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とはいえ、熱中症指数が厳重警戒の中、早朝なら暑さはましだろうと登り始めたものの湿度が高く、たっぷり過ぎるほどの汗をかくことになりました。
気温・湿度ともに高い猛暑日にも関わらず三上山へ登ったのは、ミヤマウズラの花期を逃すまいの目的があり、花が見られる可能性を求めての山行です。
まずは御上神社の駐車場に車を停めさせてもらい、社殿に手を合わせてから登山口へと向かいます。
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三上山は毎年何度か登る山のひとつで、低山ながら巨石あり眺望ありの楽しみの多い山です。
その反面、急登や岩登りのある432mの標高以上にタフな山でもあります。
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登山道は最初のうちは以前は石段の参道だったと思われる道が続き、登り切った所に「妙見堂跡」があります。
妙見堂は、江戸時代に三上藩1万石の藩主の遠藤氏が1807年に三上山に勧請したとされ、江戸時代には信仰の場として栄えていたようです。
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現在の妙見堂跡には幾つかの石灯籠や水屋がありますが、かつてあったであろう御堂などは僅かに跡形を残すのみ。
三上山の表登山道は妙見堂跡以降の道が急登になり、妙見堂跡までの道は準備運動のような道ともいえます。
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妙見堂跡を越えると岩のゴツゴツしたような道が山頂まで続き、吹き出した汗が頬をつたって顎から道に落ちるのが分かるくらいの大汗になってくる。
休む場所もないのでただひたすら登って行くと、三上山表登山道のアドベンチャー・エリアの「割岩」に到着します。
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この岩塊の一番上に通り抜けられる隙間があって看板には“肥満度確認可能”と書かれています。
割岩へは登山道から少しそれますが、岩の向こう側で合流が出来ます。
登山道を行かれる方は居られたものの、割岩へは立ち寄らず、山頂へ向かっていく方の方が多かった感じでした。
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てっぺんにある大岩まではチェーンを使って登っていき、狭い岩の間を通り抜けていきますが、よほど細身な方でなければすんなりとは通れない隙間です。
三上山は御上神社の神体山であり、天之御影神が降臨された神が宿る山ですが、割岩はこれほどの巨岩でありながら信仰の形跡がないのが不思議です。
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割岩を越えて山頂に近づく岩の道は、三点確保しながら登らないと危なく感じるような岩々した急登が続きます。
なんか山歩きというより、岩のよじ登りみたいな道ではありますが、非日常感が心地よい。
某CMの“退屈な日常を死んだように生きるただの現代人が生き返りにやってきました。”に近い心境かな。
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途中ですれ違う人から“ミヤマウズラはどこに咲いているか知らない?”と聞かれたり、詳しそうな人に聞いてみたりするものの確かな情報は得られない。
何とか探し出してやろうと周囲をキョロキョロ見回しながら登っている途中、ミヤマウズラを発見!
樹林帯の中の木の蔭にひっそりと咲いていて、小さな白い花が連なっている様はまさに森の妖精です。
写真に撮りにくい位置に咲いていましたが、近くにもミヤマウズラの花がありそちらで写真を撮っていると、“花を見つけた人を見つけた幸運な人”の嬉しそうな声が聞こえる。
どうやら登りの時に見つけられなかったけど、下山途中に写真を撮っている当方を見つけて花を見ることが出来たとのことでした。
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岩の道を登って山頂近くの展望台に到着すると、絶景の湖東平野が望める。ここも三上山の魅力のひとつです。
眺望はややクリアーさには欠けていたが、晴天の太陽に照らされて心も晴れる。
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山から見る田園地帯は、もう稲刈りの済んだ田圃がちらほらとあり、季節が感じられます。
今年は昨年の大雨や高温被害による米不足や台風対応で稲刈りが早まったのか、例年より収穫が早いようにも思えます。
新米が流通し始めたとはいえ、値上がり額の高さには困ってしまいますね。
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展望台から大きな1枚岩を登っていくとすぐに天之御影神が御降臨したとする御神体の奥津磐座がある。
ここが三上神社の奥宮となり、磐座の後方には鳥居があってその奥に祠が祀られています。
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祠は中央の大きな祠が天之御影神をお祀りし、右は石仏のお地蔵さんが安置されている。
左は八大龍王の祠をお祀りし、水の神の龍への信仰は麓に水を恵ませる信仰へとつながっているのでしょう。
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山頂は祠の裏側にありますが、山頂部には眺望はありません。
ベンチなどもあって休憩したり食事したり出来ますが、同じ休憩するなら展望台の方が見晴らしがよくていいかも?
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三上山山頂の登頂証明の看板です。標高432m。
低山ではありますが、アドベンチャー・エリアや信仰の場所、眺望の良さと結構タフな道のりです。
最初は、いつも通りに表登山道から山頂経由で裏登山道で下山し、女山に寄る予定でしたが、帰りにもう一度ミヤマウズラの写真を撮ろうとピストンに予定を変更。
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下山しながら踏み跡のある脇道も含めてミヤマウズラを探していると、今度は“ミヤマウズラを見つけた人を見つける幸運”に恵まれました。
今年はミヤマウズラの花が少ないらしいのですが、群生とはいえないまでも数本のミヤマウズラが咲いている場所に他力本願で辿り着く。
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今の時期に三上山へ登られる方の中にはミヤマウズラを探しに登る方がおられ、当方もそのひとりでした。
登りの時に見たミヤマウズラより撮りやすい場所に咲いてはいたものの、登山道を外れた足場の悪い所にしゃがみこんでの撮影です。
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ミヤマウズラの名の由来は、山に咲きウズラのような葉の斑紋をウズラに例えたものだとか。
花は咲き終える寸前ではあるものの、葉の斑紋がよく分かる株があって、まとまって咲いていたのはこの株だけでした。
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花は小さな鳥が羽ばたいているようにも見えますが、妖精が羽ばたいているようにも見える可憐さがあります。
ミヤマウズラに出会えるかどうか確証のなく登った三上山でしたが、運よく登りにも下りにも出会えたのはツイテましたね。
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うまい具合にミヤマウズラに出会うことが出来ましたので、熱中症の厳重警戒にも関わらず登った甲斐がありました。
さぁこれで登山再開になるのかな!?