角田光代著『よなかの散歩』2011年4月(株)オレンジページ発行、を読んだ。
食べ物、料理、新しい家族の猫、旅先での思い出などのエッセイ集。食、人、暮、食、季、旅と6章にわかれるが、「オレンジページ」に連載されたエッセイなので、食べ物や、角田さんの趣味でもある料理についての話が多い。日常のなんでもないことを書いているのですらすら読めるし、共感することも多い。それにしても、角田さんはビビリ屋で、へんなこだわりが多い人だ。
3つだけご紹介。
TV番組で20代の男性に「彼女の手料理でいちばん食べたいものは何か」という質問への答えの一番が、肉じゃがや、ロールキャベツでなく、カレーであったという。「えー、カレー?」と驚く、角田さんと友人たちは時代の流れと自分たちの加齢に思いをはせた。
カレーを食べたいと言われて、昭和の女の角田さんは、料理の腕をふるえなくて「ちっ」と思う。
角田さんが、「スカートにスパッツ可愛いじゃん」と、若い子向けの店に行きスパッツを買った。暖かくてスカートには必ずスパッツになり、二十代の気分だった。あるとき、足元を見て、自分の年齢をはっきりと思い出した。足首の切れ目部分の肌が露出しないよう、厚地のソックスをしっかりとはいていた。「お洒落」ではなく、「防寒」だった。
初出:「オレンジページ」2006年12月-2009年10月、2010年7月を再構成。
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
極めて日常的な出来事について、角田さんらしい感覚で、練れたわかりやすいユーモラスな表現で書かれている。スラスラ読んで、楽しめるのだが、ホアーンとしてどうということもないと言えば言える。
私が共感した点をひとつだけ。
角田光代
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。
1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞、1996年「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞
1998年「ぼくはきみのおにいさん」で坪田譲治文学賞、1999年「キッド・ナップ・ツアー」で産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石賞、2003年「空中庭園」で婦人公論文芸賞、2005年「対岸の彼女」で直木賞、2006年「ロック母」で川端康成文学賞
2007年「八日目の蝉」で中央公論文芸賞をいずれも受賞
2005年春作家の伊藤たかみさんと結婚後、離婚。2009年ミュージシャン河野丈洋と再婚。習い事は英会話とボクシング。趣味は旅行で30ヶ国以上に行った。
その他、
「水曜日の神さま」
「森に眠る魚」
「何も持たず存在するということ」
「マザコン」
「予定日はジミーペイジ」
「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。 」、
「『私たちには物語がある』 」、
「 『愛がなんだ』 」、
「 『ひそやかな花園』 」
を執筆。
食べ物、料理、新しい家族の猫、旅先での思い出などのエッセイ集。食、人、暮、食、季、旅と6章にわかれるが、「オレンジページ」に連載されたエッセイなので、食べ物や、角田さんの趣味でもある料理についての話が多い。日常のなんでもないことを書いているのですらすら読めるし、共感することも多い。それにしても、角田さんはビビリ屋で、へんなこだわりが多い人だ。
3つだけご紹介。
TV番組で20代の男性に「彼女の手料理でいちばん食べたいものは何か」という質問への答えの一番が、肉じゃがや、ロールキャベツでなく、カレーであったという。「えー、カレー?」と驚く、角田さんと友人たちは時代の流れと自分たちの加齢に思いをはせた。
カレーを食べたいと言われて、昭和の女の角田さんは、料理の腕をふるえなくて「ちっ」と思う。
愛するものが増えるということは、恐怖が増えるということなのだ。子猫がきて以来、私の恐怖方面の想像力が増大している。うちにある南部鉄の天ぷら鍋が、何かの拍子に猫の首に落ちてきたらどうしよう。・・・そうして、思う。世のおかあさんがたというのは、子どもがちいさいとき、どのくらいの想像恐怖におののいているのだろう。
角田さんが、「スカートにスパッツ可愛いじゃん」と、若い子向けの店に行きスパッツを買った。暖かくてスカートには必ずスパッツになり、二十代の気分だった。あるとき、足元を見て、自分の年齢をはっきりと思い出した。足首の切れ目部分の肌が露出しないよう、厚地のソックスをしっかりとはいていた。「お洒落」ではなく、「防寒」だった。
初出:「オレンジページ」2006年12月-2009年10月、2010年7月を再構成。
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
極めて日常的な出来事について、角田さんらしい感覚で、練れたわかりやすいユーモラスな表現で書かれている。スラスラ読んで、楽しめるのだが、ホアーンとしてどうということもないと言えば言える。
私が共感した点をひとつだけ。
お寿司屋さんって緊張しませんか。私はするのです。・・・「何か握りましょうか」と言われると、びくーっとする。だいたい、魚の名前を知らないのである。季節の旬も知らないのである。そして注文の間合いがよくわからないのである。
これは私も全く同じ。最近は最初からおまかせコースを頼むことにしている。
これは私も全く同じ。最近は最初からおまかせコースを頼むことにしている。
角田光代
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。
1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞、1996年「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞
1998年「ぼくはきみのおにいさん」で坪田譲治文学賞、1999年「キッド・ナップ・ツアー」で産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石賞、2003年「空中庭園」で婦人公論文芸賞、2005年「対岸の彼女」で直木賞、2006年「ロック母」で川端康成文学賞
2007年「八日目の蝉」で中央公論文芸賞をいずれも受賞
2005年春作家の伊藤たかみさんと結婚後、離婚。2009年ミュージシャン河野丈洋と再婚。習い事は英会話とボクシング。趣味は旅行で30ヶ国以上に行った。
その他、
「水曜日の神さま」
「森に眠る魚」
「何も持たず存在するということ」
「マザコン」
「予定日はジミーペイジ」
「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。 」、
「『私たちには物語がある』 」、
「 『愛がなんだ』 」、
「 『ひそやかな花園』 」
を執筆。