川上未映子著『きみは赤ちゃん』(2014年7月10日文藝春秋発行)を読んだ。
宣伝文句は以下。
芥川賞作家の川上未映子さんは、2011年にやはり芥川賞作家の阿部和重さんと結婚、翌年、男児を出産しました。つわり、マタニティー・ブルー、出生前検査を受けるべきかどうか、心とからだに訪れる激しい変化、そして分娩の壮絶な苦しみ……妊婦が経験する出産という大事業の一部始終が、作家ならではの観察眼で克明に描かれます。
さらに出産後の、ホルモンバランスの崩れによる産後クライシス、仕事と育児の両立、夫婦間の考えの違いからくる衝突、たえまない病気との闘い、卒乳の時期などなど、子育てをする家族なら誰もが見舞われるトラブルにどう対処したかも、読みどころです。
これから生む人、すでに生んだ人、そして生もうかどうか迷っている人とその家族に贈る、号泣と爆笑の出産・育児エッセイ!
川上未映子さんというと、書くものから、お気楽で楽しい人と想像していたが、本人によると、
こんな川上さんが、妊娠が分かったとき、嬉しさは一時のことで、
(男性である私は思う。あべちゃん、かわいそう!)
そして、つわり、出産、育児と、想像を超える、前の苦しみがなんでもないものに思えるほど加速して襲い掛かり、次元を超えたものになっていく。
しかし、出産直後に思う。
初出:「出産編 できたら、こうなった!」は、「本の話Web」2013年7月~11月
「産後編 生んだら、こうなった!」」は、書下ろし
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
奥様の「読んでもらいたいわ」という御下命で、読まさせていただきました。そして、感想は、う~ん、面白かった。確かに、生んで育てるのは大変だ。いやというほどわかりました、ハイ。何もせず、それどころか・・・。とっくに手遅れだが、せめてあべちゃんの爪の垢でも煎じて飲んでと思う反省の毎日です。
未映子さんは言っている。
・・・男発信だったとしたらまじむかつくな、・・・。生むの、ぜんぜん易しくねえよ! 案じさせろや!っていうのもこれ、じつにたしかな実感である。
でも、でも、私めから見ると一生懸命やっているのに、叩かれっぱなしのあべちゃんがかわいそう。
この本、人気で品切れが続いている(た)そうだ。確かに、「女性だったら、母親だったら当たり前、太古の昔からそうやってきたんだから」と大変さを理解してもらえない妊婦さんや母親は、ずばり言葉にしてもらって、そうだ!そうだ!と叫んでいるのだろう。
この本読んで、「こんな辛いのは自分だけ」「自分が悪いの?」などと思わなくなってくれれば良いのですが。そして、隣でいびきをかいて寝ている旦那さんに殺意を抱かないようにお願いします。
さらに、既に子供が大きくなっている奥さんは、過去のことをあれこれ思い出して、寝た子を起こさないように、あくまで穏便にお願いします。
川上未映子の略歴と既読本リスト
本書に登場する2歳になったオニが、
女性のは「ない」ではないと、川上さんは敢然とオニに教え込む。この顛末は、川上未映子さんの2014年8月22日のブログ「まんまんちゃん、あん!」をご覧あれ!