都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「奥原しんこ - 眠る人 - 」 SCAI
SCAI THE BATHHOUSE (台東区谷中6-1-23)
「奥原しんこ - 眠る人 - 」
4/11-5/17

見慣れたようで見慣れない、どこか病んだ都市空間を、大胆な遠近感をもって表します。大作ペインティング、またインスタレーションによる、奥原しんこ(1973~)の本格的な初個展です。
元々、「おしゃれで都会的な作風」(画廊HPより。)で知られるという奥原ですが、今個展に登場する場所は、例えば空を遮る高架下の公園や、連なる屋根だけを切り取った乱雑なビル群、そして木や枝だけが異様な存在感を持って群れる梅林など、おしゃれとはやや遠い、人気の少ない街の場末でした。それらが艶の押さえられたピンクやグリーン、それにグレーなどの色面に包まれながら、空間が奥へ無限に引き延ばされる奇異な遠近感にて描かれています。そして、その風景の中に「眠る人」、つまりは雑誌等の紙片を切り貼りして出来たコラージュによる、言わば無個性で匿名の女性が横たわっているのです。下着姿など、場にも合わない衣服を着てくつろぐその様子は、歪んだ空間の効果も相まってか、しばらく見ているとどことない不安感を呼び覚ましてきます。土の中でもコンクリの上でもなりふり構わずして眠る女性たちは、どこかデルヴォーに見る裸女の如く、別の位相から飛んできた異界の人物たちのようにも見えました。
無数の昆虫のコラージュに吊るされたネットも、またそんな彼女たちの眠りの場なのでしょうか。不思議な空間を生み出していました。
5月17日までの開催です。
「奥原しんこ - 眠る人 - 」
4/11-5/17

見慣れたようで見慣れない、どこか病んだ都市空間を、大胆な遠近感をもって表します。大作ペインティング、またインスタレーションによる、奥原しんこ(1973~)の本格的な初個展です。
元々、「おしゃれで都会的な作風」(画廊HPより。)で知られるという奥原ですが、今個展に登場する場所は、例えば空を遮る高架下の公園や、連なる屋根だけを切り取った乱雑なビル群、そして木や枝だけが異様な存在感を持って群れる梅林など、おしゃれとはやや遠い、人気の少ない街の場末でした。それらが艶の押さえられたピンクやグリーン、それにグレーなどの色面に包まれながら、空間が奥へ無限に引き延ばされる奇異な遠近感にて描かれています。そして、その風景の中に「眠る人」、つまりは雑誌等の紙片を切り貼りして出来たコラージュによる、言わば無個性で匿名の女性が横たわっているのです。下着姿など、場にも合わない衣服を着てくつろぐその様子は、歪んだ空間の効果も相まってか、しばらく見ているとどことない不安感を呼び覚ましてきます。土の中でもコンクリの上でもなりふり構わずして眠る女性たちは、どこかデルヴォーに見る裸女の如く、別の位相から飛んできた異界の人物たちのようにも見えました。
無数の昆虫のコラージュに吊るされたネットも、またそんな彼女たちの眠りの場なのでしょうか。不思議な空間を生み出していました。
5月17日までの開催です。
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