香山リカ著『「発達障害」と言いたがる人たち』(SB新書437、2018年6月15日SBクリエイティブ発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
「あなたは発達障害です」と言ってほしい人たちがいる。誤解を避けるために言っておくと、私は、実際に発達障害と診断を受けながら生活している人やその家族、その医療に携わる人たちや支援する人たちを批判するつもりはまったくない。そうではなく、その可能性は低いのに、「私は発達障害かも」と思う人が増えているという、医療の問題というより社会的な現象について取り上げ、その原因などを考えてみたい、というのが本書の目的だ。
「私、発達障害じゃないんでしょうか?」と香山さんの診察室を訪れる人が多くなってきた。話を聞いてから「障害の可能性は低い」と告げると、がっかりする。自分が思うとおりに整理整頓や書類の提出ができないのは「自分のやる気や性格のせいではなくて、障害のせい」と思いたがり、「何か特別な自分」でいたいと願っている。
ごく軽度な発達障害や、特殊な才能に恵まれた発達障害の人に注目が集まりすぎているため、重度の発達障害患者はなかなか理解を得られない。
また、言葉では対話できない発達障害の人も脳内ではさまざまなことを考えていて、それが表現できないだけだという例も示され(東田直樹著『自閉症の僕が飛び跳ねる理由 会話のできない中学生がつづる内なる心』)ていて、まだまだ分かっていないことが多い。
発達障害は「脳の発達の障害」だが、「どこに問題があるかは見えない」、「生まれつき」だあり「しつけやストレスは関係ない」。
発達障害による機能障害の代表例は、「人ともコミュニケーションがうまく取れない」「まわりの空気が読めず、暗黙のルールが守れない」「一つのことにこだわってやめられない」「注意や集中、関心を保てない」「落ち着きがなくミスが多い」「ほかのことは問題なくできるのに計算だけがあまりにもできない」など。
2012年の文部省の全国調査では、通常クラスの生徒の約6.5%。特別支援教育を受けているのはこのほかに約2.9%。
発達障害の分類は進化中で混乱ぎみ。
「自閉症スペクトラム」の中に、より重篤な「自閉症」とより軽度な「アスペルガー症候群」があり、この他これらと重なることもある「注意欠如・多動性障害(AD/HD)」と「学習障害(LD)」がある。ただし、最近の分類ではアスペルガーという名前は消えている。
私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?)(最大は五つ星)
発達障害の解説本ではなく、社会現象の分析本でもない。「私って発達障害じゃないかと思っているんです」と半分自慢気に話す人が多いことに気が付いて、ちょっと書いてみました本だ。最近の香山さん、筆が荒れている。安倍晋三氏にまた「香山氏は論外!」って言われそう。