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日野町鎌掛の藤の寺 正法寺から「正法寺山(後光山)」をピストンで登る!

2024-04-23 06:12:12 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 日野町鎌掛の正法寺は藤の花で知られる寺院で、5月の連休の頃には長さ1m以上にも達する花房が垂れ下がります。
6年ほど前に藤の季節に参拝した時は、20~30mほどある藤棚の全てに藤の花房が垂れ下がり、独特の花の香りを漂わせていました。

正法寺は十一面観音菩薩(33年に一回御開帳)を本尊とする臨済宗妙心寺派の禅寺で、江戸中期の1691年に創建されたといいます。
藤の花は創建と同時に苗が植えられてと伝わりますので、樹齢は333年とされている。



今は藤の時期ではなく藤棚には花はありませんが、境内には山茶花や馬酔木が満開となっていて、山側の傾斜地にはショウジョウバカマの花もありました。
正法寺の近くには天然記念物となっている「鎌掛谷ほんしゃくなげ群落」もあり、こちらもGWの頃には訪れる人でにぎわいそうです。



境内の裏側は墓地になっており、その一画には鎌倉後期の作とされ、国の重要文化財になっている石造宝塔があります。
宝塔が最初からここにあったのか、他から移建されたのかは不明ということですが、塔身背面に正和四年の銘が残っているという。



さて、今回は正法寺の裏山にあたる正法寺山へ登りにやって来ましたので、寺院の参拝はほどほどにして登山口へ向かいます。
この日、駐車場には他に車はなく、山の中で人に出会うこともなく寂しい感じを抱きましたが、登山口からして何やら寂しい雰囲気があります。



小さな池の横を通りながら登って行きますが、正法寺山は急登に始まり、九十九折の道を登り、最後に再び急登といった感じの山でした。
途中で道が不明瞭な場所もあって、途中で道を修正して登る場面もありました。



道の途中に分岐があり、「行者堂」と書かれた方向へと進んでみます。
御堂があるのか、岩窟があるのかと思い現地に到着すると、岩場に小さな岩の祠が祀られていました。
同じ日野町にある綿向山の7合目の山伏コバにも行者堂がありますので、この辺りの山では山岳信仰が盛んだったと思われます。



行者堂から元来た分岐まで戻って山頂を目指しますが、しばらく続いていた九十九折の道は終わり、急登の道へと変わります。
苦手なシダ類が多い登山道になってきたのが少し嫌だったけど、陽当たりが良くなり、シダの茂った道はほどなく終わりました。



登山道の脇に「絆の御神木」という珍しい夫婦杉があり、太い方の雄杉の枝が雌杉と交差して合体杉になっています。
元々この杉が御神木だったのかどうかは不明ですが、珍しい形の合体杉だったため、御神木としたのかもしれませんね。



細い方の杉の二股に分かれている枝を、太い方の杉の枝が突っ切る形となっており、交差した部分が合体しています。
隣接する幹同士が合体するケースはありますが、上部で合体しているケースは珍しく、鳥居のような結界になっているのも面白い。



この場所は視界が広がって景色が見渡せ、直下には集落、奥には三上山が確認出来、後方に霞んでいる山々は湖西の山かと思います。
滋賀県の湖東・湖南辺りからはどこからでも三上山が見えるような気がしてしまいます。



山頂まではあと一息。そろそろ空が開けてきました。
気候が暖かくなってきていますので、汗が頭から流れてバンダナで拭いながら登ります。



正法寺山の山頂は、北峰・三角点峰・南峰の3つの峰があり、正法寺山は総称になります。
「正法寺山 山頂観音」がある場所は北峰で標高は350m、3つの峰の中で一番低いが、今回はここまでで下山しました。



看板には安産祈願とあり、これは麓の正法寺の御本尊の十一面観音が安産の守護神として信仰されていることによるのでしょう。
祠の中にお祀りされている観音さまのお姿です。



この辺りから見える景色も絶景です。
相変わらず三上山は確認出来ますし、右は鈴鹿山系なのでしょう、山の高さが違います。
綿向山の方向になるのかな?



さて、途中の分岐に「修験の岩(堆積岩)への道があり、進んで見たのですが、何度も足が滑りそうになる激坂で、どんどん麓へと下ってしまいます。
屏風岩に寄って帰りたかったので、途中で諦めて激坂を登り返して元の道に戻ります。

「鎌掛の屏風岩」は、正法寺山と隣り合わせの城山(標高373m)の間にある滝谷という谷あいの道の先にあります。
屏風岩は、底辺約31m、幅約7m、厚さ4mの巨岩で、谷から見て城山の山腹にあります。



「鎌掛の屏風岩」の解説板には“岩質は古成岩の堆積角岩で鈴鹿山脈の造山運動による褶曲作用を受けているにも関わらず、この付近のみその作用を全く受けていない。”
屏風岩は国の天然記念物に指定されており、岩層が褶曲せず全て直線であることが学術的に貴重であると書かれている。



また屏風岩は元々六曲屏風を立てたような岩だったが、江戸期に鎌掛石の名称で建材用に切り出し、現在残るのは約三分の一だといいます。
過去の姿を知る由もありませんが、この3倍の巨石が存在したと想像すると、巨大な屏風岩だったと思われます。



屏風岩の下の谷には滝谷川の上流が流れ、屏風岩から崩れ落ちてきたと考えられる巨石の間を小さな滝が流れ落ちています。
至る道筋には鹿除けのネットが張り巡らされていたが、熊にかんしては注意喚起はなかったので、熊は出ないようなのは安心です。



正法寺の門前近くには「高木神社」という小さな神社があり、神社には本殿や祠はなく、巨樹を御神体として祀られている。
案内板によるとこの神社は創建年は不明だが、杉は天保年間(1830~1843年)に植えられたものとされ、樹齢は約200年近くになります。



杉は幹を一つとするものの、7本の幹に分かれているので数本の杉が合体したようにも見えます。
道から少し入った場所に巨樹はありますが、この高木神社は「感謝の神様」とされていて“常に感謝の気持ちは安寧と幸せをもたらします”とある。



正法寺へ通じる道は、広くて走りやすい道ですので快調に飛ばしながら運転していたら、何と♂のキジが道を横切ってブレーキを踏むことになりました。
山の中でもウグイスの囀りに混じってキジのホロ打ちの声が聞こえましたので、季節は春、繁殖期に突入していますね。



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