岡田光世『ニューヨークのとけない魔法』文春文庫お41-1、2007年2月文藝春秋発行、を読んだ。
宣伝文句はこうだ。
世界一お節介で、おしゃべりで、図々しくて、でも憎めないニューヨーカーたち。東京と同じ孤独な大都会なのに、ニューヨークは人と人の心が触れ合う瞬間に満ちている。みんな切なくて人恋しくて、でも暖かいユーモアを忘れない。息苦しい毎日に心が固くなっていたら、ニューヨークの魔法にかかってみませんか。
「ニューヨークの魔法」シリーズの第1弾で、第4弾まで出版されている。
ニューヨーク観光案内ではなく、住む人とのあたたかい触れ合いが3、4ページの短い話で紹介される。
単行本は2000年5月にノヴァ・エンタープライズから発行されており、各話の最後に文中で用いられたいかにも英語らしい表現の英文が付加されている。
岡田 光世(おかだ みつよ)
東京生まれ。青山学院大学文学部英米文学科卒業。ニューヨーク大学大学院文学部英米文学科創作プログラムで修士号取得。
読売新聞米現地紙記者を経て、作家、エッセイスト。東京およびニューヨーク在住。
著書:本書と、シリーズ『ニューヨークの魔法は続く』、『ニューヨークの魔法のことば』、『ニューヨークの魔法のさんぽ』、『ニューヨークが教えてくれた幸せなことば』、『アメリカの家族』、『ニューヨーク日本人教育事情』など。
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
アメリカ人(ニューヨーカー)の気さくで親切な良い面が心地よく紹介される。それにしても人種のルツボ、世界各国からの特徴ある人たちが集まり、それぞれが孤独で、ある距離までの親切な心遣いでバランスをとっている。
著者は行動的で、フレンドリーで、多くの人々と付き合うことにより、ニューヨークの良い面を伝えている。ニューヨークの暗い面、犯罪、人種差別や極端な貧富の差にはほとんど触れていないが、明るく元気でやさしい著者から見たニューヨークと納得できる。
帰宅した著者の夫が、うれしそうに話す。いつまでたっても来ないバスを待つ間、夫と身の上話を交わした黒人女性は、別れ際にこう語りかける。You made my day.(おかげで、いい日になりました)
ニューヨークの地下鉄は途中で急に車内放送が入り、各駅が急行になったり、逆になったりする。This is going express now. (今は急行だよ)
メトロポリタン・オペラハウスの立見席の最前列の背の高い若い男性が、3列目の背の低い女性に場所を替わってあげた。女性がお礼を言うと、彼は答える。My pleasure.(それは僕の喜びです)。
部屋に泥棒が入ったとの電話を受けた。ルームメイトに「私の部屋は何か取られていた?」と聞くと、「わからないわ。だってあなたの部屋、前から散らかっているのですもの」
Thanks a lot.(よけいなお世話なんですけど)
泥棒が入ってくるとわかっていたら、きちんと掃除しておいたのにと思った。
ユダヤ教での断食にもある。When are we breaking fast ? 何時になったら夕食を食べるの? breakfastは断食を破ること。
It was an eye-opener for me. 目からウロコがおちた。
It’s a piece of cake. お安いご用だよ。