◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「人に役立つ職業に就きたい」って?

2007-12-23 19:40:04 | 気になる言葉、具体例
                     十分役立ってますよ
 若い人はもちろん、社会人になってうん十年たつような人でも意外にちゃんと使えていないのが「役立つ」という言葉です。まず、「役立つ」は自動詞、「役立てる」が他動詞ですから、「○○に募金を役立たせていただきます」は間違いで、「○○に募金を役立てさせていただきます」が正しい言い方です。「私の経験が役に立てると思います」という言い方は適切ではなく、「私の経験が役立つと思います」もしくは「私の経験を役立てることができると思います」が分かりやすい言い方ですね。あるいは、「私は必要な経験をたくさん積んでいますから、きっとあなたのお役に立てると思います」といったところでしょうか。
 でも、これをちゃんと言える人は本当に少ないというのが現状です。アナウンサーでもちゃんと言える人はあまりいません。「○○に募金を役立たせていただきます」だって、ベテランのアナウンサーが言ったのですから。「役立てる」が他動詞ですから「募金を役立てる」、「役立てる」の使役表現は「役立てさせる」、それで「役立てさせていただきます」となるわけです。お手本がほとんどないのですから、若い人が「習ったことを役立てる仕事に就きたいなと思います」なんて言うのを責められませんが、正しくは「習ったことを役立てられる仕事に就きたいなと思います」です。「役立てる」は「役立つ」の可能動詞の形でもありますが、「役立つ」は自動詞ですから、「習ったことを」に続けて言うことはできません。
 さて、例文の「人に役立つ職業に就きたい」、これについては、「~に役立つ」という形はいいのですが、それは「仕事に役立つ」「研究に役立つ」「活動に役立つ」などであって、「人」なら、「人の役に立つ職業に就きたい」というのが自然な言い方ですね。人様のお役に立てるような仕事をしたいという気持ちを、税金から給料をもらっている人たちがもう少し持っていたら・・・( ̄∧ ̄)。
コメント (2)
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