松尾貴史著『違和感のススメ』(2019年2月28日毎日新聞出版発行)を読んだ。
宣伝文句は以下。
権威を疑う! 多数派を疑う!
もの言うタレント、松尾貴史の辛口社会派エッセイ。
立川志の輔との特別対談を収録!!
ある時は政権に、ある時は大手メディアに、またある時は世の中の流行に......。
この国のあらゆる"しっくりこない" に松尾貴史が物申す。
毎日新聞別刷『日曜くらぶ』連載中の「松尾貴史のちょっと違和感」からの選りすぐりコラム集。
立川志の輔との特別対談収録
イギリスのジャーナリスト、ジョージ・オーウェルの「ジャーナリズムとは報じられたくないことを報じるものだ。それ以外は広報に過ぎない」という言葉は、報道記者の皆さんも重々承知のことだろうし。
「人類は皆アフリカ系地球人」
「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である」チャップリン
政権批判
●反日と誹られて ●「一億総活躍」」と言われても ●違和感だらけの森友問題 ●国難は彼自身
ネット右翼へ反論
●ツイッター炎上という「黙らせ方」 ●違う考えを持つ人への匿名の暴力
社会風潮への反感
●コンビニ年齢認証のばかばかしさ ●ポイントカードの憂鬱
言葉への違和感
●「この後、スタッフがおいしくいただきました」 ●テレビでの"業界用語" 多用の謎 ●ニュースでしか聞かない「のようなもの」 ●「半端ない」は「適切ない」!?
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
私は、松尾さんの主張には99%賛成で、当然のことだと思うのに、そう取らない人がいることの方が信じられない。しかし、皮肉を効かせたこの書き方では、進歩的(死語?)な人はそうだそうだと留飲を下げ、逆に右翼、普通の人(??)は反感を募らせるだけで、建設的な議論には進まないと思う。
それにしても、政治的意見が時の政権と同じだとしても、政権側・権力におもねることことを恥と思わない人にはあきれる。谷村新司が自民党大会で熱唱するとは、情けない。
また、政権批判をする人に対し、匿名でえげつない個人攻撃するネット右翼は卑怯者だ。
ところで、極端なことをいうとリベラルなのは年寄ばかりという現状では、ネット右翼は「何もしなくてもあと20年ほど経てば左翼は自然消滅する」と考えているのではなかろうか。ちょうど、我々が若者だったときに、「あと何十年かするば、当然社会党政権になるが、少しでも早めたい」と考えていたように。
松尾貴史(まつお・たかし)
1960年、兵庫県生まれ。大阪芸術大学芸術学部デザイン学科卒業。俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト、「折り顔」作家など、幅広い分野で活躍。東京・下北沢にあるカレー店「般゜若(パンニャ)」店主。『季刊25時』編集委員。
著書に、『東京くねくね』(東京新聞出版局)、『なぜ宇宙人は地球に来ない? 笑う超常現象入門』(PHP研究所)、『折り顔』(リトルモア)ほか。