33代木村庄之助著「力士(ちからびと)の世界」文藝新書2007年11月発行を読んだ。
52年間、相撲界でもくもくと努力し行司最高峰を極めた人の相撲入門書だ。
いまだ“ちょんまげ”をゆっていることでわかるように古い伝統が生きている相撲界のしきたりと、その歴史などをわかりやすく解説している。あと、ほんの少々の裏話がある。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)。相撲界を良く知る人にはもの足らないだろう。一方、著者があの高砂部屋所属の行司であったことから、わくわくするような裏話を期待する人は当てが外れる。とくに相撲に詳しくない人でも簡単に読めて、一通りの知識が得られる本だ。
著者によれば、52年間の相撲界で学んだもっとも大切なことは、「素直であれ」と言うことだという。稽古は同じことの繰り返しで、飽きて、つい自分流が顔を出す。それでも代々受け継がれてきた稽古の仕方をまずは素直に受け止め、飲み込んでみる。そうした態度の持ち主は成長が早いという。
私などは、まったく反対で、何事もまず従来からのやり方を疑うことから始めるが、伝統の世界はまず飲み込むことが大切なようだ。
番付の話だけ少しご紹介。
番付は訓練を重ねた行司さんが、白い部分を残さないように独特の相撲字で書く。下へ行くほど極端に字が小さくなってしかも縦長なので読みにくい。
我家に貼ってある番付は2003年1月のものだが、横綱は東が武蔵丸、西が貴乃花と、東の大関に朝青龍がいる。左側(西)二段目(十枚目=十両)の一番右(筆頭)に朝赤龍がいる。
十両以上が太字なっていて、以下は字が小さく離れてはまともに読めない。要するに十両以上(関取)となってはじめて一人前のお相撲さんになるのだ。幕下以下は関取の付け人で、十両になったとたん逆に付け人がつき、給料もはじめてもらえるようになる。これがなによりの厳しい稽古に耐えさせるのだろう。
この番付の2003年当時、著者の名前は三役格なので多分30代木村庄之助の下にある“木村咸喬”だろう。
白鵬は東(右側)下から3段目(東三段目)の右から16番目にいる。琴欧州は左側一番下(西序の口)の左から5番目だ。
琴欧州のところを拡大すると、こうなる。
まだ、見えない?これならどうだ!
その他、いくつか下世話な話題を。
懸賞の金額は一旗6万円で、手取りは3万円。十両の月給は103万円、前頭130万円。横綱は282万円で、その他と加えても年収1億円と意外に少ない。
しかし、105しかない年寄株を約1億円で手に入れれば、65歳の定年まで相撲協会に勤められる。
全力士約700人の中、外国人力士は12カ国、61人(約9%)。しかし、幕内力士は42人中13人(約31%)を占める。
朝青龍は稽古で負けると泣いた。稽古が辛くて夜、布団で泣くお相撲さんは多いが、負けて悔しくて泣く力士は知らない。強くなりたいという思いがそれだけ強烈だったのだ。
高砂部屋の3代前の親方になった前田山は怪我で休場中に野球観戦し、監督と握手する写真が新聞に出て、引退に追い込まれた。(昔からあったのだ、とくに高砂部屋では)
52年間、相撲界でもくもくと努力し行司最高峰を極めた人の相撲入門書だ。
いまだ“ちょんまげ”をゆっていることでわかるように古い伝統が生きている相撲界のしきたりと、その歴史などをわかりやすく解説している。あと、ほんの少々の裏話がある。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)。相撲界を良く知る人にはもの足らないだろう。一方、著者があの高砂部屋所属の行司であったことから、わくわくするような裏話を期待する人は当てが外れる。とくに相撲に詳しくない人でも簡単に読めて、一通りの知識が得られる本だ。
著者によれば、52年間の相撲界で学んだもっとも大切なことは、「素直であれ」と言うことだという。稽古は同じことの繰り返しで、飽きて、つい自分流が顔を出す。それでも代々受け継がれてきた稽古の仕方をまずは素直に受け止め、飲み込んでみる。そうした態度の持ち主は成長が早いという。
私などは、まったく反対で、何事もまず従来からのやり方を疑うことから始めるが、伝統の世界はまず飲み込むことが大切なようだ。
番付の話だけ少しご紹介。
番付は訓練を重ねた行司さんが、白い部分を残さないように独特の相撲字で書く。下へ行くほど極端に字が小さくなってしかも縦長なので読みにくい。
我家に貼ってある番付は2003年1月のものだが、横綱は東が武蔵丸、西が貴乃花と、東の大関に朝青龍がいる。左側(西)二段目(十枚目=十両)の一番右(筆頭)に朝赤龍がいる。
十両以上が太字なっていて、以下は字が小さく離れてはまともに読めない。要するに十両以上(関取)となってはじめて一人前のお相撲さんになるのだ。幕下以下は関取の付け人で、十両になったとたん逆に付け人がつき、給料もはじめてもらえるようになる。これがなによりの厳しい稽古に耐えさせるのだろう。
この番付の2003年当時、著者の名前は三役格なので多分30代木村庄之助の下にある“木村咸喬”だろう。
白鵬は東(右側)下から3段目(東三段目)の右から16番目にいる。琴欧州は左側一番下(西序の口)の左から5番目だ。
琴欧州のところを拡大すると、こうなる。
まだ、見えない?これならどうだ!
その他、いくつか下世話な話題を。
懸賞の金額は一旗6万円で、手取りは3万円。十両の月給は103万円、前頭130万円。横綱は282万円で、その他と加えても年収1億円と意外に少ない。
しかし、105しかない年寄株を約1億円で手に入れれば、65歳の定年まで相撲協会に勤められる。
全力士約700人の中、外国人力士は12カ国、61人(約9%)。しかし、幕内力士は42人中13人(約31%)を占める。
朝青龍は稽古で負けると泣いた。稽古が辛くて夜、布団で泣くお相撲さんは多いが、負けて悔しくて泣く力士は知らない。強くなりたいという思いがそれだけ強烈だったのだ。
高砂部屋の3代前の親方になった前田山は怪我で休場中に野球観戦し、監督と握手する写真が新聞に出て、引退に追い込まれた。(昔からあったのだ、とくに高砂部屋では)