hiyamizu's blog

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河合雅司『未来の年表』を読む

2018年08月16日 | 読書2

 

河合雅司著『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書2431、2017年6月20日講談社発行)を読んだ。

 

第一部では日本の人口減少が多くの人が想像しているよりはるかに激しく減少して、日本という国家が成り立たなくなることを示す。著者によれば、それを機械化、移民、女性の活躍などでも防ぐことはできず、人口減少により起こる衝撃の状態、全国に住居の3戸に1戸が空き家になる、外国人が無人の国土を占拠するなど、具体的に明らかにする。

 

第二部では、小さくても輝く国になるための著者の処方箋を示す。

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?)(最大は五つ星)

 

第一部の今後起る日本の人口減少の数値や、起こりうる状況の説明には、特に新しさは感じないが、納得する。しかし、20年も30年も先のことを、現在をそのまま外挿しても、意味ないのではとも思う。国内の政治状況、経済状況は激変するだろうし、世界も変わっているだろうし、変わらざるを得ないだろうから。

第二部で著者が提案する解決策は、平凡で、抽象的だ。例えば、高齢者を75歳以上と定義しなおすという施策は、わざわざとりあげるほどのものだろうか。

 

私には、産経新聞論説委員でもある著者の保守的体質も気にくわない。そんなことにこだわっていて未曽有の危機に対処できるはずがない。

要するに、国家が滅びるには、銃弾一発すら不要なのである。「結婚するもしないも、子供を持つも持たないも、個人の自由だ」と語る人々が増え、子供が生まれなくなった社会の行き着く果てに待ちうけるには、国家の消滅である。(p9)

 

日本人が激減する状況においていたずらに外国人を受け入れたならば、日本人のほうが少数派となる市町村や地域も誕生するだろう。「反日」の国が悪意を持って、自国民を大規模に日本に送り出す事態も想定しておかなければならない。(p142)

 

……だが、男性に適した仕事、女性が得意とする仕事というのは残る。男性労働力の減少分すべてを女性が穴埋めしていくというのは、少々考えづらい。女性には妊娠・出産、子育てに充てる時期もある。(p158)

 

 

河合雅司(かわい・まさし)
1963年、名古屋市生まれ。産経新聞社論説委員、大正大学客員教授(専門は人口政策、社会保障政策)。

中央大学卒業。内閣官房有識者会議委員、厚労省検討会委員、拓殖大学客員教授など歴任。

2014年、「ファイザー医学記事賞」大賞を受賞。

主な著作に『日本の少子化 百年の迷走』(新潮社)、『地方消滅と東京老化』(共著、ビジネス社)、『中国人国家ニッポンの誕生』(共著、ビジネス社)、『医療百論』(共著、東京法規出版)など

 

 

目次

はじめに

第1部      人口減少カレンダー
2017年 「おばあちゃん大国」に変化
2018年 国立大学が倒産の危機へ
2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ
2020年 女性の2人に1人が50歳以上に
2021年 介護離職が大量発生する
2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する
2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
2025年 ついに東京都も人口減少へ
2026年 認知症患者が700万人規模に
2027年 輸血用血液が不足する
2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる
2035年「未婚大国」が誕生する
2039年 深刻な火葬場不足に陥る
2040年 自治体の半数が消滅の危機に
2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに
2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に
2050年 世界的な食料争奪戦に巻き込まれる
2065年~外国人が無人の国土を占拠する

第2部       日本を救う10の処方箋 ――次世代のために、いま取り組むこと
「高齢者」を削減/24時間社会からの脱却/非居住エリアを明確化/都道府県を飛び地合併/国際分業の徹底/「匠」の技を活用/国費学生制度で人材育成/中高年の地方移住推進/セカンド市民制度を創設/第3子以降に1000万円給付 

おわりに 未来を担う君たちへ

結びにかえて

 

 

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