hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

伊坂幸太郎「陽気なギャングの日常と襲撃」を読む

2010年03月12日 | 読書2

伊坂幸太郎著「陽気なギャングの日常と襲撃」祥伝社文庫、2009年9月発行を読んだ。

裏表紙にはこうある。

嘘を見抜く名人は刃物男騒動に、演説の達人は「幻の女」探し、精確な体内時計を持つ女は謎の招待券の真意を追う。そして天才スリは殴打される中年男に遭遇―天才強盗4人組が巻き込まれた4つの奇妙な事件。しかも、華麗なる銀行襲撃の裏に「社長令嬢誘拐事件」がなぜか連鎖する。知的で小粋で贅沢な軽快サスペンス!
文庫版記念ボーナス短編付き!



映画化された『陽気なギャングが地球を回す』の続編で、2006年新書版で刊行されたものの文庫版だ。なお、“A bonus track”とある巻末の「海には、逃したのと同じだけの良い魚がいる」は、新書版にはなく、映画の公式ガイドブックに載せたものをこの文庫版に収録した。

主人公を4人組の一人づつ換えて作った4つの短編を基にして、この長編の第一章を書いたという。そこで、前作を読んでいない私は、最初の方は状況がつかみにくかった。「新書刊行時あとがき」で著者が言うように、できることなら、前作から順番に読んだ方がよいだろう。



私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)

主人公4人組が風変わりで魅力的なキャラクターだ。軽快にスピーディーに語り、ユーモアを散りばめた良質のエンターテイメント小説だ。日本にもこんな作家が現れ始めたのかと思う。

ミステリーではあるが、ウエイトは痛快コメディにある。伊坂ワールドともいうべき軽やかで笑える会話は見事だ。
私は、なんといっても、おしゃべりで演説好きな中年男の響野氏がいい。見当違いに突っ走り、すべての人をうんざりさせるがどことなく憎めない。

「今の日本で公衆電話を探すのは至難の業だぞ。・・・私も相当苦労したからな、そうそう簡単にはみつからないはずだ。こういうのは、おそらくその人間の持っている、人間力のようなものが影響してくるからな」
(すぐに、女性が言う。)「あ、あそこにありました」



苦情を言ってきた客の家に代理で響野が行く。翌日、係に客から「あの件はもういいから、あの騒がしい社員だけは寄越さないでくれ」と電話がある。響野の妻が言う。「うちの旦那でも役に立つんだね」



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