hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

『世界のグロービッシュ』を読む

2011年07月21日 | インポート
グルーバル人材開発訳『世界のグロービッシュ』2011年3月東京経済新報社発行、を読んだ。

グロービッシュはネイティブではない人が使いやすい英語で、原著者のジャン=ポール・ネリエールはこれをコミュニケーション・ツールとしての世界共通語として提唱している。基本的な英語の文法と、1500語と「その派生語」だけに限定し、ともかく通じることに目的を絞った英語術だ。
この本の左ページはグロービッシュの英語で書かれ、右に日本語訳がある。

Globish Rules
・基本単語1500語とその派生形だけを使う。句動詞(take out, put onなど)は使わざるをえない。
・基本構文を使う。受動態は使わない。
・ひとつの文は、なるべく15単語以内に収める
・文化によって異なりがちなユーモアや比喩、慣用句などは使わない
・発音は、完璧でなくとも良い。各国のネイティブにも訛りがある。発音よりもアクセントに注意する。

英語を公用語とする国、地域には特有の表現やアクセントがあり、非ネイティブの人たちが完璧な英語を使いこなすことはどんなに勉強しても実質困難だ。グロービッシュは、美しく格調高い表現、洒落た言い回しや、皮肉めいた謎かけのような表現は望まず、コミュニケーションの道具に徹する。

英語は世界共通語になっているが、英語を母語とするのはおよそ4億人で、英語を話す非ネイティブはおよそ15億人と圧倒的多数。英語のネイティブ同士のコミュニケーションは4%、非ネイティブ同士が74%。
非ネイティブに理解されない難しい話し、文書はグローバルに通用しないのだ。また、英語ネイティブは英語がそれなりにどこでも通用するので、他の言語に疎い人が多く、非ネイティブとのコミュニケーションが下手な人が多い。



ジャン=ポール・ネリエール
フランス人。IBMUSAのインターナショナル・マーケティング担当副社長として英語のさまざまなバリエーションを実感し、世界共通語としてのグロービッシュを思いついた。

訳の一般財団法人「グルーバル人材開発」は事業の一環として「Globish」を日本に紹介し推進している。 




私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

理解してもらうには、話す人が相手に対して少なくとも半分は歩み寄らねばならない。ネイティブが易しい単語、言い回しに限定して話し、非ネイティブは簡潔に話す。いってみれば当たり前のことで、このためにルールを作ったのがグロービッシュだ。

グロービッシュの主旨には賛成だし、非ネイティブが単純な英語でグロービッシュ的に話すことは良いことだと思う。しかし、微妙でより正確な表現ができる英語ネイティブが、表現に制約が大きいグロービッシュで話してくれるとは思えない。多少気にかけてくれるだけだろう。

私の数少ない経験でも、外国人と多く接している英語ネイティブは、私にも解る英語で話してくれるし、ひどい発音でも意味をくみ取ってくれる。オーストラリアでのことだが、分かりやすい英語で話してくれていた人が携帯にかかってきたら、「これ英語?」と思えるチンプンカンプン(死語?)な話しぶりになったことがあった。まあ、日本語でも、子供と話すときは易しい言葉で話すし、故郷の人と話すとお国訛りになったりする。
一方、外国の田舎で地元の人の話しは分かりにくいというより、私は分からない。

外国人なれしているネイティブは、最初相手の英語力がどの程度のレベルか探るような会話をして、判断できたらレベルを下げて話してくれる。私などとは結局幼稚園なみの会話内容になってしまう。
そういえば、米国だったか英国だったか、ビルの片隅から入る地下鉄の入口がどこにあるか通行人に尋ねた。しかし、何人に聞いても場所を知っている人がいなかった。たどたどしい英語もだんだん聞き方に慣れて早口になる。そのうち相手も私が十分英語ができると思うのか、返事が早口になり、答えが理解できなくなってしまった。その時、あくまで自分のレベルをきっちり相手の伝えながら話すべきだと思った。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする