むと、山本のように志を持ち続けた人びとが残っていたということを感じた。

 人生の黄昏を迎え、過去を振り返る。そのとき、持続している過去に抱いた志でもって、みずからの人生(もちろんみずからの生き方だけではなく、科学や社会の動きも含めて)を分析するのか、それともある意味「転向」したあとの視点から眺めるのか、その内容はたぶん真逆になるであろう。ボクは、後者のものは読みたくもない。

 山本のこの本を少しだけ読んだが、権力の側の先を見通した動き、それについて、その時点では反対する側に見えないものではあるが、それが反対の動きを押しのけていく姿が記されている。

 現在の政治経済社会のありかたが、1980年代の臨調行革の動きからはじまっていたと考え始めているボクとしては、もっともっと勉強して、先回りして支配層が狙っている方向を察知できるようにしたいと考えている。できるかどうかはわからないが、それなしに現状を打開することは難しい。

 山本のこの本は、読むに値する。2100円+悪税である。
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やりたい放題

2015-09-29 08:30:44 | その他
 アベをはじめ、官僚、その広報機関としての『読売新聞』は、憲法は勿論、法令や協定を無視して、やりたい放題を行っている。

 まず『読売新聞』。今日の『中日新聞』の報道である。

契約金報道で巨人敗訴 申し合わせ超過「真実」 

2015/9/29 朝刊

 プロ野球巨人の契約金超過に関する報道が事実と違い、名誉を傷つけられたとして、読売巨人軍が朝日新聞社に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は二十八日、報道内容を真実と認め、請求を棄却した。

 判決によると、朝日新聞は二〇一二年三月、一九九七~〇四年度に巨人に入団した新人選手六人の契約金が計三十六億円で、最高で一人一億五千万円までとする球界の申し合わせを超えていたと報道。記事で「自軍が勝てばよいという金権野球で、ドラフト制度を根幹から揺るがす」などと論評した。

 巨人側は、三十六億円は出来高払い分を含んでいたと主張したが、本間健裕裁判長は「広義の契約金と解釈すべきで、入団時に支払いを約束した額は明らかに申し合わせを超えていた」と退けた上で、論評も公正なものだと指摘した。

 読売巨人軍広報部は「事実を誤認した不当判決だ」として、控訴する方針を明らかにした。朝日新聞社広報部は「妥当な判決だ」とコメントした。


 そして次、今度は文科省が、みずからの主張を押しつけるために、虚偽の数字を子どもたちに伝えようとした。これに対して、当然のごとく批判があり、訂正した。

 今年八月、高校の保健教育用に作製した副読本で、女性の年齢と妊娠のしやすさの関係を示すグラフで虚偽捏造を行ったことが指摘された。すると、また再び今度は「子どもはどのような存在か」という文脈で使用した、厚労省の「少子化に関する意識調査」の数値を改ざん。子どもの存在は「無償の愛を捧げる対象」という回答を、本来は47・3%とすべきところを56・4%と表示。

 安倍政権の政策を推進するためには、虚偽の数字を教育現場で押しつけようとしていた。安倍政権の腐敗は、官僚も含めてのものだ。

 そしてさらに、大阪の人たちが当選させた知事、市長のでたらめさ。「地方分権」が叫ばれている時代に、「大阪都構想」。住民自治や自治体財政を破壊し、大企業に公営地下鉄を捧げるという、住民にとっては何のプラスもないような事業に莫大なカネを投入している。こういう人物を当選させる大阪府民や大阪市民の見識を疑ってしまうのだが、それに関する『朝日新聞』記事。

 
大阪都構想の関連経費31億円 6月まで、7割超人件費

野上英文

2015年9月29日03時02分

 橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)が提案し、5月の住民投票で廃案となった大阪都構想だが、大阪維新は11月の大阪府知事・大阪市長のダブル選挙で、再挑戦を掲げて戦う構えだ。朝日新聞が大阪市に情報公開請求したところ、6月までに都構想にかかった関連経費は、大阪府と大阪市で総額31億7852万円と判明した。再挑戦の場合、新たな支出が伴うことの是非も議論を呼びそうだ。

大阪都構想の再議論、コストは? 6月まで経費31億円

 開示された資料によると、5月17日投開票の住民投票には6億3496万円かかった。投開票所の使用料や選挙啓発、選管職員らの超過勤務手当などを含む。さらに都構想案を説明したパンフレットやビラの作成・配布にかかる経費で1億5152万円、計39回開いた住民説明会の警備委託や会場使用料などに3160万円を費やした。

 経費の7割超を占めたのは、都構想の事務局を担った「大都市局」の職員人件費で23億5494万円。局の発足で新規採用した職員はおらず、経費が純粋に増加したとは言えないが、橋下氏と松井一郎大阪府知事の意向で2013年4月に府と市で職員計100人が集められ、都構想に専従。今年6月の解散まで制度設計などにあたった。総務省(東京)などへの出張旅費は549万円だった。

 住民投票で反対多数となってから、わずか半年後に選挙で審判を仰ぐことになる都構想。今月16日の記者会見で橋下氏は「ダブル選の争点は都構想の議論が終結するか、修正して継続するかだ。議論の継続に大都市局のような存在は必要」とし、人件費などは「必要経費」との考えを示した。(野上英文)
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