◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「歩き回らせられる」って?

2007-12-02 19:47:05 | 気になる言葉、具体例
                     歩き回らされてる?!
 今日の記事は一昨日の続きです。「歩き回される」は「歩き回らせられる」が正しいということを書いたのですが、「ふーん」というかたと「何かちょっと変じゃない?」というかたとに分かれたのではないかと思います。私は、本当は「歩き回らされる」だと思っているのですが、正直いって自信がないのです。
 「歩き回る」の使役表現は確かに「歩き回らせる」なのですが、その前に、「歩き回らす」という言い方はしませんか? これを受身表現にすると「歩き回らされる」になるのです。でもね、古い辞書には「回らす 動サ四」というふうに載っていて、四段活用ですよ、文語文法です。口語文法では、四段活用は五段活用に組み込まれたようですが、平成に入ってから発行された手元の辞書には「歩き回らす」も「回らす」も載っていません。うんと分厚い辞書なら載っているかな~?
 「悩ます」なら手元の辞書にも載っているのですが、若い人は「悩ます」って言いませんよね。「悩ます」と「悩ませる」、「巡らす」と「巡らせる」、「寝かす」と「寝かせる」、「滑らす」と「滑らせる」、「働かす」と「働かせる」、どちらを使いますか? 「腐らす」と「腐らせる」、「座らす」と「座らせる」、「回らす」と「回らせる」、あなたはどちらを使いますか?
 「大役を任せられた」というのを聞いたことがありますが、「歩き回らせられる」と同じことですね。「任す(五段活用)」も「任せる(下一段活用)」も同じ意味の他動詞で、「任せる」の受身表現は「任せられる」ですから。でも、これも、受身表現なら「任す」の未然形「任さ」に「れる」を付けた「任される」のほうが自然だと感じる人はいますよね。私も「任される」のほうです。
 他動詞は、五段活用から下一段活用にだんだん移行していっているようですが、ときどき「それは無理だろ、違うよ」と思うことがあります。でも、それほど、下一段活用のほうへどどーっと流れていっているのです。というわけで、「歩き回らされる」もそのうち消えちゃうかな~なんて思ったりして・・・、どうでしょうか? 受身表現でのみ、五段活用の未然形は残るでしょうか?
コメント
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