林真理子著『フェイバリット・ワン』(2014年3月集英社発行)を読んだ。
夏帆(なつほ)23歳は、専門学校卒業後、アパレルメーカーに就職したが、先端のデザインには程遠い仕事だった。専門学校から付き合っている恋人・譲一がいながら、会社のエリート坂本さんとも付き合っている。
ごく普通の女性・夏帆は、誘われた合コンで出会った売れないお笑い芸人の智行とも付き合うようになり、さらに大人のカメラマンとの恋(?)、そして自分のブランドを立ち上げ・・・。
もっとレベルの高い人と恋愛を、もっと高級な服のデザインをしたい。「ふつうの女の子」から、「特別な女の子」への階段を上りはじめる。
初出:「MORE」2011年1月号~2013年10月号
私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)
飛ばし読みしました。
ごく普通な女性が成り上がる話で、林さんは、「そう、これは小説版“野心のすすめ"なんです」と語っているらしいが、主人公は満足することがないだけで、努力のあとがまったく見えない。あまりにもオバカで自分勝手でついていけない。
そこそこ可愛いが、とくに美女ではなく、服のセンスが良いと自分では思っている若い女性が主人公なので、女性向け雑誌MORE読むような女性が感情移入できるのだろう。二人の男性と同時に付き合っていれば、多少でもやましい気持ちがあると思うのだが、相手の方が完全に私を満足させないのが悪いと思っている節がある。若い女性って、こんなの??
70歳過ぎたおじいさんにはバカバカしくて。無理!無理!
林さんの小説の多くが、芸能界や、贅沢な生活が描写されていて、ミーハー心を刺激する。ここでもモデルや、アパレル界、お笑い芸人が登場し、華やかな世界の裏側が、といってもちょっとだけ、描かれる。実際は、競争が厳しいだけ、豊かな才能や、冷酷な戦略があると想像するのだが、描かれている世界は軽すぎる。
さんざんなこと言ったわりには、林さんを良く読んでいるじゃないと言われそう。はい、私、古希過ぎのミーハーです。