穂村弘著『鳥肌が』(2016年7月14日PHP研究所発行)を読んだ。
宣伝文句
小さな子供と大きな犬が遊んでいるのを見るのがこわい。自分以外の全員は実は……という状況がこわい。「よそんち」の不思議なルールがこわい。赤ちゃんを手渡されると、何をするかわからない自分がこわい……。
日常の中でふと覚える違和感、現実の中に時折そっと顔を覗かせる「ズレ」、隣にいる人のちょっと笑える言動。それをつきつめていくと、思わぬ答えが導き出されていく。こわいから惹かれる、こわいからつい見てしまう。ただ、その裏にあるものを知った時、もう今まで通りではいられない!?
ユーモア満載で可笑しいのに、笑った後でその可笑しさの意味に気がついたとき、ふと背筋が寒くなる。そんな42の瞬間を集めた、笑いと恐怖が紙一重で同居するエッセイ集。
カバーの触感、スピンなど、祖父江慎氏による、さらに「違和感」を増幅させる、一風変わった装丁にも注目!
本のしおり代わりの紐(栞紐、スピン)、普通は編んだ一本の紐だが、細く3本に分かれている。しかも、なんだか怪しいほど鮮やかなピンク色。便利なようで、慣れないので実用性はないと思う。
京都生まれの京都育ちのTさんに、京都でのNGワードを聞くと、『大文字焼き』だという。
ほ「どうして禁句なの? 僕、云っちゃったことあるかも」
T「あれは『五山送り火』です」
ほ「え、『大文字焼き』じゃないの?」
T「そんなもん、あらしまへん。どっか別の京都とおまちがえやないですか?(にっこり)」
友人(女)の話
弟の部屋で大量のエロ本とエロDVDを発見してしまった。最初は、しょうがないなあ、と思っただけだったが、よく見たら、そのすべてが「姉弟モノ」で鳥肌が立った。
初出:『PHPスペシャル』2012年1月号~2015年12月号連載の「鳥肌と涙目」他
私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)
微妙に怖い話が多く、著者のおどおどし、鋭敏な感性になるほどと思った。ところどころに本当に怖い話がはさまっているが、この種の話はいろいろなところにあり、穂村さんから聞かなくても良い。
そして、この文を書くためにパラパラと再読すると、微妙に怖い話の面白さは二度目では半減していた。
穂村弘(ほむら・ひろし)
1962年5月北海道生れ、名古屋育ち。北大入学し、すぐ退学し、上智大学入学。
卒業後、SEとして就職。
1990年歌集『シンジケート』でデビュー
2002年初エッセイ『世界音痴』
2005年『現実入門』
2008年結婚、短歌評論『短歌の友人』で伊藤整文学賞受賞
2009年『 整形前夜』
2012年『異性』