「川内倫子 - Semear - 」 FOIL GALLERY

FOIL GALLERY千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビル201)
「川内倫子 - Semear - 」
4/24-5/25



熱気に包まれるブラジルの自然と喧噪を、細微へ立ち入った写真にてクリアに表します。東京では4年ぶりとなるという川内倫子の個展です。

ブラジルの森林地帯を滔々と流れる大河の空撮から、川面のワニや土の上を歩くアリ、または何気ない日常の食卓の風景から美しい花々、そしてかの地で生活する人々のポートレートと、まさにありとあらゆるブラジルの全てが切り取られていますが、印象深いのはそれらに統一して見られる川内の感性、ようは冒頭でも触れた繊細な、半ば全てのものの粒子を伺うような細やかな美意識です。賑わう街も自然もが、僅かの間にだけ見せる静寂の時に包まれ、あるはずの湿気や温度までが透明感に満ちたピュアな空間へと切り取られています。ステレオタイプのブラジルが、そのような物語や衣を取り払った、剥き出しの形にて表現されているのです。

夜の競技場で熱狂する観衆を写した一枚が印象に残りました。群衆の向こうには夜空が広がり、明かりにつられて集う虫たちが、あたかもその場を祝福するかのようにして飛び交っています。自然と人に見るこの一体感こそがブラジルなのでしょうか。

「種を蒔く-Semear/川内倫子/フォイル」

今月25日までの開催です。
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