「南川史門 - ピンクとブラック、戦争と平和 - 」 MISAKO & ROSEN

MISAKO & ROSEN豊島区北大塚3-27-6
「南川史門 - ピンクとブラック、戦争と平和 - 」
4/14-5/25



希薄で物質感のない絵画で伝えられているのは、例えばTVを通して伝えられる戦争のようなリアリティーのない『現実』です。南川史門(1972~)の新作個展へ行ってきました。



ブラウン管越しに伝えられる戦争のニュースを見ると、時に全く自分のいる場所とは別世界で行われているような、言わばバーチャル空間の出来事ではないかと錯覚してしまうことがありますが、南川の絵画に登場する戦争のモチーフこそまさにそれです。薄いグレーやピンクを基調とした断片的なストロークにて描かれている戦車や戦闘機は、それ自体が幻であるかのような、あたかも影絵のような定まらない像だけをおぼろげに伝えていました。水玉模様のネクタイをしめ、スーツ姿の畏まった様で前を向く男性は、安全なオフィスビルの一角で戦争の惨劇を伝えるニュースキャスターなのでしょう。真剣さを装いながらも、どこか他人事の風を吹かしている様が、伝えられるようで伝えられない現実との繋がり得ない絶望的な距離感を示しています。空疎な余白に対象を掴みきれない虚しさを見るかのようでした。

あさっての日曜、25日までの開催です。
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