都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「所蔵作品展 花より工芸」 東京国立近代美術館工芸館 5/21
東京国立近代美術館工芸館(千代田区北の丸公園1-1)
「所蔵作品展 花より工芸 -新収蔵作品を中心に- 」
3/14-5/21(会期終了)

いつも工芸館は本館より格段に空いていますが、この日ほど入場者数に差があったこともないでしょう。最終日を迎えた藤田展の大行列を尻目に、工芸館まで足を伸ばします。それにしてもタイトルの「花より工芸」。簡潔でありながら良いネーミングです。疾っくの昔に花は散ってしまいましたが、名前に惹かれて行ってしまいました。

初めに告白すると、私は工芸館の所蔵品とあまり相性が良くありません。(また建物も少し苦手です。)これまでにも何度か足を運びましたが、どうも一目惚れしてしまうような作品になかなか出会えないのです。もちろん、この美術館のコレクションは大変に充実しているので、ただ「合う合わない。」と言うだけの話です。その意味で今回、最も合わなかったと言える作品は、宮川香山の「鳩桜花図高浮彫花瓶」かもしれません。花瓶に配された立体の鳩。それが何やら不気味に器から出っ張っている。当然ながら、絵付け、彫刻とも精緻に表現されているわけですが、これはあまり趣味が宜しくない。香山の陶芸については、先日、泉屋博古館でとても感銘させられたばかりなので、余計に拍子抜けしてしまいました。(ファンの方、失礼しました。)
相性が悪いとばかり言ってもなにも始まりません。入口近くに展示されていた、真っ赤な装束を身につけた少女の人形、吉田良の「すぐり」は非常に優れた作品かと思います。髪の毛の質感から、爛れた装束の赤、そしてその顔の表情。特に目が生きています。今にもぎょろっと睨んできそうなほどに生々しい。隣に置かれていた四谷シモンの「解剖学の少年」もまた私と相性が良くないのですが、この「すぐり」の質感には魅了されました。そしてパンフレット(一番上の画像です。)にある、桜と「すぐり」のコラボレーションも非常に艶やかです。展覧会のネーミングと合わせて、観客の心をつかむような導入かと思いました。

「イギリスの現代陶芸」と題されたコーナーに、素朴で味わい深い作品がいくつか展示されていました。特にルーシー・リーの「鉢」や「白釉鎬文花瓶」。簡素な造形とそれでいて優し気な感触が、温かい印象を与える作品です。思わず手で触りたくなります。
27日から始まる次回の展覧会(「所蔵作品展 近代工芸の百年」)では、ルーシー・リーとハンス・コパーの作品の特集展示があるそうです。これは是非拝見したいと思います。
「所蔵作品展 花より工芸 -新収蔵作品を中心に- 」
3/14-5/21(会期終了)

いつも工芸館は本館より格段に空いていますが、この日ほど入場者数に差があったこともないでしょう。最終日を迎えた藤田展の大行列を尻目に、工芸館まで足を伸ばします。それにしてもタイトルの「花より工芸」。簡潔でありながら良いネーミングです。疾っくの昔に花は散ってしまいましたが、名前に惹かれて行ってしまいました。

初めに告白すると、私は工芸館の所蔵品とあまり相性が良くありません。(また建物も少し苦手です。)これまでにも何度か足を運びましたが、どうも一目惚れしてしまうような作品になかなか出会えないのです。もちろん、この美術館のコレクションは大変に充実しているので、ただ「合う合わない。」と言うだけの話です。その意味で今回、最も合わなかったと言える作品は、宮川香山の「鳩桜花図高浮彫花瓶」かもしれません。花瓶に配された立体の鳩。それが何やら不気味に器から出っ張っている。当然ながら、絵付け、彫刻とも精緻に表現されているわけですが、これはあまり趣味が宜しくない。香山の陶芸については、先日、泉屋博古館でとても感銘させられたばかりなので、余計に拍子抜けしてしまいました。(ファンの方、失礼しました。)
相性が悪いとばかり言ってもなにも始まりません。入口近くに展示されていた、真っ赤な装束を身につけた少女の人形、吉田良の「すぐり」は非常に優れた作品かと思います。髪の毛の質感から、爛れた装束の赤、そしてその顔の表情。特に目が生きています。今にもぎょろっと睨んできそうなほどに生々しい。隣に置かれていた四谷シモンの「解剖学の少年」もまた私と相性が良くないのですが、この「すぐり」の質感には魅了されました。そしてパンフレット(一番上の画像です。)にある、桜と「すぐり」のコラボレーションも非常に艶やかです。展覧会のネーミングと合わせて、観客の心をつかむような導入かと思いました。

「イギリスの現代陶芸」と題されたコーナーに、素朴で味わい深い作品がいくつか展示されていました。特にルーシー・リーの「鉢」や「白釉鎬文花瓶」。簡素な造形とそれでいて優し気な感触が、温かい印象を与える作品です。思わず手で触りたくなります。
27日から始まる次回の展覧会(「所蔵作品展 近代工芸の百年」)では、ルーシー・リーとハンス・コパーの作品の特集展示があるそうです。これは是非拝見したいと思います。
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