hiyamizu's blog

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高田郁『天の梯』を読む

2014年11月15日 | 読書2


高田郁著『天の梯(そらのかけはし) みをつくし料理帖』(時代小説文庫 た19-12、2014年8月18日角川春樹事務所発行)を読んだ。

裏表紙にはこうある。
『食は、人の天なり』――医師・源斉の言葉に触れ、料理人として自らの行く末に決意を固めた澪。どのような料理人を目指し、どんな料理を作り続けることを願うのか。澪の心星は揺らぐことなく頭上に瞬いていた。その一方で、吉原のあさひ太夫こと幼馴染みの野江の身請けについて懊悩する日々。四千両を捻出し、野江を身請けすることは叶うのか! ? 厚い雲を抜け、仰ぎ見る蒼天の美しさとは! ?「みをつくし料理帖」シリーズ、堂々の完結。


なにしろ、「みをつくし料理帖」の5年にわたる10巻シリーズの最終巻だ。いままで読み続けて来た人のおおよそ想像していた通りのエンディングであるが、今回の読後感想では、内容紹介、引用を控えよう。もちろん、結びに至る道筋には、著者に考え抜かれた伏線があり、驚きもあったのだが。


料理のレシピ集である巻末付録「澪の料理帖」は、「葛の「水せん」」、「親父泣かせ」、「恋し粟おこし」、「心許りの「蛸飯」」と各章毎の4品。

特別収録「みをつくし瓦版」で、登場人物のその後を知りたいとの要望を多く受けたとあり、
登場人物のひとりひとりに深い愛情を抱いて頂き、作者として心から感謝いたします。長くお待ち頂くことになりますが、それぞれのその後を一冊にまとめて、特別巻として刊行させて頂くことでお気持ちに添えたら、と考えています。



巻末には、料理番付が折りこまれていて、東の大関が自然薯尽しで「つる家」、西の大関は病知らずで「みおつくし」、勧進元は、日本橋「一柳」改め「天満一兆庵」とある。また、東の小結に『銀二貫』の「井川屋」の名が見える。


私の評価としては、★★★★★(五つ星:是非読みたい)(最大は五つ星)

あれこれ想像していたような落ち着きどころにほっとした。しかし、4千両揃えるためのマジック、澪や太夫の落ち着き先、最高の身請け先など、さすが高田郁さん、なるほどと納得する見事な大団円だ。

半年に一冊のペースはもどかしかったが、終わってみると、毎回、期待通りの出来栄えで満腹し、次回はこうか、それとも・・・などと想像しながら反芻して待ち、そして、と、くり返し10冊。一気に読むより、十分味わいながら、時間をかけて楽しめた。がつがつ食べる料理でなく、楽しく話しながらたっぷり時間をかけて味わう料理のようであった。

そして、このシリーズの人気の秘密は、何といっても登場人物の魅力的なキャラクターだろう。澪のひたむきさ、しっかり者なのに心優しい芳、うまい料理に「こりゃ、だめだよう~」と叫ぶ種市、愛の心を怒り声で伝える清右衛門などなどだ。
中でも、私が、男として心惹かれるのは又次。若い頃の目つき鋭い高倉健が。顔も気風も良く、矜持がぴりりとしたいい男だ。もちろん、私自身は、人を導くことなど無理なただ口の悪いだけの清右衛門だということは自覚していますが。


高田郁(たかだ・かおる)は兵庫県宝塚市生れ。中央大学法学部卒。
1993年、川富士立夏の名前で漫画原作者としてデビュー。
2006年、短編「志乃の桜」
2007年、短編「出世花」
『みをつくし料理帖』シリーズ
2009年~2010年、『第1弾「八朔の雪」第2弾「花散らしの雨」第3弾「想い雲」
2010年『 第4弾「今朝の春」
2011年『 第5弾「小夜しぐれ」
第6弾「心星ひとつ」
2012年『 第7弾「夏天の虹」
みをつくし献立帖
2013年『 第8弾「残月」
その他、『銀二貫』『あい
2014年『 美雪晴れ』、『天の梯』

コメント
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