「舞い降りた桜 ザハ・ハディドとめぐるドイツ銀行コレクション」 原美術館 4/30

原美術館(品川区北品川4-7-25)
「舞い降りた桜 ザハ・ハディドとめぐるドイツ銀行コレクション」
3/25-5/21

原美術館がいつもとは若干異なった雰囲気を見せています。中庭の大きなオブジェと、建物の床の曲線模様。建築家ザハ・ハディドによってデザインされた空間に、ドイツ銀行のアートコレクション約150点が集まっている。そんな現代アートの展覧会です。



ともかくまず見るべき点は、庭に飾られたザハ・ハディドの巨大なオブジェでしょう。タイトルは「舞い降りた桜」。まさに花びらのように咲く真っ白な構造物。まるで折り紙にて作られた花か、はたまた布地を織り合わせて出来た花のようにも見えてきます。そしてオブジェ越しに見る庭の常設展示。これはなかなか趣深い。李やソル・ルウィットの作品がいつもと少し変わった雰囲気で佇んでいます。ちなみにザハ・ハディドのオブジェは、この巨大な「舞い降りた桜」だけではありません。庭にはこれを含めた大小3点のオブジェと、2階展示室にもう1点が展示されています。まるで建物に群生している花々です。

そしてオブジェの次は建物の床です。いつもは板張りになっていたかと思いますが、今回は全く異なった白い床が出現しています。白地にシャープな曲線を描く灰色の模様。一瞬何かと思ってしまう図柄ですが、これはハディドがデザインしたオブジェの影なのだそうです。つまりこの影とオブジェが、ドイツ銀行の150点の現代アートコレクションを包み込む。そういう仕掛けの企画と言うことでした。

さて、そのドイツ銀行アートコレクションの約150点の作品ですが、オブジェや「影」との相乗効果にて美しく映えていた数点を除くと、総じてパンチ力に欠けていたように感じられました。展示作品の主はドローイングや写真などですが、あまりこれと言った作品がありません。ただその中でも、お馴染みティルマンスの写真(「クリスマスの星」)や、リヒターの油彩(「船遊び」)などはさすがの貫禄を見せています。また、オラフ・ニコライのバックライト付きの大きな写真(「自然に習って1」)や、やなぎみわのビデオアート(「かごめかごめ」)なども印象に残る作品でした。これらは見応えがあります。

最後に一点だけ、特に印象深かったリヒターの「船遊び」(1965)を挙げてみましょう。川面に浮かぶ二艘の小舟。そこに乗っているのは、大きな帽子をかぶった、まるでルノワールの作品に出てくるかのような女性たちです。画面は当然ながらぼかされていて、それが何やら懐かしい雰囲気をも呼び起こします。まるでテレビの走査線のような、横へ伸びる無数の線は、ちょうど川の流れを表現しているかのようです。藍とも紺ともとれる深い青みが画面を美しく覆います。これは一推しです。

ハディドによるデザインは、建築の観点からも注目されているのか、雑誌「新建築」の最新号でも6ページほど特集されています。オブジェや影の配置などが、大きな写真入りで分かり易く掲載されていました。ご興味のある方は一度手に取ってみては如何でしょう。

今月21日までの開催です。

*屋上テラスから見たハディドのオブジェ(左)と、恒例のイメージケーキ(右)です。ケーキはチーズベース。美術館の建物に咲いたハディドのオブジェと言ったところでしょうか。

 
コメント ( 9 ) | Trackback ( 0 )

「熱狂の日音楽祭2006」閉幕!

「熱狂の日」音楽祭閉幕、チケット売り上げ16万枚(yomiuri on-line)
東京・有楽町の東京国際フォーラムで3日から開かれていたクラシック音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭2006」(東京国際フォーラム主催、読売新聞社特別協力)が6日、大盛況のうちに閉幕した。

有楽町から丸の内界隈に人の波を築いた「熱狂の日音楽祭2006」。私は集中して音楽を聴くことがあまり出来ない性質なもので、初めは2公演だけを予定していましたが、「ノイマンが良い!」との評判を聞き、急遽最終日の「ノイマン+コレギウム・カルトゥシアヌム」を追加して聴いてきました。結局3公演です。

5/5 13:00(B7) ベルリン古楽アカデミー 「ディヴェルティメント」K.137など
5/5 16:30(C) コルボ・ローザンヌ声楽アンサンブル 「レクイエム」
5/6 19:15(A) ノイマン・ケルン室内合唱団 「ヴェスペレ」K.339など

まだ感想を一つも挙げておりません…。(無精者です。)拙いですが追々アップしていきたいと思います。(P.S アップしました。5/11)

ともかく今回の音楽祭は、事前認知度が高かったせいか、前売段階にてチケットがかなりはけてしまいました。ただ、その分(と言っては問題かもしれませんが)、昨年見られたようなチケットブースでの混乱などは皆無で、会場全体もかなりスムーズに流れていたかと思います。また、全体来場者もチケット販売枚数も昨年を大きく上回ったそうです。これは「大成功」でしょう。

さて、早くも来年についてのアナウンスが出ています。それによるとテーマは「国民学派」。おそらくこの名称は、イベントにしては硬派過ぎるので変わると思いますが、チャイコフスキーやドヴォルザーク、またはグリーグからシベリウス、それにバルトークやドビュッシー、ラヴェルなどの名前が怒濤のように挙がっています。何やら選り取りみどりの状態で、聴く方も大変になってしまいそうですが、個人的には大好きなシベリウスに期待したいです。純度の高いアンサンブルにてシンフォニーをまとめて聴ければとも思いました。(もちろん出来ればCホールで…。)

ベートーヴェン、モーツァルトとビックネームが続いて、一気に東京のゴールデンウィークの一大イベントとして認知された「熱狂の日音楽祭」。来年も楽しみです。

*会場にて、こもへじさん(ブログ『10億人が楽しめる手描き文字絵』)にいただいたモーツァルトの可愛い文字絵カードです。

 

*関連エントリ
「熱狂の日」の展覧会?! 「モーツァルト展」(5/6)
モーツァルト市場で見つけたこんなもの…。 「熱狂の日音楽祭2006」(5/5)
「熱狂の日音楽祭」のあとは「ぶらあぼ」で!(5/4)
「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン〈熱狂の日〉音楽祭 2006」、ついに開幕!(4/30)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )