hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

クリスマスの思い出

2006年12月11日 | 昔の話

私の子ども時代は昭和20年代前半。世間も食べるのに精一杯だし、クリスマスを祝う習慣はなく、思い出はない。20年代後半だろうか、クリスマスと言えばとんがり帽子をかぶったおじさんたちが、銀座で酔っ払って女給さんとふざけている写真が新聞に出ていたような記憶がある。当時は大人の男性がキャバレーなどで遊ぶのがクリスマスだった。

我が家の楽しいクリスマスも、もうはるか昔の話になってしまった。
クリスマスの朝、贈り物を見て喜ぶ顔がみたくて待ちきれず、まだ起きない息子を起こしに行った。子どもはベッドの上で起き上がると周りを見渡して、「ない」と言うと、「僕、いい子じゃなかったからかな」と言うと、泣き顔になった。いつも、泣きだす前に、泣き顔になり、そのまま止まって、一瞬置いてから、泣き声と涙が一気に出てくる。
あせった私と女房は、あわてて、「ベッドの下も探してごらん」と言う。こんなときだけはすばやい息子は、ベッドから首を出して、下をのぞき、リボンでくるんだ袋を見つけると、「あった!」と言って、飛び降りた。
袋をやぶり、前から欲しかったおもちゃを取り出して、「どうして、サンタさんにわかったのかな」とニコニコ、ニコニコ、さっきの泣き顔の跡形もなく、全身で喜んでいる。私と女房も顔を見合わせて、二人ともニコニコ、ニコニコ。

トルストイの小説の書き始めに、「不幸な家庭はさまざまだが、幸せな家庭はどれも同じである」と言うようなものがあったと思うが、まさにこれが平凡でどこにでもある幸せな家庭の典型だと思った。

今でも20年も昔のことをときどき思い出してはニヤニヤしている。サンタクロースは親のためにこそあるのではないだろうか。



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