hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

「旗本夫人が見た江戸のたそがれ」を読む

2008年02月11日 | 読書

「旗本夫人が見た江戸のたそがれ 井関隆子のエスプリ日記」深沢秋男著 2007年11月20日発行 文春新書 を読んだ。

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)。
(”是非読みたい”が五つ星、”お勧め”は四つ星、”お好みで”を三ツ星、”読めば”を二つ星、”無駄”は一つ星)

日記の著者は、江戸も終わりに近づいた天保のころの井関隆子という隠居した旗本の妻だ。古今東西の書籍を読み、歌、小説、絵も書き、冷静で合理的な分析が出来る女性が江戸時代にもいたのだ。

江戸の武家の風俗、年中行事、具体的日々の暮らし向きを書いている。また、天保改革など江戸城内部の実情、政治の裏面が生々しく語られる。息子や孫からの城内の生な情報が入ってくるのだ。幕府の公式発表を覆す第一級の史料でもあるらしい。

九段下の屋敷の庭の別棟に暮し、四季の草花、歌、お酒をたしなむスローライフである。同時に、江戸幕府の中枢からの最新の情報も入り、世の中から取り残されていく不安もないという楽しい隠居生活の記録でもある。

ひとつだけ、引用する。
法事について、「大方の人がお経を聞いても訳はわからず、ただうるさいと思っているものが多い。人の代わりに来た男などは、早く読経が終わって欲しいと、陰であくびをして、早く物を食べたいと、それが待ち遠しい様子である」と書いてある。
隆子の批判精神を示しているが、これが江戸時代かと思う記述だ

コメント
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