都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「近代陶磁器にみる東と西」 泉屋博古館分館 5/3
泉屋博古館分館(港区六本木1-5-1)
「近代陶磁器にみる東と西」
4/1-5/21
何度か前を通ったことがありますが、実際に中へ入ったのは初めてです。これも「ぐるっとパス」ならではの楽しみ方でしょうか。泉屋博古館分館にて開催中の「近代陶磁器にみる東と西」展を見てきました。
私自身あまり磁器に関心がなく、こうした陶磁器だけを集めた展覧会へ足を運ぶのは稀ですが、(あとは、書や仏教美術の展覧会にも足が向きません。)素直に見て美しいと思える作品にいくつも出会うことが出来ました。程よいスペースにて、無駄に飾られることなくシンプルに見せた陶磁器の味わい。この美術館には、一点一点の磁器とゆっくり向き合える環境が整っています。これは見る側にとって嬉しいところです。
まずは「近代の茶道具」のセクションから、清水六兵衛(五代)の二つの茶碗を挙げたいと思います。「仁清写扇流模様茶碗」と「仁清鳳凰模様茶碗」(ともに大正時代)。前者は、淡い緑によって描かれた流水に赤い扇子が流されている、いわゆる扇子流しの構図をとった作品ですが、ややくねっと曲がった器の素朴な表情もまた魅力的です。(画像は白黒です…。)そしてその素朴な味わいは後者も同じ。こちらも自然体な曲線が茶碗を象り、そこに青と赤の龍が潜んでいます。清水六兵衛は他にも、10個揃いの「草花絵替わり蓋物向付」(大正時代)などが展示されていましたが、こちらも白梅、紅梅、ゆりなどが、丸みを帯びた器に健気に配されていて美しい作品でした。これもおすすめです。
「中国美術の学習」と題されたコーナーでは、宮川香山(初代)の大きな花瓶が目につきました。中でも釉薬を効果的に使用した二点の作品、「紅海鼠釉花瓶」と「倣洋紅意花瓶」(ともに明治時代)はかなり目立っています。ともに、光沢感のある赤い胴体が印象的ですが、前者が上から葉が垂れる一本の木とすれば、後者は下からふつふつと湧き上がる赤い液体とでも言えるでしょうか。宮川香山では他に、龍の絵付けが見事な「暁雲釉流画花瓶」(明治、大正時代)や、桃の木が実とともに艶やかに描かれた「青花紅彩桃樹文双耳花瓶」(明治、大正時代」)なども魅力的ですが、この釉薬による抽象模様の二点が特に印象に残りました。
最後は、この美術館が誇る板谷波山のコレクションから、「葆光彩磁葡萄唐草文花瓶」(大正4年)を挙げます。まるでミルクをかけたような白い花瓶に、精巧に描かれた葡萄の模様。思わず手で確かめたくなるような質感の温もりと、絵付けの美しさが見事に融合した作品です。また同じく波山の「葆光彩磁珍果文花瓶」(大正6年)も、その洗練されたフォルムに高い完成度を感じさせる名品ですが、私ならこの葡萄をとりたいと思います。
様々な意匠を凝らした陶器の数々。展示作品もそれほど多くはありませんが、肩の力を抜いて楽しめます。今月21日までの開催です。(ぐるっとパスを使いました。)
「近代陶磁器にみる東と西」
4/1-5/21
何度か前を通ったことがありますが、実際に中へ入ったのは初めてです。これも「ぐるっとパス」ならではの楽しみ方でしょうか。泉屋博古館分館にて開催中の「近代陶磁器にみる東と西」展を見てきました。
私自身あまり磁器に関心がなく、こうした陶磁器だけを集めた展覧会へ足を運ぶのは稀ですが、(あとは、書や仏教美術の展覧会にも足が向きません。)素直に見て美しいと思える作品にいくつも出会うことが出来ました。程よいスペースにて、無駄に飾られることなくシンプルに見せた陶磁器の味わい。この美術館には、一点一点の磁器とゆっくり向き合える環境が整っています。これは見る側にとって嬉しいところです。
まずは「近代の茶道具」のセクションから、清水六兵衛(五代)の二つの茶碗を挙げたいと思います。「仁清写扇流模様茶碗」と「仁清鳳凰模様茶碗」(ともに大正時代)。前者は、淡い緑によって描かれた流水に赤い扇子が流されている、いわゆる扇子流しの構図をとった作品ですが、ややくねっと曲がった器の素朴な表情もまた魅力的です。(画像は白黒です…。)そしてその素朴な味わいは後者も同じ。こちらも自然体な曲線が茶碗を象り、そこに青と赤の龍が潜んでいます。清水六兵衛は他にも、10個揃いの「草花絵替わり蓋物向付」(大正時代)などが展示されていましたが、こちらも白梅、紅梅、ゆりなどが、丸みを帯びた器に健気に配されていて美しい作品でした。これもおすすめです。
「中国美術の学習」と題されたコーナーでは、宮川香山(初代)の大きな花瓶が目につきました。中でも釉薬を効果的に使用した二点の作品、「紅海鼠釉花瓶」と「倣洋紅意花瓶」(ともに明治時代)はかなり目立っています。ともに、光沢感のある赤い胴体が印象的ですが、前者が上から葉が垂れる一本の木とすれば、後者は下からふつふつと湧き上がる赤い液体とでも言えるでしょうか。宮川香山では他に、龍の絵付けが見事な「暁雲釉流画花瓶」(明治、大正時代)や、桃の木が実とともに艶やかに描かれた「青花紅彩桃樹文双耳花瓶」(明治、大正時代」)なども魅力的ですが、この釉薬による抽象模様の二点が特に印象に残りました。
最後は、この美術館が誇る板谷波山のコレクションから、「葆光彩磁葡萄唐草文花瓶」(大正4年)を挙げます。まるでミルクをかけたような白い花瓶に、精巧に描かれた葡萄の模様。思わず手で確かめたくなるような質感の温もりと、絵付けの美しさが見事に融合した作品です。また同じく波山の「葆光彩磁珍果文花瓶」(大正6年)も、その洗練されたフォルムに高い完成度を感じさせる名品ですが、私ならこの葡萄をとりたいと思います。
様々な意匠を凝らした陶器の数々。展示作品もそれほど多くはありませんが、肩の力を抜いて楽しめます。今月21日までの開催です。(ぐるっとパスを使いました。)
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