「池松江美(a.k.a.辛酸なめ子) - セレブ犯罪トリップ」 無人島プロダクション

無人島プロダクション杉並区高円寺南3-58-15 平間ビル3F)
「池松江美(a.k.a.辛酸なめ子) - セレブ犯罪トリップ」
4/11-5/31



同画廊では約3年ぶりとなるという池松江美の個展です。タイトルの如く「セレブの犯罪」をテーマにした写真、もしくはオブジェなどが展示されています。

メインは全40枚を超える写真連作、「犯罪未遂シリーズ」です。これはあくまでも気持ちだけセレブに扮した池松が、例えば窃盗や器物損壊と定義されるような行為をしようとする様子が写されたものですが、どれもが単に対象へ手がにゅっと伸びているだけの、言わば未遂と通り越した、犯意すらないシュールで面白可笑しい場面ばかりが登場しています。ともかくその手先に注目です。ショーウインドウ越しのカバンやアクセサリー、それに街ゆく人々のカバンはまだ犯罪をにおわせる部分があるにしろ、歩く少年の背後から手をやる様子などは、どこか手当たり次第に施しを求めて彷徨っているかのような悲哀感すら漂わせています。とりわけベンチで座る男性の背後から、殆どオモチャのようなプラスチック製の小ナイフをそっと近づけている様子には笑ってしまいました。ここには、仮に手を伸ばした先にあるものを全て奪ったとしても到底セレブにはなれない、一般大衆の雑然とした日常のみが皮肉めいて提示されています。また、殆ど偶然に撮られたというそのシチュエーションが、そのような日常性をさらに高めてもいました。

冒頭、オブジェと書いた作品はある意味で非常に合理的な道具です。ここでは触れませんが、まさか欧米のセレブがそのようなものを愛用していたとは知りませんでした。こちらは会場でお確かめ下さい。

今月末、31日までの開催です。
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