あたった。

勤め先の親睦会でバーベキュー大会があった。
定番の焼きそばから、肉やホルモン、殻ごとのホタテの稚貝やツブ貝などを焼いて食べたのだが、ツブにあたってしまった。

厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル」によれば、ツブとして流通している貝の中には、唾液腺にテトラミン (CH3)4N+ という神経毒をもつ種類がかなりいるようで、俺はツブを焼いて殻から引っ張り出して丸ごと食ってしまったので、テトラミン中毒になってしまったようなのだ。

中毒量について、同ページから引用すると、
「テトラミンのヒトでの中毒量は橋本[16]によれば350~450 mgとされている。 ヒメエゾボラの場合、1個体の唾液腺重量は1-2gでテトラミン含量は数mg-10 mg/gであるので、中毒量は貝20-30個に相当する。 しかしながら実際にはもっと少数の貝を食べても中毒は発生しているようで、約10 mgという少量でも発症することを示唆する報告もある[6]。 テトラミンの中毒量は50 mg以上(ヒメエゾボラ数個以上)[10]というのが妥当だと思われる。」
とのことだが、おれは大きめのを2個食べたように記憶している。
多目の10mg/gの毒を持った唾液腺が、これまた大き目の2gだったと見積もっても、2個だから40mg程度のテトラミンにしかならなかったはずだが、体重85kgの俺でも、やられてしまったのだ。

なお、ツブの唾液腺は、当地では「ツブのアブラ」と呼ばれているようで、除去しないで食べると「酔っ払う」と言い倣わされているらしい。
・・・そういうことは食う前に教えてほしかったぞ。

中毒症状について、同ページから引用すると、
「食後30分から1時間で発症し、激しい頭痛、めまい、船酔い感、酩酊感、足のふらつき、眼底の痛み、眼のちらつき、嘔吐感などがみられる。 通常数時間で回復し、死亡することはない。酒に酔ったような症状があることから、原因巻貝は地方によっては酔い貝として知られている。 また、眠気を催すことからヒメエゾボラはネムリツブとも呼ばれている。」
とのことで、俺の場合もまさに、食べて数十分で頭痛→2時間くらいで船酔いのような感覚→3時間くらいに車で帰ったら悪酔いのような感覚→3時間半後くらいに帰宅する頃には嘔吐感→その後吐いたら眠気、と症状が出た。

会場を片付けて、帰路に着くまでは、そんなにひどい症状ではなかった。
車で帰らなきゃなかったから、最初から酒は一切飲んでいない。むしろ、ツブを食べてしまってから「アブラ」の事を聞いて、やがて頭痛が出てきたので、毒を速やかに排出しようと、缶のブラックコーヒーをガバガバ飲んでいた。
しかし、クルマを運転して帰るとき、特にカーブの横Gがキモチ悪かった。まさに、酔払い運転のようとも、船酔いのようとも言えるキモチ悪さ。
運転に直接支障が出ているような自覚的症状(蛇行するとか反応が遅れるとか)はなかったが(あったら運転できないし)、帰り着いたときには吐き気MAXで、家族には顔色が悪いと言われた。
そのまま横になったが、飲みすぎた後のような酩酊感と吐き気がおさまらなかった。でも自然に吐ける感じでもなかったので、トイレに行って、喉に指突っ込んで強制的に吐いた。
吐いたら急速に楽になって、今度は眠くなってきてしまった。

少し寝たのだが、コーヒーの飲みすぎが祟ったのか、ひどい尿意で目が覚めて、オシッコしたら今度は寝付けなくなった。
カフェインにもやられてたかもしれないな。
輾転反側としながら、悪酔いしたような不快感のまま、ほぼ小一時間毎に多量の小便をして、それでもやっと寝れたのは、3時をだいぶ過ぎてからだった。

朝起きたら、もうほぼ不快感はなくなっていた。少しは眠ったはずなのだが、毒と戦った体はなんだかぐったり疲れていた。
それでも仕事に行って、作業で一汗かいたら、なんとか復活した感じになった。
やーひどい目にあった。

読者諸兄も、上記リンクのページをぜひご一読の上、ツブを召し上がる際は十分ご注意されたい。
ということなので、この記事のジャンルは「ツブ焼き」ということに。チャンチャン。
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