hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

町亞聖『十八歳からの十年介護』を読む

2012年07月01日 | 読書2
町亞聖著『十八歳からの十年介護』2011年10月武田ランダムハウスジャパン発行、を読んだ。

高校3年のとき、40歳の母親がくも膜下出血で倒れる。当時父親は事業がうまくゆかず、酒癖が悪く暴力をふるったりした中で、まだ幼い妹と弟の母親代わりとなり、一方で歩けなくなり、知能レベルも落ちた母の介護を始める。
大学生から憧れのアナウンサーとなり、一見華やかな表舞台の裏で、一家を支えながらの10年にも及ぶ母の介護生活を続ける。
母親47歳のときすでに末期になっていたがんが発見される。「お母さん日記」を付けて、家族4人で情報を共有し、交代で看病、看護する。しかし、町さんが28歳のとき母親は49歳で他界した。
母の介護をきっかけに家族が協力していく過程、そして人生の一番輝く時期に受験、大学生、アナウンサーと介護を両立させたエネルギーと負けじ魂には敬服する。

町 亞聖(まち あせい)
1971年8月生まれ。埼玉県出身。
立教大学を卒業後、1995年、日本テレビ入社。
アナウンサーだけでなく、記者、報道キャスターなども務めた。
2011年6月 フリーへ転身。医療を生涯のテーマに取材を続ける。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

あまりにも頑張り屋で、周囲への感謝も怠らないなど立派で完璧すぎる。弱音や後悔もストレートに書いていて、ま正直な人柄が良く分かる。しかし、私からは遠すぎて、読んでいて少々くたびれる。
しかし、知能レベルは落ちても、あくまで明るく人懐っこい母親、健気に姉を支える妹、弟の様子には温かい気持ちになる。

母が末期がんであることを姉が弟に告げた時、彼は言った。
「人生は長さじゃないよ。深さだよ。できるだけ多くの人に、元気なお母さんの姿を見せてあげようよ」

新しい家を買ったとき、家の中には手すりやスロープをあえて付けなかった。すべての施設が障害者用に作られているわけではないのだから、家の中の少しの段差を克服しようとする気持ちを失って欲しくなかったためだ。
著者は、車椅子の母親を積極的に町や、旅行に連れだした。そして、物理的バリアーより心のバリアーの方が克服するのが難しいと思ったと書いている。


コメント
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