hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

宮下奈都『神さまたちの遊ぶ庭』を読む

2019年10月02日 | 読書2

 

宮下奈都著『神さまたちの遊ぶ庭』(光文社文庫み30-2、2017年7月20日光文社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

北海道のちょうど真ん中、十勝・大雪山国立公園にあるトムラウシ。スーパーまで三十七キロという場所へ引っ越した宮下家。寒さや虫などに悩まされながら、壮大な大自然、そこで生きる人々の逞しさと優しさに触れ、さまざまな経験をすることになる。『スコーレNo.4』の宮下奈都が「山」での一年間を綴った感動エッセイを文庫化。巻末に、「それから」を特別収録。

 

著者が、14、12、9歳の3人の子供と旦那さんの一家で北海道のど真ん中、大雪山国立公園の中にある「トムラウシ」の小さな集落に一年間山村留学した日々を綴った日記風エッセイ。

 

下見に行った長男は「景色が『神』だよ」と言った。宮下さんは「神か。神ならしかたがないな、と思う」と書いている。「トムラウシ」は日本百名山の一つでアイヌ語「カムイミンタラ」、「神々の遊ぶ庭」と呼ばれるほどの景色なのだという。しかし、暮らすのは難儀だ。携帯は3社とも圏外、テレビ難視聴地域の豪雪地帯、小中併設校の生徒は全部で10人、一番近いスーパーは山道を下って37キロ。

 

著者

パニック障害による迷走神経反射、不整脈、乗り物酔いを抱え、連載に追われる作家で、母。家族の中では常識人として描かれる。

 

生まれも育ちも東京だが、北海道をこよなく愛する。無口で自由人。仕事は不明。出番が少ない。

「これから面接だったの?」

「たぶんだいじょうぶだよ、メールでやりとりした感触はよかったから」

メールか、まだメールだけだったのか。っていうか、就職先、決まってたんじゃなかったのか……。

 

長男(仮名:ヒロト)

ほとんど勉強しないが成績は優秀。中学3年で、「トムラウシ」には高校が無いため、1年で福井に戻ることになる。

「この学校はすごいよ、宿題が出たことがない」

うれしそうに言っていた。……宿題はでていないのではなく、単に長男がやっていないというだけのことだった。

 

次男(仮名:漆黒の翼→英国紳士→ボギー)

次男は掲載にあたり実名はこまるからと仮名を申し出る。

「もっと熱くなれよ!」「もっとできるはずだろ! 俺は信じてるよ」と通信速度の遅いパソコンを激励。

 

長女(仮名:きなこ)

一番下の九歳、のんびりとして大らかな性格。動物好きで「いきものがかり」になった。

亀のブーちゃんが特にかわいいらしい。毎日水を替え、休み時間には外を散歩させてやるのだそうだ。それってむしろプーちゃんには迷惑ではないか?

 

 

初出:「小説宝石」2013年5月号~42014年6月号。単行本2015年1月光文社刊。「それから」は福井新聞発行月刊「fu」2016年2月号

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

都会とはまったく異なる山の中の生活、自然の中の、隣近所とやけに近しい生活が、具体的に描かれる。3人の子供たちもユニークで珍事件が頻発する。

ただ、日記風に書かれているので、300ページを超える量では一気読みは難しい。

 

 

宮下奈都(みやした・なつ)
1967年福井県生れ。 上智大学文学部哲学科卒。
2004年、「静かな雨」が文學界新人賞佳作入選、デビュー。
2007年、『スコーレNo.4』がロングセラー
2009年、『遠くの声に耳を澄ませて』、『よろこびの歌』
2010年、『太陽のパスタ、豆のスープ』、『田舎の紳士服店のモデルの妻』
2011年、『 メロディ・フェア』、『 誰かが足りない
2012年、『窓の向こうのガーシュウィン』

2013年、エッセイ『はじめからその話をすればよかった

2014年、『たった、それだけ

2016年、『羊と鋼の森』で2016年本屋大賞受賞

その他、『終わらない歌』、本書『神さまたちの遊ぶ庭』、『つぼみ』、『緑の庭で寝ころんで』、『とりあえずウミガメのスープを仕込もう』など。

 

 

チャンスの神様には前髪しかない。通りすぎてから気付いて振り返っても、後頭部には毛がないからもうつかめない。

 

羆:ヒグマ

 

コメント
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